オールスターファン投票は何とかならんのか?
今年もファン投票の結果が発表されたが、阪神、ヤクルト、日ハム、ロッテは「組織票」がかなりあったようで、意外な選手が選ばれた反面、選出されて当然の選手が入っていなかったりする。例年、そういう選手は選手間投票や監督推薦でカバーするのがお約束になっている。
それにしても、オールスターゲームはなぜこんなに盛り上がらないのか?
色々要因があるが、ファン投票の形式もその一つだ。
ファン投票総数の推移
NPBはここ30年のオールスターゲームのファン投票数について公開している。これをグラフにした。投票総数には「無効票」も含めた。

2020年はコロナ禍でオールスターはなし。
投票方式はハガキとWebにまとめたが、Webは1996年から2016年までは「インターネット」と「携帯電話」だった。要するにパソコンからの投票と、携帯電話(ガラケー、スマホ)を別のサイトから投票させていた。
これが2017年に統合された。
ざっくり見ても、最近の投票総数は、昔よりも相当減っていることがわかる。今年の投票総数播2,781,174票。去年のNPBの観客動員は27,040,286人だから、10人に1人しか投票していないことになる。
観客動員はリピーターも含めた延べ人数だが、昨年、一度でもプロ野球を見に行ったファン(ユニークユーザー)は1400万人程度と推計されている。それにしても5人に1人しか投票していない。
ややこしい投票形式
今の投票形式は、結構ややこしい。ファン投票には会員登録が必要だ。去年の登録は無効だから、毎年更新する必要がある。
1人当たり1メアドで、1日あたり1回のみ投票可能になっている。
MLBのオールスターは1日最大5回投票できるが、NPBは1回だけだ。
Webでの投票が邪魔くさいためか、いまだに紙での投票が1,094,104票もある。こちらはコンビニや書店などにある用紙に記入するか、はがきで投票する。ただし手書きに限る。ゴム印や印刷はダメ。ふっるー!

不正を防ぐため?
なぜ、こんなにWEBでの投票が厳格かというと「不正投票」を防ぐためだ。特定のチーム、選手に票が集中しないように、ということのようだ。
このグラフを見ると、2003年にものすごい投票数になっている。ハガキが3,871,655票、WEB(ネットと携帯電話)で3,437,813票、合わせて7,309,478票も入った。この時期は、投票の制限がなかったから、一部のファンが一人で大量の投票をした。
この年のセ・リーグは捕手矢野輝弘、一塁桧山進次郎、二塁今岡誠、三塁アリアス、遊撃藤本敦士、外野金本知憲、赤星憲広、濱中おさむと、野手はすべて阪神だった。いわゆる「球宴ジャック」が起こったわけだ。
「これはいかん」と、翌年以降、一日の投票回数を制約した。また、ネットの進展とともに、手続きを複雑にして「不正防止」をするようになった。

頑張らなくてもいい
Webでの投票が伸び悩むのは、手続きが邪魔くさいからだ。意図的にそうしているのだ。それに加えて、PRもおざなりで、毎年似たようなアピールしかしていない。典型的なルーティンワークになっている。
「オールスターゲーム」は「日本シリーズ」「侍ジャパンの試合」とともに、NPBの主催だ。NPBにとっては貴重な財源なのだが、チケットはほぼ売り切れるし、放映権料もお決まりの価格で販売しているし、頑張っても頑張らなくても「収入は同じ」なのだ。だったら、それほど頑張らなくてもいい。
これがNPB球団なら、マーケティングの鬼みたいな社員がたくさんいるから、毎年新機軸を打ち出すはずだが、NPB機構はスタッフも少ないし、お役所みたいだからこんな感じになる。

簡単に「球宴ジャック」が
厳格に投票を管理しているから「球宴ジャック」は起こっていないかと言えば、そうではない。今年でいえば日本ハムから6人が選ばれている。今年絶不調の清宮幸太郎が、一塁で選出され「がんばる」とか言っている。
もともとの母数が小さいから、ファンがちょろっと頑張れば「不正」を働かなくても「組織票」を集めることができるのだ。
今年の野手の当選ラインは約60万票だが、日ハムファンがSNSで呼びかけて5万人くらいがそれに呼応して、10日くらい連続で投票すればそれだけで50万票になる。
厳格に管理しても、組織票が簡単に投票結果を変えてしまえるのだ。
「球宴ジャック」が簡単に起こらないようにするには、母数を上げること、つまり投票総数を大幅に拡大させるしかないのだ。事実MLBは「球宴ジャック」を防ぐために投票数を増やし、発表はないが今年も2000万票以上の投票があったと推測される。大谷の得票は396万票だった。
今のNPBは「形式上、不正がなかった」ことで済ませているが、プロの主催者として、盛り上がらないオールスターゲームの注目度を上げるためにも「投票数」を上げる努力をすべきだろう。
