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仏教系孊園ラブコメ小説 「ダヌリンはブッダ」 第十䞀回 ガリ子、善戊す。

ガリ子、善戊す。

「どうしおそうなっおしたったのですか」 

「アアン  」
 ナヌゞは顔をしかめお蚀った。冎銬はもう䞀床問うた。
「どうしお、そうなっおしたったのですか」
 呚りのモヒカン衆がぶち切れたように叫んだ。
「なんだテメ゚、俺たちを吊定しようっおのか!? 䞊等じゃねえかよ」
 ゚ンゞン音が野獣の咆哮のように響き、䜕台かのバむクが呚りを八の字に走行した。
「吊定は、しおいないです。むしろ、興味があるんだ  どうしおそうなっおしたったのかに。あなた方はずおも耇雑で、匷さを求めおいるように芋えるけど、それは匱さの裏返しだ。愛情を求めお裏切られるのが怖いんだ。怖いから最初から求めずに砎壊する  ただの臆病者だ  」


 臆病、ずいう蚀葉にナヌゞがぶち切れた。
「ンだずコラァ ナマスみたいに现かく、きれいに切り刻んでやろうかあ」
 するずメリケンサックを付けた巚䜓のモヒカン男が二人、冎銬の前に立ちはだかった。
「蚀っおくれるじゃねえか、兄ちゃん  あの䞖で埌悔しな」
 モヒカンが同時に冎銬に躍りかかった。その瞬間、倪い拳に突然でかい足がのしかかり、䞀方のモヒカンに膝蹎りを食らわせ、倒れかかる勢いでもう䞀方のモヒカンに゚ルボヌドロップを食らわせた男がいた。タカハシである。ドサッずいう音をさせお二人のモヒカンが厩れ萜ちる。
「匱えダツだなあ  、この間は俺がわざずやられおやったっおこず、知らなかったのかよ」
「この野郎」
 ナヌゞの背埌にいるモヒカン数人ずずリヌれントの数人が躍り出た。
「お前らの動きなんお、この間ので党郚芋切ったっおの。お前ら知らないだろうがよ、俺の兄貎は高校ボクシングのチャンピオンだぜ  オラアアアアアッッッ」

 タカハシが躍りかかるず蹎り䞀぀で確実にモヒカン達を朰しおいった。容赊もなく顔を狙っおいくタカハシ。靎の先に鉄が仕蟌んであるダンキヌ仕様のタカハシの靎からは、流線圢に赀い血が舞った。
「タカハシ君、傷぀けないで。忘れたの 非暎力だよ」
冎銬が蚀う。
「お前、俺が誰のために闘っおるかわかんねえのかよ お前はいいけど、そい぀ら女だろ!? 守らねえでどうすんだよ」
 ガリ子ずデブ子が同時にずきめいた。自分のために闘う赀髪のタカハシが䜕故か栌奜良く芋える。その時、タカハシの埌ろに回った黒く長い髪を䞀぀に束ねた男が鎖の付いた朚補のヌンチャクを回し、䞀気に振り䞋ろした。
「危ない 高橋君  」
「ぐふうっっっ」
 タカハシは頭に暫の朚の䞀撃を受け、よろめいた。
「いい気になっおるねえ  お調子者さん  」
 

黒髪の男がヌンチャクを構えおいた。長い髪が颚に吹かれるず刀のように现い切れ長の目が芗いた。
「あヌらたヌ。セバスチャンも出おきちゃったねえ。今日はちょっず、面癜いよねえ」
 セバスチャンず呌ばれた男からは知性が感じられた。力だけでなくちゃんず頭を䜿っお攻撃しおくるタむプだ。セバスチャンの本名は誠十郎だが、セヌゞ、セヌちゃん、ずあだ名が進化しおいった結果、誠十郞のせの字しか残らないセバスチャンずいうあだ名になった。北校でもナヌゞの右腕玚の匷さを誇るダンキヌである。
「  飛び道具䜿うなんお、卑怯じゃねえか  」
 タカハシが声を振り絞る。
「そんなこずは靎先に鉄を仕蟌む前に蚀え」
 セバスチャンがヌンチャクを肩に構え、そこから腕を䌞ばしたず思ったら氎平に回し蟌んできた。瞬間にヌンチャクの連打がタカハシの顔面を襲う。ガリ子が叫んだ。
「むダアアアアッッッ」
 タカハシが厩れ萜ちる。顔から錻血を流しお意識を倱ったタカハシにガリ子が駆け寄った。
「高橋君」
 駆け寄る途䞭で股関節が倖れたらしく、ガリ子は「くうっ 関節、倖れた」ず叫びながらカクカクずタカハシに寄り添った。
「よよよ、よくも、私の将来のダンナ様を傷぀けおくれたわね  」
「  おいおい、アンタはかかっおこなくおもいいだろう」

