見出し画像

研修後のアンケートと「仕事ができる人」の関係

コンサルタント向けの社内研修を企画運営する所属にいるので、これまで多くの受講後アンケートを見てきました。
統計を取ったわけではありませんが、体感として、優秀な人ほど研修後のアンケートの内容がポジティブな傾向が非常に強いように感じています。
逆に、あまり評価の高くない人の方が、「知っている内容だった」 とか、「時間が長い」とかいった、少し批判的なコメントを書くことが多いんです。

最初は、優秀な人はポジティブなんだなー、と思うだけでしたが、たくさんのアンケートを見ているうちに、どうやらそれだけではなさそうだな…と思うようになりました。

1.「知っている」で終わらない謙虚さ

仕事ができる人だって、研修で話されている内容をすでに知っていることはありますが、「知っている内容だった」だけで終わらせず、改めて聞いたことで、自分の理解が曖昧だったところに気づいたり、普段の仕事を振り返ったりしています。
同じ内容を知っていても、「自分にはもう必要ない」とすぐには判断しないのです。そこに、ある種の謙虚さを感じます。

知識があることと、もう学ぶ必要がないことは、別の話です。
仕事ができる人ほど、そこをよく分かっているように感じます。

2.何でも持って帰ろうとする貪欲さ

もう一つ、学ぶことへの貪欲さも感じます。
研修のテーマそのものに目新しさが少なかったとしても、講師の話し方やファシリテートなど、色々なところを見て、本来の研修テーマとは違うところまで、勝手に学習対象にしているのです。

さらに、人まで持って帰る人もいます。
研修でたまたま一緒になった他部署の人と知り合い、その後も交流を続けていたりします。
研修を受けに行っただけなのに、知識だけでなく、仕事のやり方や説明の技術、新しい人間関係まで増やして帰ってくるのです。

3.批判的思考を「どこで使うか」

批判的にものを見る力は、仕事をする上でとても重要な力なので、仕事ができる人も当然に身につけています。
ただ、その力をどこで使うかを、うまく選んでいる気がします。

研修を受けながら、「これは知っている」 「この講師はいまいちだ」 「この研修は大したことがない」と考えることはできます。
でも、すでに自分の時間を使ってその場にいるわけですので、「この研修のどこがダメか」に頭を使い続けても、自分が得られるものは増えません。

だったら、何か一つでも持って帰った方がいいのでは、と思えるかどうかだと思うのです。

本当に研修がいまいちだったと思うなら、次回からその講師の研修を受けない、と決めればいいだけです。

批判的に考える力があるかどうかよりも、それを今ここで使う意味があるのか、を見ている気がします。
この違いも、けっこう大きいと思います。

4.アンケートの向こう側にいる人を想像する

優秀な人は、アンケートを書くときに、それを誰が読むのかを意識しているようにも感じます。

社内研修の場合、アンケートを読むのは、研修を一生懸命準備した担当者でもあります。
そんな担当者が直接アンケートの回答を目にした時にどう思うか?を考えて、回答を書いているように思えます。
中には、最後にお礼のメッセージを書いてくれる人もいたりします。(さすが、バリバリ営業ができる人だったりもしますw)
また、グループワークの進め方に少し問題があった時も、アンケートにはポジティブな回答を書きつつも、こっそり「実際にやってみたら、こんな感じになっていたから、次回はここを少し工夫するといいかも」と、雑談の中で伝えてくれたりします。

誰に・どこで・何を・どう伝えるのか、どう言えば、相手が受け取りやすいのか。
こういったことに神経を使って行動しているところに、人間関係のスキルが表れているように感じます。

もっとも、研修のアンケートは、今後の研修を改善していくために取っているので、よくなかった点をはっきり指摘する方が、本来の目的には合っているのでは、とは思います。
こっそり伝えてくれる人ばかりではなく、そもそも我関せずいい顔している、という人もいるのも事実です。

なので、アンケートという一点だけを切り取れば、ポジティブに書くことには良し悪しがあります。

ただ、実態として、ネガティブな情報をそうやって慎重に扱える人ほど、仕事の場面ではしっかり成果を出している、というのは実感させられるわけです。

5.アンケートには、その人の学び方が表れる

ポジティブすぎるアンケートの是非はいろいろな意見があると思いますがw、でも、たくさん見ていると、アンケートには研修の評価以上に、書いた人自身の学び方が表れてくる気がします。

すでに知っている内容でも「もう自分には関係ない」と切り捨てない謙虚さ、研修のテーマ以外のところからも何かを持ち帰ろうとする貪欲さ、批判的に考える力をどこで使うかを選ぶ感覚、そして気づいたことを誰にどう伝えるかという配慮。こうしたものが、短いアンケートの一枚にもにじみ出てきます。

同じ研修を受けて、同じ時間を過ごしても、その学びの姿勢は人によってずいぶん違います。
そして、その違いは、普段の仕事の仕方にもそのままつながっているのだな、と思いました。

いいなと思ったら応援しよう!