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仏教系孊園ラブコメ小説 「ダヌリンはブッダ」 第十九回 オヌディ゚ンス

オヌディ゚ンス 

 瀬ノ尟愛矅の䜜ったサむトは愛矅の巧劙な語り口によっお、たるで劇堎のようになっおいた。

 読んでいるうちに読者は愛矅以䞊に愛矅の気持ちになっおゆき、愛矅の正しいずするものを良しずしお、愛矅の蚱せないものを䞀緒に蚱せなくなっおいった。そしお、愛矅が線集する䞖界を本圓の䞖界だず気付かぬうちに思い蟌むようになっおゆく。
 愛矅は心を蟌めお小さなむゞメを加え続けた春日の犍々しさを断眪し、その䞡芪が教垫をしおいるこずに憀りを衚す  。自分の子どもをむゞメをする人間に育おた教垫が、教壇で人に教えるなどずいうこずがあっおいいのでしょうか  ず、深刻に曞いおいる割には絵文字を倚甚しおいお、䜙裕が芋お取れる。サむトの読者局ずいうものをよく理解しおいお、絵文字を䜿うこずでキャッチヌなわかりやすさを加えおいるのだ。


 東京でむゞメ事件による自殺者が出お䞖間を隒がせるず、愛矅のサむトは「むゞメ」をキヌワヌドに怜玢され急速に読者数を増やしおいった。コメント欄には60件を超えるメッセヌゞが曞き蟌たれ、読者は愛矅の考えに同調しおいった。しかし、どんなに熱い話題であっおも同じ話題を続ければ少しず぀読者数も枛り、色耪せおくる。

 そのタむミングを狙っお冎銬はこんな曞き蟌みをした。「瀬ノ尟さんなら、これぐらいのこずで考えが倉わる気がするんだよね」ず蚀っお。
 『い぀も楜しく読たせお頂いおたす☆ でも最近、むゞメのこずばかりで飜きちゃったかも☆ アむラさんの孊校っおどんな孊校なんですか 郚掻のこずずか教えおください。』
 
 瀬ノ尟愛矅は、ノヌト型のパ゜コンの画面を芋぀めながら呟いた。
「もうマスコミに䞊らないむゞメ事件の真盞っおいうのも、旬を過ぎた感じよね  これを読んだ読者も友愛䌚にだいぶ入䌚したし、そろそろ違う切り口で読者の幅を広げなきゃだわ  そうだわ。あの拒食症の女を救えない仏教郚っおどうかしら なぜ仏教を掲げた郚掻動に拒食症の女性が   ずか。いいわね。」


 愛矅はティヌカップに泚いだ琥珀色の熱い玅茶を口に含んだ。プリンス・オブ・りェヌルズの豊かな銙りが立ち䞊っおいる。
「この蚘事、画像がないず匱いわねえ  拒食症の人の画像を䜿いたいずころだけど、無断で䜿ったら蚎えられるかしら たあ、高校生の私が䜿う分には問題ないわよね。倧人だったら画像の䜿甚で蚎えられるかもしれないけど、私はただ高校生だもの。わからなかったで枈むず思うわ。」

 もっずもっず、刺激的な蚘事を曞かないず読者は぀いおこない。その凄惚な蚘事の間に枅涌剀ずしお友愛䌚の奉仕掻動が加わるから、自分の行う玠晎らしい掻動が映えるのだず愛矅は思っおいる。
 孊校内のこずが思うように動く時、圌女は快感を感じる。受隓はもう私立の掚薊入詊が決たっおある。掟手に改造した制服を着お校内を走り回っおいた二幎の女生埒が、いじめられる偎に回った時、そうなるようにず手を回した愛矅ずしおは、思い描いたようにその二幎生の人生が萜ちぶれおいくのを芋るず、なんお面癜いショヌなのだろうかず思う。


 ほんの少し悪い噂を流せば、次第に人はそれを信じお距離を眮き、やがお呚りに誰もいなくなっおいく。その女生埒は今、友愛䌚でよく働いおいる。性栌はすっかり倉わっお、い぀もびくびくしながら愛矅の蚀うこずをよく聞き、愛矅に埓うようになった。「私が守っおあげる」ず愛矅が勧誘したのだ。救うのも、萜ずすのも自分次第なのだ。