 セバスチャンが目を现め、咥えた煙草に火を付けるずポッず煙草の先が赀い光に染たった。ナヌゞは黙っお煙草を咥えおセバスチャンの咥えた煙草からもらい火を受けた。


「あなた、高橋君の顔面を割っおおいお、䜕を悠長に煙草なんか吞っおるのよ タダで
は垰さないわよ」
「っおいうか、お前  ガリガリじゃないかよ  」
「摂食障害よ」

 埌ろにいるダンキヌ達がざわめいた。


「おい  せっしょくしょうがいっおなんだ」
「あれじゃね なんか食っおも吐くや぀じゃね 食っおも吐くから栄逊にならねえんじゃね」
 ガリ子はダンキヌ達を真っ盎ぐに芋据えお蚀った。
「それは嘔吐をするタむプの摂食障害よ。私は嘔吐なんかしないわ。䞀日にリンゎ䞀個も食べないから、吐く量なんおないのよ。䜓に脂肪がほずんどないから、冬になるず手足が寒くおシモダケができるの。冷え性、半端ないわ。今も寒くお死にそうよ。だけど脂肪分のあるものを食べお倪るぐらいなら、私は食べずに死んでいきたい。誰にも迷惑をかけずに静かに消えおいくために私は生きおいるのよ。ほら、これが私が䞭孊の時から䞀日にリンゎ半分で生きおきた蚌よ  」
 ガリ子はセヌラヌ服の裟を胞の高さたでめくっお芋せた。ダンキヌ達の間にどよめきが走る。

「お前、ガリッガリじゃないかよ」


「薄い、薄すぎるぞ、あばら出過ぎだろ!?」
「なんか  コレ、可哀盞になっお来た  」
 ガリ子のあたりの痩せ现った䜓に、䞀同がどうにもならない感情を抱いた。䜕が起こったかわからず吠え出すモヒカンもいた。セバスチャンがナヌゞに振り返っお蚀った。
「俺、この女、殎れない  なんか、気持ち悪いし  」
 ガリ子はセヌラヌ服の裟を戻すずセバスチャンに向かっお蚀った。
「殎っおみなさいよ  蚀っおおくけどねえ、私に䞀発でも手をあげおご芧なさい。あなた、殺人未遂じゃなくお殺人の珟行犯で逮捕されるわよ 芚悟はできおいるでしょうね!?」
 そう蚀うずガリ子は䞀歩、歩を進めた。するず自らが倉な圢で厩れ萜ちた。

「アアアアアアッッッ 関節、䞡方倖れた」

 デブ子が駆け寄っおくる。
「咲ちゃん」
「アアア、あたしったら、ちょっずがんばり過ぎたみたい  股関節、䞡方脱臌しおるっぜい。裕子ちゃん、あずで救急車呌んで  」
 ガリ子はそう蚀いながら、その堎にくずれ、癜目を剥いた。


「咲ちゃん、もう無理しないで」
「っお、なんか今床は倪いのが出おきたぞ  」
 ナヌゞは煙草の煙をくゆらせながらデブ子を芋぀めお蚀った。
「ねえ 西校の坊さん、アンタ、倉なの集めるの趣味なの 次から次ぞず倉なのばっかり出おくるじゃん。」
 するずデブ子は急に立ちくらみを起こしお息をれむれむず切らせながら膝を着き、振り返っお冎銬に蚀った。
「冎銬君  倧倉、血糖倀がどんどん䞋がっおきおる。そこの、私の鞄  取っ  お」
 冎銬はデブ子に急いで鞄を投げ枡すず、倧型のスポヌツバッグの䞭からロヌルケヌキの箱がゎロゎロず出おきた。箱には䞊品なデザむンの金の文字でで「代官山 シェ藀井」ず曞かれおいる。箱を開け、ロヌルケヌキを䞀本䞀口の勢いで食べおいくデブ子。デブ子は次々にロヌルケヌキの箱を空けおいく。ダンキヌ達が目の前で繰り広げられる光景にどうしおいいのかわからず、うろたえ始めた。デブ子の過食ショヌが始たったのだ。

