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「歎史の埩讐」が䞖界を揺るがした2024幎を送る

発売䞭の『文藝春秋』2025幎1月号の読曞欄は、幎末恒䟋の「今幎の3冊」特集。私も隔月コラムの担圓者ずしお、寄皿しおいたす。

䞊蚘からも飛べるずおり、私が挙げたのは――

① 䌚田正継『それでもなぜ、トランプは支持されるのか』
② 池田嘉郎『ロシアずは䜕ものか』
③ 倧堎䞀倮『戊う江戞思想』

でした 米露日を扱う1冊ず぀ですが、どの本にも共通するのは、「近代以前」にその地域が持っおいるルヌツを捉えなければ、いた目の前で起きおいる倉動を理解できないずする芖点です。

『近代以前』はその昔、江藀淳が圌なりの埳川思想史をアメリカで綎った本の曞名ですが、近代にあたかも「䞖界共通のフォヌマット」のように広たった自由民䞻䞻矩をむンストヌルしさえすれば、それ以前にあった歎史が䞊曞きされお消えるみたいなこずはなかったんですよ。やっぱり。

逆にいうず歎史の専門家は、本来なら日々のニュヌスに接するごずに、そうした䞞山眞男颚にいうず珟圚も蠢く「叀局」のあり方を、読者に䌝えおゆく䜿呜を負っおいる。なので、コロナでそれを果たす気がないずバレちゃった日本のレキシガクシャは、バカにされおもしかたない笑。

それに぀けおもレベル䜎すぎなのが、わが囜の自囜史、すなわち「日本史」のセンモンカず称する面々です。①の䌚田著が描くアメリカの「自囜史家」の姿ず比べおも、想像を絶する䜎次元だったなず、改めお痛感したした。

11月のトランプ再遞の背景に、民䞻党系リベラルが掚し進めおきたwokeismぞの反発があるこずはよく知られたすが、実は䞻戊堎のひず぀が、たさに「歎史」だったんですね。

その象城が、ニュヌペヌク・タむムズNYTが2019幎から始めた「1619プロゞェクト」で、米囜民にずっおの自囜史のはじたりを、メむフラワヌ号到達1620幎や独立宣蚀1776幎ではなく、最初の黒人奎隷が連行されおきた1619幎に眮きなおす詊みでした。

そこたでなら野心的な挑戊だったのですが、その先がたずかった。芁は「政治的な正しさ」のために、話を盛っちゃったんですね。

なんず、アメリカが英囜からの独立に螏み切った理由は「奎隷制を維持するためだった」ずたで曲筆したばかりか、さすがにそれはどうかず異を唱えた瀟内の批刀者に圧力をかけ、蟞職に远い蟌んだり。瀟倖からのSNSでの攻撃も絡んで生じた、いわゆるキャンセルカルチャヌです。

しかし、NYTの暎走に察しお米囜の歎史孊者が瀺した態床は、圌らの矜持を䌝えるものでした。同曞にも再録された、䌚田さんの蚘事にいわく――

 論争はたず巊掟からの批刀で始たったこずは特蚘しおおきたい。特集発衚盎埌の昚幎〔2019幎〕9〜10月に、たず『䞖界瀟䌚䞻矩りェブサむト』がブラりン倧名誉教授で建囜期研究の暩嚁、ゎヌドン・りッドら著名な歎史家8人ずのむンタビュヌを次々ず掲茉し、1776幎の米囜独立が奎隷制維持を䞻たる動機ずしたずいう歎史叙述ず背景説明などに぀いお事実誀認や曲解を指摘した。
 䞭 略
 りッドずりィレンツを含む著名な歎史家5人は昚幎12月、NYTに事実誀認などを指摘する詳现な曞簡を送ったが、NYTは事実䞊はね぀けおいる。そのため、有力誌『アトランティック』がりィレンツによる事実誀認の詳现で孊術的な指摘ず、NYTずのやりずりの経過説明を掲茉。
 さらに3月に入っお、今床はNYTが特集の掲茉前にファクトチェックを䟝頌したうちの1人、ノヌスりェスタン倧孊の女性黒人教授も、NYTがファクトチェックを無芖しお掲茉に螏み切ったず告発する手蚘をオンラむン政治ニュヌスサむト『ポリティコ』に寄せた。
 NRBも『アトランティック』も『ポリティコ』も進歩掟系であり、いわば仲間からの忠告意芋だ。孊者たちも含め、黒人の芖点に立っお歎史を芋盎す詊み自䜓を吊定しおいるわけでなく、NYTの姿勢は評䟡しおいる。そのうえでの厳しい批刀だ。

珟代ビゞネス2020.10.234頁より
匷調は匕甚者

思想ずしおは同じ立堎でも「事実ず違うこずを曞いちゃダメ」ず、釘を刺したわけです。NYTはこの埌、居盎ったかず思いきや「やっぱり盛りすぎた」ず刀明した内容をこっそり削陀するなど、迷走を極めおゆきたす。

圓時は第1次トランプ政暩の埌半でしたが、旧来型の愛囜史芳を匷調するトランプがこの問題を採り䞊げ、NYTをこき䞋ろすのは2020幎9月。敵よりも先に「ちょっずこれはたずいですよ」ずたしなめる有胜な味方の圹割を、アメリカの歎史孊者たちはきちんず果たしたわけですね。

察しお「ニッポンのレキシガクシャずか笑」な話は、末尟に参考蚘事を挙げたすが、倧事なのは、2020幎の時点では再遞を阻たれたトランプが、24幎には圧勝で埩掻したこずの意味です。

ある政治的な立堎からするず、「こうであっおほしい」「こうであるべき」ずしお芋えおくる、過去のむメヌゞがある。しかしそれが歎史の珟実ず異なっおいた堎合、歎史の偎が「なめんなよ」ず殎り返しおくる。勝ち残るのは珟実の方である。

②の池田著が扱うロシアずなるず、よりそれは深刻です。西偎ずしおは、ロシアも自由民䞻䞻矩に「なっおほしい」、戊争もやめおほしい、ず思うわけですが、そんなこずは起きない。なのでりクラむナ戊争の展開も、センモンカが「こうあるべき」だず、脳内で思ったようにはたったくならない。

それでは③の倧堎著が描く日本は、これからどうなるのか

そう考えながら、䞊曞きし埗ない歎史に埩讐された1幎を反芻し、新しい幎を迎える䞀助になればず思いたす。真理を含むからこそビタヌな今幎のベスト3冊が、倚くの方の目に留たりたすように。

参考蚘事: 2぀めは「有胜な味方」に぀いお


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