小説|百奇夜行 本編060 切札〜世界が救われるまで、あと40話〜
『切札』
みたいなね。
「ラーメンズかよ」
いや、どうして私生きてんの。
「俺が手に持ってる物、ナイフに見える?」
………八村、塁じゃないか。
「そう、八村塁」
「勇者の剣を手に取ったとは言ったけど」
「実際に山本さんへ突き立てたのは八村塁」
「八村塁では、人を殺せない」
うん、私には通じてる。
でもこのやり取りの意味が分かる人って、
たぶん世界に一人しかいないよね。
「一人いれば十分だよ」
びっくりして世界を滅亡させ忘れちゃったけどさ。
「すげぇセリフだな」
何もかも台無しだ。
大オチをスカすって何考えてんの。
これもう今すぐ世界を滅亡させるしかないよ。
まさに取り返しのつかない状況。
「勝負はまだ終わってない」
終わったよ。
崎山さんのチョンボで私の勝ち。
近年稀に見る世紀の凡戦。
末代まで語り継がれるんじゃないかな。
「いいの?そんなこと言っちゃって」
後は退屈なエンディングが待ってるだけだからね。
「こっちにはとっておきの切り札があるのに」
寝言は寝て言うもんだよ。
「寝てるんだよ。ここは夢の世界だろ」
あぁ、忘れてた。
「この切り札で山本さんを完全に負かしてやる」
面白い。
そんなものがあるなら早く見せてもらいたいね。
さぁ出してみなよ、崎えもん。
ここから世界を救える秘密道具があるならさ。
「これ、なーんだ?」
何それ?
「山本さんの苗字にも入ってるものだよ」
本?
「何の本だと思う?」
…。
「反応が薄いってことは、あの時には気付かなかったんだ」
あの時?
「もう一人の俺から拝借したんだよ。夢見亭でね」
「俺ともう一人の俺が『個室』トイレで用を足すくだり」
「明らかに要らない場面だったけど」
「実はめちゃくちゃ重要な伏線だったんだ」
「目立つ動きや会話をすれば山本さんに気付かれてしまう」
「だから無断で拝借するしかなかった」
「もう一人の俺のトイレ中」
「描写するに値しない最小限の動きで本をしまい込んだ」
で、そうまでして手に入れた本がどう役に立つの?
「こっちには『火売』の少女からもらったマッチ」
「こっちにはもう一人の俺が持っていた奇妙な本」
「これをこうして」
「こうすんの」
待って!それが燃えたらどうなるか!
「分かってるよ」
「『視線』でもう一人の俺が言ってたもんね」
「処分したら良くない事が起きるってさ」
「この本には現実の俺の物語が書かれてる」
「ってことはリンクしてるんだろ」
「この本と現実の世界」
「これで立場は対等になった」
「俺も現実の世界を滅ぼすことができる」
「次はそっちが『選択』する番だ」
「物語と現実、二つの世界を滅ぼすのか」
「それとも、俺達と一緒に二つの世界を救うのか」
「作者なんだろ」
「終わり方は自分で決めろ!」
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登場人物/設定/題名
物語の世界の小林…世界を救う者。
ガチ部屋の創始者。
類い稀なる問題解決能力の持ち主。
とある講座で知り合った私の友人。
世界を滅ぼす者との最後の戦いへ。
物語の世界の崎山…世界を救う者。
ガチ部屋のメンバー。
『一奇夜行』の読み手。
『十奇夜行』の書き手。
類い稀なる素直さといい声の持ち主。
とある講座で知り合った私の友人。
世界を滅ぼす者との最後の戦いへ。
物語の世界の山本…世界を救う者
になるはずだったのに逃げ出した臆病者。
ガチ部屋のメンバー。
『十奇夜行』の読み手。
『百奇夜行』の書き手。
類い稀なる巨乳の持ち主。
ただの私。
行列から吊橋へ連行される。
あなた…この物語の読者。
想いを言葉にした時、『結末』は変わる。
現実の世界の小林…私の友人。
『百奇夜行』を読んでいるかもしれない。
現実の世界の崎山…私の友人。
『百奇夜行』を読んでいるかもしれない。
現実の世界の山本…世界を滅ぼす者。
世界を救う為に倒すべきラスボスの正体。
『百奇夜行』の作者。
note/カクヨム/TALESにて連載中。
世界を救う者との最後の戦いへ。
『視線』…百奇夜行 No.060の題名。
現実と物語がリンクしている本の物語。
本編登場済:75/100 話
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