 ロヌルケヌキの鵜呑みを芋お吐きそうになっおいる連䞭もいる。恐いくらいにロヌルケヌキがデブ子の䜓内に消えおいく。ムグムグず食べ続けるデブ子の姿を芋たセバスチャンがたたらずに叫んだ。
「よく噛んで食べろ」
 デブ子はびくっず震えお、セバスチャンを芋た。呚りのダンキヌ達も同時にびくっずしおセバスチャンを芋た。こんなこずを蚀う圌を芋るのは初めおだったからだ。
「お前  、倪っおるからっお倪るような食べ方をするな よく噛んで食べろ よく噛たなきゃ食べ物の味がわかんねえだろう 噛たなきゃ消化にも悪いしいいこずない  っお俺は、䞀䜓䜕を蚀っおるんだ!?」
 するず冎銬が蚀った。
「倧切に育おられたんですね  」
「ハア!?」
 セバスチャンが振り返る。
「食べ物をよく噛んで食べるように、ご飯の床に芪埡さんが子䟛によく蚀っお聞かせた  それが身に぀いおしたっおいるから、倧山さんがよく噛たないで食べるのを芋お、あなたは蚀わずにおれなかった。」
「う  うるさいっ」
「どうしお、ご䞡芪から受け取った物をそうやっお卑䞋しおしたうのですか 思春期の成長ホルモンのせいですか あなたがそう育ったのは、ご䞡芪が苊しんで育おた結果なのに。どんな芪でも  いなきゃこの我が身がいない。いなきゃ䞖界は感じられない。」
「うるさいっっ 芪のこずずか抜かすんじゃねえ」
「僕には䞡芪がいたせん。」


 ほんの䞀瞬、闘いの堎が沈黙した。
「いや、いたんだけど母が、父を刺し殺したので。僕は歳の頃から斜蚭に預けられお育ったので、䞡芪っお䜕なのかわからないんだ。だけど、こうしお僕が生きおいるっおこずは、ちゃんずお腹の䞭で育おた母がいお、赀ん坊だった僕を誰かが育おおくれたんでしょうね  」
 そう蚀うずダンキヌ達の集団から、嗚咜が挏れお来た。
歳で斜蚭っお  しかも䞡芪、うちよりもダバむじゃねえかよ  
刺し殺しちたったのかよ  
 デブ子は重い衝撃を受けお、じっずしおいた。冎銬はにこりず埮笑んだ。するず、沈黙を突き砎るようにナヌゞは倧げさなあきらめ声を吐き捚おた。

「ああ、ああ。お涙ちょうだいっおわけなんかなあ、坊さん。」
 バむクに預けた䜓を起こし、こっちを向いおナヌゞは倧きな声を出しお蚀った。
「悪いけどさあ、俺にはそんなの効かねヌよ。  効かねえんだよ。なんおったっお俺も、斜蚭の出身だからさあ  芪の顔ずか芋たこずねヌわ。あのさあ、芪がいねえおめえよりもさあ、芪がいるのに虐埅された俺の方が悲惚じゃね なんおいうの 育児攟棄っおダツ 愛ずかないんだよねえええ。だから生きおおも、しょうがないんだよねえ  ケンカするぐらいしかさあ  」

 ナヌゞの背䞭に月光が降り泚いでいた。
 ナヌゞの母芪は、ナヌゞを構うこずを䞀切しない母芪だった。
 話しかけるこずもせず、泣き叫ぶ幌児を䞀切、無芖した。思うように育おられないず小さなナヌゞを狭い抌し入れの䞭に入れ、攟眮した。保育園から戻るずナヌゞの盞手はい぀もテレビだった。ナヌゞは人の蚀葉を教育テレビの子䟛向け番組を芳お芚えた。そのうちにナヌゞは泣かない子䟛に育った。斜蚭に預けられた才の時既に、感情を出しお泣くこずが無駄であるこずを知っおいたのだ。


 月光を受けお冎銬は癜く照らし出された。その姿が普段の生掻で芋るこずがない、この䞖ならぬ者に芋えるこずに倚少の畏れを感じながら、それでもナヌゞには「これから起こるこずは自分の人生に䜕の圱響も持たない」ずいう、絶察的でよく慣れ芪しんだ孀独をもたらしおくれるず感じおいた。

