「いいサービスを作れば売れる」は半分ウソ。個人開発は“売り方”から逆算する
個人開発を始めた頃、私はかなり本気で、
「便利なサービスを作れば、自然と使ってもらえる」と、思っていました。
だから、時間を使う場所もほとんど開発でした。
・機能を考える。
・UIを整える。
・バグを直す。
・もっと便利にする。
そして、ある程度完成したところで公開する。
でも、公開してから気づきます。
「誰も来ない。」
そこで初めて、「さて、どうやって集客しよう」と考える。
今振り返ると、かなり順番が逆でした。
もちろん、良いサービスを作ることは大切です。
使いにくいサービスを、広告だけで永遠に売り続けることはできません。
でも、
良いサービスを作ることと、売れることは別の問題です。
どれだけ良いサービスでも、誰にも知られなければ売上は0円です。
当たり前の話です。
でも個人開発をしていると、この当たり前を忘れます。
なぜなら、作ること自体が楽しいからです。
そして今はAIのおかげで、さらに簡単に作れるようになりました。
AIで「売れないもの」まで作れるようになった
少し前まで、Webサービスを1つ作るにはかなりの時間が必要でした。

企画→設計→コードを書く→エラー修正→ようやく形になる。
作るコストが高かったからこそ、
「本当にこれを作るべきか」を考える時間もありました。
でも今は違います。
Claude CodeやCodexのようなAIを使えば、
個人でもかなりの速度でサービスを形にできます。
これは本当にすごいことです。ただ、一つ問題があります。
作れるから、作ってしまう。
以前は「開発できるかどうか」が大きな壁でした。
今は、その壁がかなり低くなっています。
だからこそ、「何を作るか」の重要性が、以前より上がっている気がします。
AI時代に個人開発者が失敗する理由は、作れないことではなく、売れないものまで作れてしまうことかもしれません。
完成させること自体は、昔よりずっと簡単になりました。
でも、
完成したサービスにユーザーを連れてくる難しさは、
それほど変わっていません。
むしろサービスが増え続ける分、難しくなっているようにも感じます。
だから私は、新しいサービスを考えるとき、
「何を作ろう」から、考えることが減りました。
その前に考えます。
「これ、どうやって売るんだろう」と。
「誰に売るか」だけでは足りない
マーケティングの話になると、
「ターゲットを決めましょう」とよく言われます。
もちろん大切です。
でも個人開発の場合、それだけでは少し足りないと思っています。
私は最近、
その人に、どこで会うのか。
まで考えるようにしています。
例えば、「20代会社員向けのサービス」
と決めても、まだ何も決まっていません。
・Googleで悩みを検索している20代会社員なのか。
・Instagramを眺めている20代会社員なのか。
・Xで情報収集している20代会社員なのか。
同じ20代会社員でも、
サービスを知る媒体によって売り方は大きく変わります。
そして、売り方が変われば、作るべきサービスそのものも変わります。
ここが、
個人開発を続ける中でかなり重要だと感じるようになった部分です。
SEOで売るサービスと、広告で売るサービスは違う
例えばSEO。
Google検索からユーザーを集めるなら、
その人はすでに何かに困っています。
「大学入試 小論文 添削」などと検索する人は、かなり分かりやすいです。
小論文を添削してほしい。もしくは、答案がほしい。傾向を知りたい。
ニーズがすでに言語化されています。
この場合、検索している人が求めているものに対して、そのまま答えを用意すればいい。
一方で、
本人がまだ課題として認識していないものはSEOでは売りにくいです。
なぜなら、
誰も検索していないからです。
では広告ならどうでしょうか。
Meta広告なら、
ユーザーはサービスを探しているわけではありません。
Instagramを見ているだけです。
そこに突然広告が表示されます。
つまり広告では、
「これは自分に関係ある」と数秒で思ってもらわなければいけません。
説明を5分聞かないと価値が分からないサービスは、かなり難しい。
一瞬で価値が伝わるサービスの方が売りやすい。
Xならまた違います。
・結果を共有したくなるサービス。
・人に話したくなるサービス。
・見た瞬間に反応したくなるサービス。
こういうものはSNSと相性がいい。
つまり、
SEOで売りやすいサービスと、広告で売りやすいサービスと、SNSで伸びやすいサービスは同じではありません。
だから私は、サービスを作ってから集客方法を考えるのではなく、
集客方法からサービスを見ることが増えました。
売り方を先に決めると、必要な機能が減る
これは実際に自分のサービスを運営していて感じたことです。
例えば、「AIを使った英語学習サービスを作る」と考えたとします。
この状態から機能を考えると、
・AI英会話
・単語帳
・発音チェック
・文法添削
・学習記録
・レベル診断
いろいろ入れたくなります。せっかく作るなら、全部入りにしたくなる。
