なんとなく行った葛西臨海水族園が、一生の思い出になった話
7月9日、江戸川区にある葛西臨海水族園に行きました。私生活で色々と大変なことがあり、現実逃避と気分転換をしたいと思っていたところ、入場料が700円という安さを誇る葛西臨海水族園に白羽の矢が立ちました。
JR京葉線の葛西臨海公園駅にある水族館で、運営元が東京都なので料金が安く抑えられているのでしょう。「安いし広い公園もあるからリフレッシュできそう~」という安直な理由で選びましたが、今振り返ると、この逃避行を決めた自分に心底感謝しています。皆さんも機会があったら是非行ってみてください。
※毎週水曜日が定休日なのでご注意を。ただ、夏休み期間は営業している場合があるのでここから公式サイトをチェック!館内の通路は広くてゆとりがあるので、ベビーカーを利用される家族連れの方も安心して楽しめますよ。ガラスドーム内はエスカレーターで下りますが、正面左側にちゃんとスロープとエレベーターがあります。
1.転職活動のストレス
13時過ぎに家を出て、14:20頃に葛西臨海公園駅に到着しました。午前中はオンラインで面接を受けていたのですが、エージェントにお勧めされるがままに受けたため、業務内容にあまり興味が持てませんでした。
もう半年以上も転職活動を続けていて、延々と続く不採用のメールに疲弊していました。4月に日商簿記2級を取って経理職への転職を目指していたものの、書類選考(少なくとも70~80件ぐらいは応募した!)にすら通過できず……
せっかく苦労して合格したのにやるせない気持ちと挫折感を味わいました。その代わり色々な職種を検討するようにしたのですが、何がやりたいのか分からなくなるというよくある負のスパイラルに。面接が終わった1時間後には辞退のメールを送信。暑かったのでスーパーで水とアイスコーヒーを購入し、そして電車を乗り継いで、気付けば葛西臨海公園駅前の噴水前にいたという次第です(前置きが長くてすみません)。
2.ガラスドームがお出迎え!
チケットを購入しゲートを抜けると、まずはガラスのドームが目に飛び込んできます。こうして間近で見るとかなり迫力がありますね。奥には東京湾が広がっており、この解放感のある景色だけでも気分が爽やかになります。エスカレーターを下り、まずはサンゴ礁のある鮮やかな水槽から観察していきました。

こうして数多くの魚を見ていると、知らない名前の方が圧倒的に多いことに気付かされます。展示パネルに書かれている魚の姿かたちを参考にしても、一致する魚を見つけられないこともしばしばでした。多分、光の当たり方などによって色が違って見えることもあるのでしょう。魚について勉強していけば、ゆくゆくは水族館で目にする魚の名前をすぐに挙げることができるのだろうか……図鑑を買ってこれから覚えていこう。



3.脱皮って成功するものじゃないの?
2階の情報資料室にはスタッフが常駐しており、勇気を出して質問をしてみました。カニの解説をされている時に「脱皮は失敗することがある」と説明していたんです。そもそも脱皮って成功するものじゃないのか?と私は思い込んでいたので、その点を尋ねてみました。
その方曰く、脱皮には失敗がつきもので、特にダイオウグソクムシ(英語でGiant isopod)は飼育下で脱皮に成功した事例は過去に一度もないそうです。脱皮のプロセスとして、体の前半分と後ろ半分の2回に分けて、まずは後ろ半分の脱皮を試みるようなのですが、ここでうまくいっても前半分の2度目の脱皮で力尽きてしまうとのこと。
「前半分に重要な器官が存在しているからなんでしょうか」と私は質問しましたが、その可能性もあるみたいです。ネットで調べてみると色々と諸説はあるようなのですが、そもそも後ろ半分の脱皮で体力をかなり消耗してしまうんですね。そもそも脱皮している時は外敵に対して無防備になると思うので、進化の過程でこうしたかなりリスクのある行動が維持されてきたのが興味深いです。
こうしてスタッフの方とコミュニケーションを取るのも有意義ですね。こういう場では質問をしない人間だったのですが、知識も増えるし、これからは積極的に話しかけてみよう!

