日産ゴーン社長「無名の英雄たたえるのが私の責任」
いわき工場、まもなくフル稼働へ

日産自動車のカルロス・ゴーン社長は13日、日本経済新聞などのインタビューに応じ、東日本大震災の生産や業績への影響などについて見解を述べた。主なやりとりは以下の通り。
――東日本大震災の発生から2カ月余り。これまでの復旧をどう評価するか。
「日本国民あるいは日産社員の献身的な努力を目の当たりにして感銘を受けている。私は(3月に)被災によって停止していた当社のいわき工場(福島県いわき市)を訪れ、フル稼働になれば必ずまた訪れると約束した。だから来週行く。いわき工場はまもなくフル操業にできる。これはひとえに"現場力"によるものだ。このような危機では新聞に名も載らないような多くの無名のヒーローが登場する。彼らを称賛し、勇気づけるのが私の責任だ」
――競合他社と比べ、やや早い復活になる。
「その理由を他社と比較することはできないが想像はできる。当社が中国でもタイでもロシアでも、生産や部品調達の現地化を進めていることが一つの理由かもしれない。ただ1カ月程度の違いは重大ではない。競合他社も前倒しするかもしれないし、我々もその努力はする。だから私は1カ月後にはもっと楽観的になっているだろう」
――日産の経営への影響は。
「現段階では復旧活動に集中しているが、他の業務も進めていることを忘れてはいけない。例えば中国やインドでは生産能力を増強しているし、ロシアでは現地大手アフトワズへの出資も検討している。これらのステップは来月公表する中期経営計画の中で説明する。今回の震災で日産の進歩が遅れることはない。5年後の日産の姿は、地震があってもなくても同じ姿だと言える。もちろん工場は被災したし、苦労はある。だが一方で、多くの教訓も得た。震災はハンディではない」
――政府による東京電力の賠償支援案が決まった。

「我々の舞台はグローバルだから、日本の生産コストが上がることは明らかにマイナスだ。電気料金の引き上げのみならず、円高によって(国内生産の競争力を保つための)要求度はさらに高まる。さらなるコスト削減が必要だが、難易度は上がるだろう。ただ年間100万台の国内生産を維持するというのは固い決断だと強調したい。我々のホームベースを守る」
――震災に直面したことで求められるクルマ、特に電気自動車(EV)への評価は変わったのか。
「まだ評価を語るのは時期尚早だろう。だが被災地からEVのニーズがあり、当社は65台を提供した。停電の心配はあるが、その前にEVに電気をためておけば、(非常時に)家庭でも使える。将来の日本のエネルギー源が原子力発電なのか、太陽電池などの再生可能エネルギーなのか、化石なのかを議論する前に、(EVに使う)電池が唯一、電気をためられる根本技術だということが重要だ。内燃機関は石油がないと動かないが、EVは(電気さえあれば)エネルギー源を選ばない。現在は電池の生産がネックになっているが、我々にできるのは、なるべく生産台数を増やすということだけだ」
――世界最大の自動車市場である中国で、EVを生産、投入する考えは。
「合弁パートナーの東風汽車と検討しているが、中国政府のEV支援策の公表を待っている段階だ。そう遠くないと聞いており、支援策が出たうえで戦略を発表する」
――仏ルノーとの提携関係のあり方が限界に来ているとの指摘もある。
「(今後の提携の形については)様々なイメージやアイデア、コンセプトがある。ただ実際に着手することは、現段階で優先すべき緊急課題ではない。現在は各社の中核事業を進めることが重要だ。とはいえ、これを議論することは決してタブーではない。提携について絶対に変わらないということはない。我々はビジネスパーソンだ。現状を見極めて修正することもある。現段階でその必要はないが、どのような形ならば日産のポテンシャルをもっと発揮できるか(を模索すること)が重要だ」
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