 ケンカをするずきに感じる䞀瞬の昂揚ずその埌の孀独  ナヌゞはポケットに手を突っ蟌み、巊右に揺れながら、冎銬ずの距離を瞮めた。ナヌゞには䞀぀だけ奜きなこずがある。ケンカの盞手を人間から屑のような物質になるたで、殎り぀けるこずだ。
 殎っおいるうちに盞手の意識がなくなり、重たいただの物質になる瞬間が奜きだ。虚無感が圢になっお珟れるから。意味があるように芋せかけおいる人間が、ただのゎミのように転がった有様を芋せるのが奜きなのだ。ナヌゞの虚無感を受け止められるのは、ただの物䜓ずしおの肉䜓に他ならないのかもしれない。
 冎銬ずナヌゞは向き合った。ナヌゞは顔を斜めにしお、䜓を巊右に揺らしおいる。瞬間、冎銬は぀ぶやいた。
「揺れおいるのか、揺らされおいるのか  」
 ず。
「ハア」
 ナヌゞが蚀った。
「僕にも、巊右に揺れる癖があるんだ  。巊右に揺れおいるず萜ち着くんだ  それは、揺れおいるのか、揺らされおいるのか  誰が揺らしおいるのだろう」
 そのずきナヌゞに感觊ずしお残っおいた叀い蚘憶が蘇っおきた。誰かが小さな自分を抱いお巊右に揺れながら、自分をあやしおいる。その感觊がありありず蘇っおきた。ナヌゞの目から黙っお䞀筋の涙がこがれ萜ち、「濡れた」ず感じた。
 才から才たで涙を流したこずのないナヌゞにずっお、それは最初䜕なのか蚳がわからなかったが、本人の自芚もなく瞳から溢れおきた䞀筋の涙だった。
「赀ん坊は、たった䞀日攟眮しただけでも死んでしたう。生きおいるずいうこずは、誰かに倧事にされた蚌なんだ。嘘だず思ったら、自分の手を芋るずいい。その手が動いお血が通っおいるのなら、䜕者かの意志が君を守るために働いた蚌拠だから」
 ナヌゞは冎銬を芋た。冎銬の県は䜕をも恐れず、ただ静かに優しい県をしおいた。ぎくりず動いた自分の指先に、血液が流れるのを感じた。自分の血が指先を流れる音を聞いたような気がした。身䜓䞭を流れる滝のような音だ。それは、䞀床も感じたこずのない感芚だった。


 その静寂を突き砎るように突然、サむレンが鳎り響いた。
 北校の校舎に赀いラむトが回転しながら近づいおくる。「䜕だ䜕だ!?」ず北校のダンキヌ達がうろたえ始めた。するず、今たで沈黙しおいたデブ子が、携垯電話を握りしめながら恥ずかしそうに蚀った。
「あの  私、救急車呌んだんだけど、咲ちゃんのこずが心配だから、䞀緒に乗っお垰りたす。あず、高橋君も乗せおいくね、意識ないみたいだから  」
 ナヌゞはハッず我に返った。
「倧山さんは、機転が効くね。」
 冎銬が蚀った。ダンキヌのモヒカンずリヌれント連䞭が譊察のサむレンず勘違いしお慌お始め、「マッポだ」ず叫んでバむクに跚がり、次々に逃げ始めた。セバスチャンも予想も぀かない展開に煙草を咥えながら「䜕なんだ、これは  」ず冷や汗を流しおいる。
「ケンカの最䞭に救急車䞡呌ぶなんお、アリかよ  」

 台の救急車が駆け぀けサむレンがぎたりず止み、救急隊員が担架を担ぎながら降りおきた。ガリ子の肩をトントンず叩きながら「倧䞈倫ですか!? 意識はありたすか!?」ず声をかけおいる。「ええっ!? あなた、付き添いの人!? 䞭に入るかなあ  」ず救急隊員はデブ子の䜓栌を芋お恐怖に顔を匕き぀らせたが、デブ子は勢いで乗り蟌んだ。
「剛玉君、あたし咲ちゃんに付いおいくから、ヒカルさんのこずお願いね」
 デブ子は自分の䜓を抌し蟌めるように救急車の䞭に乗り蟌み、自分で車䞡のドアを閉めた。気絶したタカハシも運ばれおいく。䞀連の隒ぎに呆然ずしおいたナヌゞだったが、振り返るず冎銬に向かっお蚀った。
「坊さん、アンタの頭。かち割っお脳みそ䞭から出しおやろうず思ったけど、たた今床にするわ。俺は北校のナヌゞ。芚えおおけよ  」
 冎銬はフッず埮笑んで蚀った。
「ナヌゞ、さんですね。たた䌚いたしょう  」
 ナヌゞはメットを被りながらバむクに跚がるず蚀った。
「そうそう、アンタの関係者の女の子ね、孊校の䞭にいるから。たあ、今頃はもう倧倉なこずになっおいるかもしれないけど じゃあ」


 そう蚀うずナヌゞの乗る改造した黒のホンダ1300はドルン  ずいう音を立おお匧を描くように校舎前を半呚し、倜の闇ぞず消えおいった。ナヌゞの埌を远うようにセバスチャンの黒光りするハヌレヌダビッド゜ンのバブ・ゞャパン・゜フテむルがでかい゚ンゞン音を立おお远いかけおいく。救急車のサむレンが再び鳎り出すず、冎銬は北校の校舎の䞭ぞ急いだ。



次ぞ 第十二回 奜きな人のこず考えるず、考えすぎお頭痛がしおくるよね
目次ぞ ダヌリンはブッダ

いいなず思ったら応揎しよう

山田スむッチ 毎日、楜しい楜しい蚀っおるず、暗瀺にかかっお本圓に楜しくなるからあなたのサポヌトのおかげで、䞖界はしあわせになるドグ