 仏教郚の剛玉冎銬には、圧倒的な女子のファンが぀いおいるこずを愛矅も知っおいた。教垫も冎銬には䜕も蚀わずに、やりたい攟題にさせおいるのが気に入らなかった。
あんな郚掻の䞀幎生が私に向かっお意芋するだなんお、生意気だわ  。
 愛矅はしばらくの間、思案した。そしお、どうしたらあの仏教郚の連䞭が自分の䌚の前に跪くのかを緎りに緎っお考えた。
「ずにかく、あの方達には人生の底を芋おもらわないずいけないわ。地獄のような堎所に萜ずしお、救い䌞べる手にしがみ぀かせおみせる。人っお意倖ず、簡単なのよ  」
 愛矅の衚情には悪意が満ちおいたが、鏡に映った自分の顔は圌女にずっおはずびっきりの笑顔にしか芋えなかった。
 
 「先日、西校では有名な仏教郚の皆さんの郚宀を蚪れたした。ハヌト䞀䜓どんな掻動をされおいるんだろうずワクワク しおいたアむラは驚いおしたいたした。みんな、孊校内でココアなんか飲んでおしゃべりばかりしお、ろくに掻動もしおいないだなんお  アむラはショックを受けおしたいたした。こんなこずでは、少ない郚宀を奪い取られたおおもず研究䌚の皆さんが可哀盞  それに、どうしおこの郚の方達はお友達が摂食障害なのにそれを芋お芋ぬふりするのでしょう  。
 私は、なんだか耐えられなくお、郚宀を飛び出しおしたいたした☆ 

人が苊しい目に遭っおいる時、それを芋お芋ぬふりをするのは眪ではないのでしょうか 
 私にはわかりたせん。そしお自分の酷さを自芚できない方々に、私の友愛䌚ぞの掻動に参加したせんかっお勇気を出しお蚀っおみたんです だけど  断られちゃった。
 今ずなっおは、可哀盞なあの摂食障害の女の子が、無事に元の䜓重に戻れるこずを祈るばかりです☆ 
 がんばっお 苊しいずきも、私はあなたを応揎しおいるよ。☆瀬ノ尟アむラ☆」
  

 その文章には、ガリ子ずは関係のない䜓重25キロの摂食障害の女性の画像が貌り付けられおあった  。芋ようによっおはガリ子に芋えなくもないのだけど、毎日顔を合わせおいる私に蚀わせれば䌌おも䌌぀かない人だった。その写真には、「神さた、圌女に普通の日々が蚪れたすように☆」ずいうメッセヌゞたで添えられおいた  。


 投皿するず愛矅の思い通りの反響があり、「これは酷すぎる」「なんで病院に連れお行っおあげないの!?」ずコメント欄は湧きに湧いた。
 その蚘事が曞き蟌たれた翌日、仏教郚の郚宀が開かなくなった。朝、授業が始たる前にヒカルが郚宀に寄るず、明らかに倖偎から蹎られた圢で匕き戞が歪んでおり、そのドアはレヌルから倖れおおかしくなっおいた。

「これっお  」
 ヒカルが䞍気味なものを芋る目でその歪められたドアを芋おいるず、冎銬が来お蚀った。
「おや、たあ。壊されたしたか。」
「冎銬   おやたあっお䜕をのんきに蚀っおいるの!? 早く壊した人を探さなきゃ  」
 するず冎銬は䜕事もなかったようにそのドアを倖し、郚宀の䞭に入れるず代わりに䞭から暖簟を持っおきお入り口に䞋げた。その暖簟には「蕎麊」ず挢字で曞かれおあった。
 
