ファミマのアパレルが売れないと考える3つの理由
最近ファミマの服が話題ですよね。
麻布台に旗艦店を出して、試着ができるようにしたり
NIGOさんをディレクターとして呼び入れたり
Xで見る感じかなり話題になっており、アパレルの売上も順調そうです。
麻布台ヒルズの下のところにオープンした新しいファミマ「FAMIMA AZABUDAI HILLS」に行ってきました✨
— きゃっぷ (@capjpn) July 11, 2026
オープン当初なので限定アパレル&グッズがとんでもない勢いで売れてたー!#ファミマ https://t.co/bMkuNNbzLi pic.twitter.com/G7YBqhkTan
以前はTシャツや靴下などが中心でしたが、今ではパンツやアウターなど、幅広いラインナップを取り揃えるようになりました。様々な施策を見るとアパレル事業に本気で力を入れていることが見受けられます。
服といえばの伊藤忠が入っているので、その利を活かしているのだなと想定しております。
しかし、僕はこのファミマのアパレル展開は「想定しているほどには上手くいかない(売上が上がらない)」と予想しています。
今回は、その理由を3つの視点から考察してみたいと思います。
1. 消費者の「服を買う感覚」
消費者が服を買う動機は、大きく分けて2つあります。
1つ目は「ブランドへの愛着」です。
シュプリームやコムデギャルソン、ヨウジヤマモトなど、服としての利便性以上に「そのブランドが好きだから」という理由で購入されるケースです。
2つ目は「機能や実用性」です。
ユニクロや無印良品などがこれに当てはまります。服は生活に不可欠なものですが、単に体を隠せれば良いというわけではなく、いかに安く、長く使える機能的なものを手に入れるかが重視されます。
ファミマのアパレルは、後者の「高機能な商品を手頃な価格で提供する」というポジションを狙っていると思われます。ファミマのブランドが欲しくて買う人はあまりいないでしょう。
たしかに、いつでもどこにでもあるコンビニで、質の高い商品が買えるのは便利です。
「今すぐ着替えが欲しいけれど、どうせ買うなら使い捨てではなく、長く使える良いものを買いたい」
という緊急時のニーズには完璧に応えています。
しかし、僕はファミマは逆にこのニーズしか捉えていないと思っています。
僕もファミマのTシャツを買ったことがあります。大阪旅行に行った時にシャツをきていたのですが、想像以上に暑くて、シャツだと無理だなと思ったのでTシャツが欲しくなりました。
この時にユニクロも無印もなかったので、使い捨てにしたくない今後も使えるTシャツとしてファミマの服を買いました。
でもこの時に僕が満たしたかったのは、単に「もったいなくない、ほどよいいい服」という条件でした。それ以上でも以下でもありません。
そうなるとファミマのこの販売方法は、コートやジョガーパンツといった「デイリーウェアの枠を超えたアイテム」には適していません。

緊急性が低いうえに、コンビニではサイズ感や生地感をじっくり確かめることができないため、わざわざコンビニでアウター等を買おうというモチベーションは生まれにくいのです。
2. コンビニで数千円を支払う「罪悪感」
2つ目の理由は、消費者の深層心理にある「コンビニでの高額出費に対する罪悪感」です。
僕たちはコンビニの便利さを認識している一方で、スーパーやドラッグストアと比べて割高であることも知っています。
節約系YouTuberなども「コンビニの利用は控えるべき」とよく発信しているように、コンビニでお金を使いすぎるのはどこか「悪いこと・もったいないこと」という意識が刷り込まれています。
そのため、コンビニで2,000円、3,000円、あるいは5,000円を超えるような支払いをすることには、心理的なブレーキ(罪悪感)が働きます。
ユニクロであれば数千円の服を買うのはごく一般的なことですが、普段は1,000円以下の買い物で済ませる場所で高額な支払いをするのはためらってしまいます。
小売において、顧客にいかに気持ちよくお金を払ってもらうかは売上を伸ばす重要な条件です。「コンビニ=割高」という認識が根底にある中、単価の高いアパレル商品を買わせるのは非常に難易度が高いと言えます。
3. アパレルの「第一想起」を奪えない
3つ目は、強力な競合他社に太刀打ちできない、つまり「他社との明確な差別化が極めて難しい」という点です。
たしかにファミリーマートの店舗数は圧倒的で、消費者が商品を目にする機会は非常に多いのは事実です。
しかし、それがそのまま「競合に勝てる理由」にはなりません。なぜなら、消費者が服を買おうと思ったとき、真っ先に頭に浮かぶ(第一想起される)のは、やはりユニクロや無印良品だからです。
例えば、服にそれほどこだわりのない30代の男性が「最近服が色あせてきたから新しいものを買おう」と思ったとき、まず足を運ぶのはアパレル専業であるユニクロでしょう。ここでファミマの大きな壁となるのが、商品展開における差別化の難しさです。
ファミマのアパレル商品は、無地で着回しやすいベーシックなデザインや、機能性を重視したアイテムが中心です。
しかし、これはまさにユニクロや無印良品が長年培い、圧倒的なシェアを握っている「誰もが着られる日常着」の領域そのものです。素材開発から製造まで、巨大な規模の経済を働かせているアパレル企業と、全く同じ土俵で戦うことになってしまいます。
では、ファミマが差別化を図るために、エッジの効いた奇抜なデザインや、ターゲットを絞ったニッチな商品を展開できるかといえば、それも現実的ではありません。
コンビニという極めて限られた売り場面積で、老若男女という不特定多数の客層を相手にする以上、どうしても「無難でベーシックな商品」を置かざるを得ないという構造的なジレンマがあります。
有名デザイナーを起用してシルエットやカラー展開に工夫を凝らしてはいるものの、消費者の目から見れば、用途や見た目は競合他社の定番商品と似通って映ります。
「ファミマならではの服」という強い独自性を打ち出すことは難しく、わざわざユニクロを通り越してファミマに服を買いに行く理由を見出しにくいのです。
結果として、消費者の行動は「基本の服選びはラインナップが豊富なユニクロに行き、外出先で急に寒くなった、あるいは服が汚れて今すぐ着替えが必要になったという緊急時だけファミマに行く」というパターンに落ち着いてしまいます。
この枠組みから抜け出し、日常的なアパレル購入の選択肢として定着させるのは、非常にハードルが高いと考えられます。
まとめ:緊急性のない服はコンビニで買われない
ここまでの内容を簡潔にまとめると、以下のようになります。
緊急でTシャツや下着が必要になった際、「どうせなら質の高いものを」という理由でファミマが選ばれることはある。しかし、緊急性が低く、試着もできず生地感もわからない商品を、わざわざコンビニで買う人は少ない。
コンビニで数千円の買い物をするのは一般消費者にとってはハードルが高い。
競合との差別化が難しく勝てない。
上記3つが、僕がファミマのアパレル展開は上手くいかないと考える理由です。
とはいえ、ビジネスは実際にやってみなければわからないという側面も大いにあります。
僕の予想が外れるかもしれませんし、合っているかもしれません。
最終的に答えが出るのは1年後、あるいは3年後くらいでしょうか。その時にまた振り返りを行い、このアパレル事業の行方を見守っていきたいと思います。
