泣く息子を、それでも今日も幼稚園に送り出した
毎朝、「行きたくない」と言う。
泣きながら足にしがみついている。
朝起きてから幼稚園に行くまで、ずっと
「いやだ」「こわい」「緊張する」「離れたくない」「寂しい」
そんな言葉が息子の口から繰り返し溢れてくる。
正直、聞いている私も心が折れそうになる。
「もう行かなくていい!」と叫びそうになる。
でも、迎えに行くと「楽しかった!」「帰りたくない!」
と園庭で遊び回っている。
それが、今の私にとっての小さな救い。
まだ4月。
新しい環境に慣れていないだけよな
頭ではちゃんと分かってる。
きっと保育園の時と同じで、
時間が経てば、ご機嫌で通えるようになるはず。
でもそれは“未来の話”で、
今この瞬間、
2026年4月を生きている息子と私は、
間違いなくしんどい。
おててにお絵描きをして
「今日はこれと一緒に行こうね」と言ってみたり、
お弁当に好きなものを入れたり、
少しだけ可愛く飾ってみたり。
「今日は幼稚園で何できるかな?楽しみだね」って
なるべく前向きな言葉もかけている。
それでもやっぱり、また
翌朝には「行きたくない」が始まる。
思い返せば、私もそうだった。
幼稚園に行きたくなくて
母にしがみついて泣いた日がある。
バスに乗せられて、離れていくあの瞬間。
嫌で、寂しくて、どうしようもなかった。
その記憶があるから、
目の前で泣いている息子を見ると、
行かせるのが正解なのか余計に分からなくなる。
「もう行かなくていいよ」って、抱きしめたくなる。
それでも、ここで抱きしめて休ませることが
この子のためになるとは思えなかった。
少しずつ親元を離れて、世界を広げていく時期。
きっと今は、その途中にいるんだと思う。
だから親にできることは、
安心できる場所であり続けることだけなのかもしれない。
夫は言う。
「甘やかしすぎてるから、家以外の世界に行きたくないんじゃない?」と。
「責めてるわけじゃないんだけどね」と
優しいのか優しくないのか分からない一言も付け加えて。
まだこの世界に生まれて数年の息子が、
新しい場所でこんなに頑張っているのに、
これ以上どう厳しくすればいいの?
そう言い返したくなる自分と、
そうなのかな。
もう少し厳しく
自立心を育てる関わり方を
考えた方がいいのかな。
そうやって落ち込む自分とが、同時に心に現れる。
結局わたしは、
「そうかぁ……」と、
同意でも反論でもない言葉を、
うつむきながら返すことしかできなかった。
今日もまた、泣きながら送り出してしまった。
そのことが、ずっと胸に引っかかっている。
頑張れ、がんばれ。
……もう十分、頑張ってるよね。分かってる。
こんな小さな体で、一生懸命がんばってる。
えらいよ。本当に、えらい。
どうか今日も、
お迎えに行ったらニコニコ笑顔で
「かか~!楽しかった!帰りたくない!」と
元気に駆け寄ってきてくれますように。
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