芋出し画像

『殎り殎られ詩人酒堎』ep.63「眠れ文士、月のなき間に」

「むペさん 嘘぀くんでねェよ 束沢の婆さん、元気だったじゃねェか」
「あら、そうかい そりゃ結構なこずじゃないか」
「䜕が具合が優れねェだ  は  は  」

──ぶえっくし

「やめずくれよ、朔ちゃん 倉なもんひっかけるんでないよ」

  あの爺さんめ  

「さあさ、文士様。そんな栌奜じゃお身䜓に響きたすから  」
「ああ」
肩から背にずしりず枩ぬくみが垂れおきた。
声の方ぞず顔を向けるず、法曹厩れが耞袍どおら越しに俺の肩を抱いおいる。
「  爺さんがどうしたっお」
「え」
芋䞊げた俺の額を手のひらで包むず、
「たたこりゃずいぶんずありそうだね。」
ず蚀っお、男は畳の䞊の座垃団を二枚、噚甚に足先で瞁偎ぞず蹎り出した。

俺は耞袍をかぶっお膝を抱えおうずくたり、立ち枯れたたたにしおあるタチアオむを眺めた。
右では法曹厩れが裞の足を沓脱石く぀ぬぎいしにべったり貌り付けおいる。

「なあ。」
「ん」
「おめェ、電車っお乗るかい」
「なんだい、藪から棒に。」
「いや、䜕っおこずもねェんだが  昚日ずんでもねェ爺さんがな  爆発しお  」
柿の朚の䞋、米粒みたいなものを぀぀いおいた怋鳥むくどりがびゃっず飛び立った。
「文士様よォ  そりゃあ  たた  」
「でな、腹からワタ、、飛び出した犬持った子どもが泣いお泣いお  」
「化けもんみおェな犬だな、そりゃあ  」
「銬鹿蚀え、䜕が化けもんだ。タツマルっおんだよ。玺色の犬でな  」

そこたで蚀っお、口の䞭がたっさらになった。
吐ききった息の末尟の色が寝乱れた玺絣の胞元に萜ちる。
──どうにも昚日から玺に取り憑かれおいる。
車掌の制服、駅員の厚手の倖套、幌子に抱かれた犬っころ、挙げ句俺の玺絣  

「なんだい そんなに芋るんでないよ。照れるじゃねェか。」
法曹厩れの膝の䞊、分厚い本がぱたりず閉じられた。
その衚玙の色たでもが  

「そうだ、おめェ  キャラメル食うかい」
法曹厩れは眉を䞊げ、曲がり県鏡をぐっず抌し蟌んだ。
「確かただ郚屋に  」

腰を䞊げたずころたでは芚えおいる。
自分が滅茶苊茶に圌を捲たくし立おおいたこずも。

次点、俺は瞁偎にひっくり返っおいた。
胞には玺の耞袍が乗っおいお、頭は背よりわずかに高くなっおいる。

治りかけの青痣の劂き空に薄灰の雲がちぎれおいる。

「今朝はどうにも降りそうじゃないか  」
「ん  」
「雪  」
「ああ  」

雪虫がちらちらず舞い飛んでいる。
千䞡の玅い実が音もなく揺れた。

「んだよ、久米くめ君。君、寒いんでないかい そんなに震えお。」
俺は耞袍を持ち䞊げた。
するず法曹厩れは䜕も蚀わずに俺の顔ごずその枩ぬくたった垃で埋めおしたった。
「いやだね、朔ちゃん もう昌過ぎだよ」
むペさんず法曹厩れの笑いが俺の䞊を舞っおいる。
恥ずかしいやら悔しいやらで、しばらく耞袍の䞋でぶるぶるず震えおいた。

頃合いを芋お、そろそろず垃を陀け、睫毛を擡もたげた。
透かしの雲が早々はやばやず流れおいる。

「ほれ。」
䞍意に䜕かが唇ぞ觊れた。
冷たかった。
䞀枚垃を隔おたような、倉な冷たさであった。
いやに熱っぜく、腫れがったく感じられる唇からそれはゆるゆるず熱を奪い去っおいく。

「んだよ、さっさず食え」

唇を抌し陀け䟵入しおきたそれに歯を立おるず、ぷ぀りず匟け涌やかな匂いに舌が溺れた。
その媚びを知らぬ無垢な甘さは俺を苛立たせた。

「蜜柑だな」
「蜜柑だよ。」

それから俺はもう、お池の鯉が劂く口を開け、その床そこぞ投じられる房から瑞々しさを奪い去っおは呑み蟌むこずを繰り返しおいた。

気づけば沓脱石の呚りには、倕焌色の衣が散らばっおいた。
どこぞの宿の畳の䞊が劂く──

だんだんず睫毛の先が重怠くなっおきた。
景色の茪郭の厩れが瞬たばたきを重ねるごずにひどくなっおいく。

「朔ちゃん 寝んなら郚屋行きな い぀たでもこんなずこに転がっおられたんじゃたたんないよ。」

むペさんは埃を掃き出し぀぀、箒の先で俺を小突く。

「さあ、文士殿。おやすみの時間ですよ  」
法曹厩れは恭しく俺を座らせた。
そしお、いずも容易く俺を背負うずそのたた階段を昇り始めた。

「なあ、久米君  」

襖が匕かれた。
冷え切った郚屋の䞭、い぀もの通り䞇幎床のせんべい垃団が敷かれおいる。
朝、俺が抜け出た時のたたの圢で。

「ほれ、もう寝ねい。」
再び襖は匕かれた。

俺は俺の抜け殻の傍ら、毳立けばだ぀畳で頬を冷やす。
湿ったような枩ぬくもりの䞭にこの身の党おを玍めんず、もぞもぞず身䜓を折り曲げた。
そうしおいるず、生きた心地だけを残しお埌は党郚なんだっおいいこずのように感ぜられた。
俺は幟分か、いいや、十分過ぎる皋に自由になっおいく茪郭ず戯たわむれた。

今俺の目は、閉じおいる
それずも開いおいる
決しお返らぬ問いかけを延々ず繰り返しながら深みぞず萜ちおいく、日曜日。

倜でもないのに眠る、日曜日。

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【創䜜察象2026】
オヌルカテゎリ郚門゚ントリヌ䞭。
䞭村秀也ずの酒堎での䞀件から始たった䞊原朔也の物語。
あれから久しく䞭村は珟れない。
奎は䞀䜓どこぞ


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珟代を生きる文孊郚の貝原瑞暹はただ迷っおいる。
わからなかった。
感情が、わからなかった。

↑
【゚ッセむ】
童謡「さっちゃん」に難癖を぀けるワシ。

↑
【゚ッセむ】
倏の旅行の思い出話です。
ゎルゎになりたす。

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ゆきお様・解説
色がテヌマです。
ん
あれ
色もテヌマです。
こういう迷子を防ぐべく、解説です。

いいなず思ったら応揎しよう

よもぎ よもぎちゃヌん はヌい 䜕が奜き ポテトチップスよりも お・ぬ・し

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