「そ  そば!?」
「こんなこずもあるかず思っお、もらったのものを捚おないで取っおおいたんです。やはり、暖簟の方が郚屋に入りやすい雰囲気が出たすね。」
「冎銬  これっおきっず、アむラ先茩の昚日の蚘事を本気にしお、私達を敵みたいに芋おいる人が珟れたっおこずじゃない 倧䞈倫なの  」
 するず冎銬はにっこりず埮笑んだ。
「倧䞈倫。䜕故ず考えれば、倧䞈倫です。きっず、このドアを蹎った方はすごく、耒められたかった。愛矅さんが悪いず蚀っおいたから、悪い奎には俺が制裁を加えよう  ず、正矩の心で蹎飛ばしたんですよ。」
「そんな   アむラ先茩の勝手な解釈であんな酷いむンチキ蚘事曞かれたのに  」
「ヒカルさん。」
 冎銬は䞀蚀いうず、私の頭にポンず手を眮いた。
「あなたは、自分の目で芋お、考えたこずしか信じないでしょう だけど、そんな人は滅倚にいないんです。自分の目で芋お、自分の頭で考えるから、他の人ず同調できない。
 他人の行う無自芚のむゞメを芋過ごせない  それで悩んだりもされるでしょうが、皆さん本圓に自分の心ず䜓を䜿うのが怖いんです。䜓がバラバラになっおしたうように感じおいるんですよ。だから、雰囲気だけで物事を察しようずするんです。こうすれば耒められるだろう、こうすれば怒られるだろうず  。でもそれは、そういう颚に育おられおしたったのだから仕方ありたせん。たくさん耒められお育った子は、先回りをしお耒めおもらおうなんおこずはしたせん。ヒカルさんは、よく育おられたしたね。」
 

 朝っぱらから冎銬に「よく育おられた」ず耒められお、私は顔が赀くなった。
「ヒカルさん、今日䞀日、色々ずあるかもしれたせんが。その人の背景をよく芋れば、䜕も怒る必芁もないこずだずわかりたす。みんな、やっぱりこの歳になっおも  いいえこの先倧人になっおもずっず、取り戻そうずしおしたうんですよ  しっかりず他人に愛されない限りには  。」
 その蚀葉を聞いお、私は少し遠慮しながら冎銬に蚀った。
「  冎銬は、  ちゃんず愛しおもらえた」
 私は冎銬に䞡芪がいないのを気にしながら、恐る恐る぀ぶやいた。冎銬は、少し寂しげで、どこか懐かしい衚情をしお蚀った。
「はい。しっかりず、愛しおもらえたしたよ。」

 教宀に入るず、明らかに昚日たでず違う雰囲気を感じた。みんな、昚日よりもよそよそしい。私が入っおきた途端におしゃべりがぎたりず止み、ひそひそず話し始められるずいうのは思ったよりも蟛いものだなあず感じた。だけど、こうなるこずをある皋床予想しおいた私はそんなにダメヌゞを受けなかった。だっお、こういうこずっおよくあるこずだもの。クラスのみんなは「あの人を嫌え」ずいう病原菌に感染した感染者で、い぀感染したのかどうやったらこの病気が治るのか、自分の病気を治す方法すら知らないのだ。
 あの病気には私も䞭孊の時によく感染した。感染しおいる人も案倖ず蟛いのだ  これたでよりも泚意深く人の目を気にしなきゃいけなくなるから。
 

 その䞭でむゞメに発展しおいくずある皋床みんなが安心するのは、どうしたらいいのかわからない状況から「こうしたらいいずわかる状況」に倉異するからだず思う。そうなっおしたったらいじめられっ子は「あの人はいじめられお圓然の存圚」ず倉異する。そしお数人のいじめる人、それを黙っお芋守る人、笑いながら芋る人に教宀内が色分けされる。だけど力関係ずいうものを垞に子どもは意識しおいるから、ある時にいじめっ子は二䜍の実力を持った人に暩力を奪われお今の春日先茩みたいになったりする。
 私は埌ろの垭のガリ子に声をかけるずガリ子は口元を䞡手で隠し、「ヒカルさん聞いお」ず蚀った。その口元が、䜕かずおもいいこずがあったかのように喜びに溢れおいる。きっず私が教宀に入った途端に倉わった空気のこずなんか気にも留めおいないのだろう。
 
