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SoFiの暗号資産戦略に追い風となるか──CLARITY Act成立への道筋と「60票」の壁

SoFiがいま力を入れている暗号資産・ブロックチェーン戦略。その将来を考えるうえで、重要な法案「CLARITY Act」が米議会で動いている。

CLARITY Actが成立すれば、米国の暗号資産市場をめぐるルールがより明確になり、SoFiが進める新たな金融戦略にとっても大きな追い風となる可能性がある。

では、CLARITY Actとは何なのか。そして成立すれば、SoFiにはどのようなメリットがあるのか。現在の審議状況とあわせて整理してみたい。

<CLARITY Actとは?>
これまで米国では、
・どの暗号資産が「証券」なのか「コモディティ」なのか
・米国証券取引委員会(SEC)と米国商品先物取引委員会(CFTC)のどちらの管轄か
といった基本的なルールにも曖昧さが残されてきた

CLARITY Actは、こうした曖昧さを整理し、暗号資産市場全体の「市場構造」を法律として明確にすることを目指している。

すでに成立しているGENIUS Actとの違いは、
・GENIUS Act=ステーブルコインの発行や準備資産などのルール
・CLARITY Act=より広い暗号資産市場全体の市場構造
と考えると分かりやすい。

<CLARITY ActがSoFiにとって重要な理由>
SoFiは、現在でもOCC(米通貨監督庁)の解釈などに基づいて、暗号資産・ブロックチェーン関連事業を進めることができる。

しかし、その一部は「規制当局の解釈」に依存しており、政権や当局の方針が変われば、規制のあり方も変化する可能性がある。実際、SoFiは2023年、銀行持株会社としての規制上の制約から暗号資産サービスからの撤退を余儀なくされた。(2025年12月に再開)

SoFiはすでに、暗号資産売買SoFiUSD、ブロックチェーンを利用した送金・決済などへ事業領域を広げている。さらにBig Business BankingやSoFi Technology Solutionsを通じて、企業向けにも暗号資産・ブロックチェーン関連サービスを手掛けている。

CLARITY Actが成立すれば、暗号資産市場をめぐる規制の不確実性が低下することが期待され、SoFiがこうした事業を長期的に拡大しやすくなる。一方、企業側にとっても、規制の枠組みが明確になることでSoFiのサービスを採用しやすくなる可能性がある。

また、CLARITY Actでは、取引所などの第三者を通じて、ステーブルコインを単に保有するだけで得られる利回りを制限する案も盛り込まれている。

これが成立すれば、SoFiにとって追い風となる可能性がある。SoFiが進める「アプリ内では利息や保険の対象となるトークン化預金、外部では決済用ステーブルコイン」という仕組みの優位性が、相対的に高まるからだ。

CLARITY Actは、SoFiに新しい事業を突然もたらす法律ではない。すでに動き始めている戦略を、より安心して大きく育てるための「土台」を作る法律なのである。

<成立までのスケジュール>
CLARITY Actはすでに下院を294対134という大差で通過している。現在の焦点は上院である。ただし、上院ではまだ本格的な審議に入っていない。

上院には、少数派が討論を長引かせて採決を阻止する「フィリバスター」という仕組みがある。これを終わらせる手続きが「クローチャー(討論終結)」であり、60票の賛成が必要となる。

◆9月15日:審議入りをかけた「60票」の採決
共和党は上院で53議席のため、民主党系議員からも賛成票を獲得する必要がある。60票を確保できれば、本格審議へ進む関門を突破するが、届かなければ再交渉や再採決が必要となり、成立への道は厳しくなる。

◆上院で審議・修正・最終採決
審議入り後は、倫理規定、不正金融対策、消費者保護などをめぐって修正協議が行われる。

なお、最終採決へ進む際にもクローチャーが必要となる場合があり、その場合は再び60票が必要となる。そのため、9月15日に60票を取れば、その後は共和党だけで成立させられるわけではない。

◆下院との調整→大統領署名
上院で法案が修正された場合は下院との調整が必要となる。最終的に上下両院が同じ法案を可決し、大統領が署名すればCLARITY Act成立となる。

今後の審議が非常にスムーズに進めば、9月中に上院を通過する可能性もある。しかし、9月中に決着しなければ、10月5日からは中間選挙を挟む長期休会に入る。選挙後も年内の審議は可能だが、選挙結果によって政治力学が変化するうえ、残された日程も限られるため、不透明感は高まることになる。

さらに年内に成立しなければ、2027年に始まる新たな議会で法案を再提出する必要があり、成立への道筋はより不透明になる。

<本当に60票は集まるのか?>
共和党は上院で53議席を持つため、60票の確保には民主党系から少なくとも7票が必要となる。共和党から離反が出れば、必要な民主党系の賛成票はさらに増える。

注目したいのが、現在も共和党側と交渉を続けている7人の民主党議員である。

この7人は7月、現在の法案について、倫理規定、消費者保護、不正金融対策、利益相反、市場の公正性などが不十分だとする共同声明を発表した。一方で、法案成立へ向けて共和党との交渉を続ける姿勢も示している。

もちろん、この7人が9月15日に全員賛成するとは限らない。修正内容次第では反対に回る可能性もある。

したがって現時点では、「60票への道はある。しかし、60票がそろったとはまだ言えない」というのが最も実態に近い。

9月15日までに民主・共和両党がどこまで歩み寄れるのか。まずはここがCLARITY Actの行方を左右する当面のポイントになりそうだ。

なお、予測市場Polymarketでは、CLARITY Actが2026年中に成立する確率は、8月29日時点でわずか14%となっている。市場参加者が年内成立をかなり慎重に見ていることが分かる。

Polymarketより抜粋(2026年8月30日執筆現在)

逆に考えれば、市場の期待がここまで低いからこそ、9月15日に60票を確保できた場合のインパクトは大きい。

ただし、これはあくまで審議入りへの関門を突破するにすぎない。むしろその後、両党が法案の中身で合意できるかが、年内成立に向けた本当の難関となりそうだ。

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