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教材文の内容を一目で分かるように整理する… 考察探究型の秘密②

授業では「板書」が行われます。
板書には、どんな役割があるのでしょうか?

まず、学習を整理し、構造化する役割があります。
授業における「思考の流れ」を示し、子どもたちが、「今、何を学んでいるのか」を明確にし、「何が大事なのか」を把握し易くすることです。
板書によって、情報を整理し、教材の内容を把握し、比較や関連づけがやり易くなります。

視覚優位の子へ配慮する役割があります。
聴覚だけでは理解が難しい子にとって大きな助けになります。
見る、聞く、写すなど、多様な感覚を使って、学習内容を定着し易くする役割もあります。

ノートをとる教科では、ノート指導の手本にもなります。
子どもたちは、板書を見ながらノートをとることで、どうまとめるのか、どこが重要なのかを学びます。

発言を記録する役割もあります。
発問に対する意見を整理して板書することで、発表された意見を学級全員が共有し、振り返ることができる状態にします。
意見が板書されることで、発表した子は「認められた」と思うこともあるでしょう。意見を書いてあげることには、教師から発言者への「敬意」が表されるという側面もあります。

思考を促進する役割もあります。
板書された問い、言葉、内容、キーワード、考え、意見などを「見て」「考える」ことができるため、話し合いが深まります。
多様な意見を並べることで、違いに気付き、意見交換が生まれます。
一段深い考えに進む「材料」となります。
同じ意見を同じ色で囲む、関連する内容を線で結ぶ、思考の流れを矢印でつなげる、対比関係を明確にするなど、思考活動そのものを構造化して表わすこともできます。

板書を見ただけで、どのような授業が行われたのか、よく分かるような板書を作る先生は、優れた力量の持ち主だと思われます。


では、道徳科において、教材文の内容を一目で分かるように整理することには、何か特別の意味があるのでしょうか?

まず、教材内容をしっかりと把握するという役割があります。
ほとんどの場合、道徳授業で用いる教材は、子どもたちが「授業で初めて出会う」教材です。長文のものもあり、45分間、または50分間の授業で教材文を読むことができるのは、ほぼ1回です。

改めて考えてみてください。
一読しただけで、教材文の内容を詳細に理解できる子ども、細部の表現まで記憶できる子は、どのくらいいるでしょうか?
ほんの一握りの「記憶力のよい子ども」だけではないでしょうか。

考察探究型の授業では、教材文を読む前に次のことを指示します。
1 あらすじを話す
2 読む観点を伝える(見つける内容を示す)
3 印をつけながら読む(線を引く、丸で囲むなど)
これによって、教材内容を把握しやすいようにします。

その上で、教材内容を抽出する発問によって、意見を発表してもらい、教師は教材内容を分かり易く板書に整理します。


この活動には、次の役割があります。

あらすじを確認することになります。
整理することで、話の「筋」が理解し易くなるはずです。

教材内容を振り返ることになります。
何が描かれていたのかが確認できます。

教材内容の要点を明確にすることになります。
抽出する内容は、価値に迫るために戦略的に考えられたものです。
抽出し、教師が整理する板書は、要点が明確になるように構成されるはずです。

教材内容を黒板に転写することになります。
それによって、「考える材料」が黒板に揃うことになります。
続く活動では、教科書を見ることが少なくてなり、板書に集中しながら話合いを進めることができます。

教材内容を一目で分かるように整理することになります。
内容が整理されると、教材文の構造が視覚的に明確になります。
教材文の骨組みが分かり、教材文の主題に迫り易くなります。


このように考えてくると、一読した状態で「話合い」を始める場合に比べると、教材内容を板書に整理することによって、教材内容への理解は格段に高まることが分かると思います。
考察探究型の授業に共通する「教材内容の抽出・整理」の活動には、このような役割があるのです。

教材内容への理解が深まれば、授業に取り組む意欲は高まるはずです。
考察探究型の授業に、「子どもたちが積極的に参加する」秘密の一つが、この点にあります。

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