X MoneyはSoFiの脅威になり得るか?──「Everything App」が金融に本格参入
2026年7月27日、イーロン・マスク氏率いるXが、金融サービスへ本格的に踏み出した。
その名は「X Money」。

X Moneyは、マスク氏が以前から掲げてきた「Everything App」構想における、金融の中核を担う可能性がある。そしてもしXが金融サービスを本格的に拡大していけば、SoFiにとっても無視できない存在になる。
今回は、X Moneyとは何なのか。そしてSoFiの脅威となり得るのかを考えてみたい。
<X Moneyとは>
X Moneyの特徴は、独立した銀行アプリを作るのではなく、Xという巨大なプラットフォームの中に金融機能を組み込んだことである。
現在提供されている主な機能には、次のようなものがある。
・利息の付くX Money口座
・P2P送金
・最大3%キャッシュバックのX Card
・給与振込
・ATM利用
・銀行振込
さらに条件を満たせば、X Money Accountでは最大6%のAPYが提供される。ただし、X自身が銀行になったわけではない。実際の銀行口座などを提供しているのは、米国のCross River Bankである。Xが顧客との接点を担当し、Cross Riverが銀行機能を提供する「組み込み金融」のモデルである。
【Cross River Bank】
2008年設立の米国の中堅銀行で、フィンテック企業などに銀行口座や決済、融資といった金融インフラを提供する「組み込み金融」を得意としている。
<X Moneyの最大の武器は「金融」ではない>
X Moneyの最大の武器は、XとGrokで約5.5億人の月間アクティブユーザーを抱えていることである。そのため、既存のXユーザーを、そのままX Moneyの利用へとつなげることができる。この圧倒的なユーザー基盤は、X Moneyならではの非常に強力な武器である。
その戦略が早くも具体化している。2026年9月2日、Xは米国のクリエイターに対する報酬を、X Moneyへの支払いに移行した。
X上で発生した報酬が、最初にX Moneyへ入る。X Moneyにお金が入れば、そのまま残高として保有したり、X Cardで買い物をしたり、他のXユーザーへ送金したりできる。つまり、X上で生まれたお金を、X Moneyの中で循環させることが可能になる。
<Everything Appへ向かうX>
X Moneyがマスク氏の目指す「Everything Appの金融レイヤー」になれば、様々なサービスとの接続は十分考えられる。
たとえば将来、X上で商品を見つけ、「X内で購入→X Moneyで決済」まで完結するようになるかもしれない。さらに「Xアプリ上でサイバーキャブを呼ぶ→目的地へ移動→X Moneyから自動決済」といった世界も考えられる。
<では、SoFiにとって脅威なのか?>
現時点で、X Moneyは潜在的な脅威ではあるものの、SoFiの投資仮説を揺るがすほどではないだろう。
SoFiは、預金・証券・ローン・クレジットカード・暗号資産・SoFiUSDなどの各種金融サービスを垂直統合している。さらにB2Bでは、「Galileo+Technisys」という金融テクノロジー基盤まで持つ。
つまりX Moneyが巨大なユーザー基盤を持つ一方、SoFiは金融サービスの「深さ」と「垂直統合」で優位性を持っている。
<「銀行を持つSoFi」という強み>
特に大きな違いが銀行機能である。
X Moneyの銀行機能は、外部パートナーであるCross River Bankが担っている。一方、SoFiは自ら銀行を持つため、SoFi Moneyで集めた預金を個人ローンなどの融資原資として活用し、そこから得られる金利収益まで自社内に取り込むことができる。
したがって、「X Moneyユーザー1,000万人」と「SoFi会員1,000万人」では、1人当たりから得られる経済価値が同じとは限らない。
<今後、何を確認すべきか?>
現時点では、X MoneyがSoFiの大きな脅威になると判断するのは早い。
Xに何億人のユーザーがいるとしても、その人たちが金融サービスまでXに任せるとは限らない。SNSとしてXを利用することと、給与を入れ、資産を預け、投資や融資まで利用することは全く別だからだ。
しかし、SoFiにとって無視できないシナリオもある。X MoneyがSoFi同様に、各種金融サービスにまで手を広げた場合である。そうなれば競合領域は一気に広がる。
そのため、
・X Moneyの利用者数
・X Moneyの預金残高
・給与振込の利用状況
・投資・暗号資産サービスへの進出
・融資サービスへの進出
といった点に注目していきたい。
巨大なユーザー基盤を持つXが金融に参入した以上、SoFi投資家として継続的にウォッチすべき存在になったことは間違いない。
今後、X Moneyがどこまで金融機能を広げ、Xユーザーを「SNSのユーザー」から「金融のユーザー」へ変えられるのか。それが、X MoneyがSoFiにとって大きな脅威となるかを左右するだろう。
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