4.マグロって結構でかい
葛西臨海水族園の目玉であるクロマグロの展示スペース。照明が程よく暗く、非常に落ち着くような空間設計でした。泳いでいるマグロを実際に見ることってなかなかないのではないでしょうか?私も泳いでいるところは初めて見たと思いますが、サイズがかなり大きいなと感じました。普段はお寿司のネタでしか見ませんし、魚市場で解体ショーをやっている時に実物を何度か見かけたぐらいです。この葛西臨海水族園は世界で初めてクロマグロの群泳展示を行った水族館なので、是非見物してみてください。

クロマグロの展示スペースは階段状になっており、座れるスペースがあったのでしばらく休憩をしましたが、元気に走り回っている子供を見るにつけ、どこか苦しさを感じました。あの頃のようにただ目の前のことを楽しんでいた時に戻れたらどんなに幸せなんだろう。社会に出ると多くの挫折や苦難が待ち受けており、ただ生きていくだけで精一杯なのに、今はただ独り砂漠の荒野に放り出され、いつこの苦しさから抜け出せるのか分からない。それでも、この展示スペースはまるで海の中にいるような安心感があり、大きな水槽を悠々と泳ぐクロマグロを見ていると癒されました。

5.ペンギンのかわいいコップ
外へ出ると、ペンギンが展示されている広いスペースがあり、透き通った冷たい水の中を泳ぐペンギンを見るのは気持ちよかったです。その日は30℃近くあったはず。それからまた館内展示のブースに戻り、淡水魚メインのエリアを見て回りましたが、リニューアルオープン時に新しく展示する生き物を投票するコーナーがあり、私はイイダコに1票入れました。




そうこうしている内に閉館時間(17時)が迫ってきてしまいましたが、この水族館で働いている方たちへ感謝の気持ちを伝えたくなり、その時の率直な気持ちをささっと紙に書きつけて、意見箱に投函しました。お土産コーナーで記念に何か買いたいと思い、ペンギンがあしらわれたコップを閉店間際に購入したのですが、今では私の宝物です。

6.葛西臨海公園の奥行きと色彩
そのまま帰る気分にはならなかったので、ガラス張りの展望台へ向かうことにしました。しかし17時を過ぎると展望台には登れなくなるようで、ちょっと残念。再訪した時の楽しみに取っておこう。

下に降りて海岸へ向かうと、黄金色の日の光を浴びて輝く緑の芝生の先に、紺青色の海と淡く澄んだ青空が果てしなく広がっていました。今となっては理由は分かりませんが、その時私は妙な感動と解放感を覚えました。世界はこんなに広かったのか。狭い部屋の中で目の前のことしか見えていなかった。絶え間なく続く不採用のメールによって社会から拒絶されていると思い込んでいた私は、その鮮やかな景色と奥行きに憑き物が落ちたような感覚になったのを今でも覚えています。
この世界は広く、たくさんの生物がそこに存在している。それに、世界は私を拒絶していないし、むしろそっと優しく包み込んでくれる。広い海とそこに息づく生命とのつながりを感じられたのが、今回の葛西臨海水族園への訪問で得た一番の収穫です。波打ち際まで行き、そこに腰かけて寄せては返す波をただ楽しみました。

それから葛西臨海公園をぐるっと半周しましたが、平日だったので人はまばらでした。これまで抱えていた辛さや苦しさが歩くたびに浄化されていくような感じがして、かなり歩いたので疲れはしましたが、駅に着くころには足取りと気持ちは逆に軽くなっていました。
7.振り返って
人生の辛い過渡期にあって、今回の葛西臨海水族園への訪問は一生思い出に残る記憶になりました。人は地球上の生物と繋がっていて、周りには広大な世界が存在していることを気付かせてくれました。あれからというもの、図書館で全国の水族館を特集した本を借りて読みふけっています笑
これから他の水族館にも行ってみるつもりです。きっと、色んな生き物に出会うことでしょう。ここまで随分個人的な体験談を書きましたが、皆さんも私と同じように、心に残る体験や重要な気付きが得られるのではないかと考えています。もし機会があれば葛西臨海水族園へ足を運んでみて下さい!