でも、「『英語 面接 練習』と検索している人を集める」
と先に決めたらどうでしょう。
その人が欲しいのは、
英語学習のための巨大なプラットフォームではありません。
まず必要なのは、
英語で面接の練習ができて、回答をフィードバックしてもらえること。
これだけです。
少なくとも最初の価値提供としては十分です。
集客する場所と、そこでユーザーが抱えている悩みを先に決めると、
「作った方がよさそうな機能」と、
「本当に必要な機能」
を、分けやすくなります。
つまり、
「何を作るか」から考えると機能が増える。
「どう売るか」から考えると機能が減る。
これは個人開発にとってかなり大きいと思っています。
機能が減れば、開発期間も短くなります。
検証も早くできます。
売れなかったときの損失も小さい。
マーケティングを先に考えることは、
開発以外の仕事を増やすことではなく、
むしろ無駄な開発を減らすことなのかもしれません。
値段も、完成してから決めない
価格も同じです。
個人開発では、サービスを完成させる。
そして最後に、
「月額980円にしようかな」
「2,980円くらいかな」
と価格を決めることがあります。
私も以前はかなりこの感覚でした。
でも今は、価格も開発前にある程度考えます。
なぜなら価格によって、使える集客手段が変わるからです。
例えば月額500円のサービス。
1人獲得するために広告費5,000円を使っていたら、なかなか成立しません。
一方で、
月額5,000円で継続率も高いサービスなら、広告費を使える余地がかなり広がります。
価格が違えば、許容できるCPAも、必要なLTVも、
サポートに使えるコストも変わります。
つまり価格は、完成した商品につける数字ではありません。
価格は、事業構造そのもの、と思っています。
だから、
誰に売るのか。
どうやって集客するのか。
いくらで売るのか。
この3つは、本来かなり早い段階で考える必要があります。
私が今、新しいサービスを考えるときの順番
最近は、新しいサービス案を思いついても、すぐ仕様書を書かないようにしています。
最初にざっくり次のことを考えます。

1. 誰が困っているのか
「会社員向け」
「個人開発者向け」
だけではなく、具体的に何に困っているのかまで考えます。
2. その人はどこにいるのか
Googleで検索しているのか。
Instagramを見ているのか。
Xにいるのか。
YouTubeを見ているのか。
ここで、使う集客チャネル(集客の媒体)をある程度決めます。
3. 何と言えば反応するのか
機能ではなく、そのサービスを使った結果、何が変わるのか。
「AI搭載」より、
「10分かかっていた作業が1分になる」
の方が伝わりやすい。
機能ではなく便益を考えます。
4. いくらなら売れるのか
・競合
・代替手段
・その悩みの深さ
・ユーザーが払える金額
このあたりを見ます。
5. その価格で集客が成立するのか
・広告を使うならCPA
・SEOなら、検索需要や競合
・SNSなら拡散性
ざっくりでもいいので、
どうやってユーザーを連れてくるかを考えます。
6. 最低限、何を作れば価値を提供できるのか
ここで初めて機能を考えます。
そして、コードを書きます。
以前とはかなり順番が変わりました。
もちろん、作る前に正解は分からない
ここまで書くと、
「全部調べて、売れることを確認してから作ればいい」
という話に見えるかもしれません。
でも、そういう意味ではありません。
実際には、作る前に答えなんて分かりません。
検索需要があっても売れないことがあります。
広告のCTRが高くても課金されないことがあります。
自分では刺さると思った訴求が、まったく反応されないこともあります。
市場調査を100時間やったからといって、
成功が保証されるわけでもありません。
だから私がやりたいのは、
売れることを確定させることではありません。
売れる仮説を持ってから作ることです。
「この人が困っている」
「この場所ならその人に会える」
「この言葉なら反応してもらえる」
「この価格なら事業として成立する」
ここまで仮説を作る。そして最低限のものを出す。
違ったら直す。それだけです。
マーケティングは、リリース後に始まる仕事ではない
個人開発を始めた頃の私は、「何を作れば便利だろう」から考えていました。
今は少し違います。
「誰に売るのか」
「その人はどこにいるのか」
「何と言えば振り向いてくれるのか」
を先に考えます。
そのあとで、
「じゃあ、その約束を果たすためには何を作ればいいのか」を考える。
順番を変えただけです。
でも、この順番に変えてから、サービスを見る目はかなり変わりました。
必要な機能も。価格も。集客方法も。
MVPの大きさも変わります。
良いサービスを作ることは大切です。
ただ、
良いサービスを作ったあとに売り方を考えるのではなく、
売り方から逆算して良いサービスを作る。
個人開発では、その方がずっと合理的だと思っています。
Natsu | SaaS個人開発er