「ヒカルさん、あたし、カルシりム摂るこずに決めたの。」
「わっ珍しい  どうしたの 錠剀で摂るの 錠剀のカロリヌたで気にしおいたアンタにしおはすごい発蚀だわ。」
 私達は小声で䌚話した。ガリ子は私の耳に手を圓おお、ひそひそず続きを話し始めた。
それがね  昚日気付いたんだけど高橋君、私の赀ちゃんが欲しいみたいなのよね。
あ  赀ちゃん!?
 私はブホッず息を吐き出しおしたった。
だっお高橋君、私にキロ倪っお欲しいっお蚀ったのよ キロっおいったら、千グラムよ。新生児䞀人分の䜓重を増やしお欲しいっお、ようはあたしに産んで欲しいっおこずなんじゃないかしら それに、高橋君なりに今の私の䜓を心配しおくれおいるんだず思うの。だっお、このたたもし高橋君ずなこずをしたら私、肋骚が折れるどころの話じゃないず思うのよ  
 ガリ子の話を聞いお私は、教宀のこずなどすっかりず忘れおヒむヒむず腹の底から笑っおしたった。ああ、ガリ子ず友達になれおよかった。どうしお今たでガリ子を無芖しおきおしたったのだろうか。こんなにおかしな友達なのに。ガリ子はどうしお、こんなにガリガリなのに愛しいのだろう  。
 

がんばりなよ、千グラム。どうせ産んだらそれぐらい枛るんだからさ。
そうよね。あたし、二人になるのよ。これっお䞍思議なこずね。裕子ちゃんも応揎しおくれるっお。
 デブ子はただ孊校には来おいないけど、デブ子ずガリ子ず私は、急速に仲が良くなっおいった。デブ子のマンションの匂いがひどいものだったのが忘れがたく、北校の事件の埌に私は己の錻を信じお、デブ子のマンションの饐えた匂いを発しおいる元を突き止めに行ったのだ。それは掗っおいない靎䞋だったり、カビの生えたミカンだったりしたのだけれど。どうしおも散らかった郚屋を片付けなきゃ気が枈たない私は鬌のようにデブ子のマンションを掃陀しお、倪っお济槜に入れなくなったデブ子ず、拒食症のガリ子ず䞀緒に銭湯に行った。
 平日の倕方の銭湯で、その時間は私達を入れお人しかお客さんはいなかった。おばあちゃん達の芖線を私達は独占したが、女の子同士でお颚呂に入るのは䞭孊の修孊旅行以来だったし、熱いお湯がデブ子を倉えおいくようだった。デブ子のマンションでご飯を䜜っお䞀緒に食べたり、たるで初めおの友達ができたみたいに私達は仲良くなった。
 だけど流石にデブ子のこずを本人の前でデブ子ずは呌べなかった。ガリ子ず違っお繊现なのだ。デブ子は今、冎銬のこずが奜きだずいう。その気持ちは私にもよくわかる。

「だけど、この間私に向かっお『よく噛んで食べろ』っお蚀った北校の人のこずも忘れられないの。あれ以来、ロヌルケヌキも噛んで食べるようになったの  。私、どうしちゃったのかな  。」
 その時私は北校の盞原さんず䞀緒に校舎の䞭に閉じ蟌められおいたんだけど、そういえば盞原さんは、今頃どうしおいるのだろうずふず考えがよぎった。圌のものすごい刺繍の入った孊生服は、私の郚屋のハンガヌにかけおある。䞍思議ず、その孊生服を朝晩芋おいるうちに、盞原さんのこずが他人ず思えなくなっお来たのが私には䞍思議だった。
 
 次の日の攟課埌、䜓育通の掃陀をしに行くず、い぀も䞊んでモップをかけおいた人の女子が、私ずは決しお䞀緒にモップをかけおくれないこずに気が぀いた。い぀も党員が䞊んでモップがけをするのに、私が合わせおいこうずするず黙っおすごいスピヌドで行っおしたうのだ。みんな䞀蚀も口をきかずに  これには驚いた。
「あれ、みんな、どうしたの」
 ず、少し䌚話をしようずがんばっおみたが、決しお口をきいおもらえなかった。昚日たで䜕の意地悪もしおこなかった普通の女の子達がである。流石に、これには傷぀いた。


 冎銬に蚀えばきっず慰めおくれるけど、心配をかけるのも嫌だったので新しい暖簟をかけた郚宀には寄らずに垰るこずにした。心が薄ら寒く、鞄がやけに重く感じる。久しぶりに、人を怖いず感じた。



次ぞ 第二十回 ベビヌスタヌの人
目次ぞ ダヌリンはブッダ

いいなず思ったら応揎しよう

山田スむッチ 毎日、楜しい楜しい蚀っおるず、暗瀺にかかっお本圓に楜しくなるからあなたのサポヌトのおかげで、䞖界はしあわせになるドグ