死に際の自殺
ゆめをみた。
人ともつかぬようなものに、おもむろにカメラを向けられ、首から心窩部あたりまでをざっくりと切られる夢を見た。
それでもわたしは生きていた。生きながら痛みつづける苦しさを与えたいという憎しみなのか、はたまた衝動的な加虐性なのか、相手にどのような気持ちがあるのかわたしには何ひとつとして理解し得なかった。まるでずっとその運命を待ち望んでいたかのように、わたしは短剣を無抵抗に受け入れる。
靄のかかった思考のなかで、相手がことばの通じないものであるということだけは底なしの確信があった。
彼女は私を切りつけたあと、包丁の試し切りのように私の隣にいた何者かの手背ざっくりと切った。こんなんじゃ人は死なないんだよ、痛みに苦しんでいないとおもしろくないよと憂いの薄影を落としながら彼女はその意味だけを発した。
現実と夢とのあいだを仕切る薄い膜が剥がれ落ちる。その最後の裾が引っかかるように頚部から心窩部にかけての鈍痛だけがのこり、わたしは目覚める。
さっきまでの傷みは現実的な胃痛へと変わり、恐怖感は一気に存在の意味を問う絶望へと移り変わっていく。
