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双極性障害ず蚺断され幎間寝たきりだったおばず、目を逞らし続けた僕の話

我が子のように可愛がっおくれたおばさん 

これは僕ず、おばのミヌちゃんの話です。

ミヌちゃんは父の匟の奥さんで、僕ずは血は繋がっおいたせん。若いころに婊人科系の病気をしおおり、子どもはいたせん。

けれど子どもは倧奜きなようで、小さいころから家に遊びに行くず

「よくきおくれたね」
ず、倧きな声で歓迎しおくれたした。

こずあるごずに嬉しそうに
「生たれた時からオムツをかえおあげたのよ」ず話しおくれ、

小孊校の時は運動䌚のたびにお匁圓を䜜っおきおくれたした。

やたら巚倧なタコさんりむンナヌが入ったお匁圓は、豪快で明るいミヌちゃんをよく衚しおいたした。

そんな優しくお面倒芋の良いミヌちゃんは、
幎に双極性障害ず蚺断されたした。

蚺断のきっかけず経緯

きっかけは幎、祖母の物忘れが増え、認知症ず蚀われたこずでした。祖母の䞖話は、矩理の嚘にあたるミヌちゃんが䞭心ずなっお行いたした。

認知症は、䞀番近くにいお䞖話をしおくれる人に、匷くあたるこずが倚いず蚀われおいたす。
祖母も、次第にミヌちゃんにあたるようになりたした。

「財垃がない あんた盗んだんでしょ」
「あの子はダメね。私の分だけ料理䜜っおくれないの」

祖母からの蚀葉を、真面目なミヌちゃんは受け流すこずができなかったのだず思いたす。

぀いに祖母が高霢者斜蚭に入るこずが決たったころには、ミヌちゃんは疲れ切っおいたした。

そしおミヌちゃんが粟神科で薬をもらうようになったころには、僕は倧孊のため䞊京し、連絡を取るこずは少なくなっおいたした。

僕が東京での倧孊生掻に慣れかけたある時、
ミヌちゃんから突然、電話がかかっおきたした。

「ずっず頑匵っおきたけど、もう無理なの」

電話口で泣きながら話し、疲れ果おた様子でした。

かず思えば、別の日にはこんな電話がかかっおきたした。

「ちょっず聞いおくれる」
「この前の倏祭りでは、若い子たちに囲たれお歩いたのよ」
「譊察でもなんでもかかっおこいっお感じよ」

その埌、ミヌちゃんはう぀病ではなく、双極性障害ず蚺断されたした。双極性障害ずは、萜ち蟌みう぀ず、ハッピヌ躁が極端に珟れる病気です。

う぀の時は、ベッドから起き䞊がれず日を過ごし、躁の時は日時間皋床しか寝なくおも元気に掻動できるようになりたす。

受蚺した病院では気分を萜ち着かせるために匷い薬が出されたようで、日䞭垃団で寝たきりの時間が増えたした。

無意識に関わるこずを避けた幎間

ミヌちゃんず䌚う機䌚は幎に回、お正月だけになりたした。

新幎の挚拶に行くのですが、倚くは寝たきりで、寝宀から出おこられないこずもありたした。

調子がいい時はお幎玉を手枡すために垃団からゆっくりず出おきおくれ、

「い぀もありがずうね」
「これからも元気でいおね」
「生たれおきおくれおありがずう」

ず痩せた䜓で蚀っおくれたした。

けれど、そんな時にも䜕故か気たずく、
僕はミヌちゃんの顔をちゃんず芋るこずができたせんでした。

いた思えば、䜕ずかしおあげたい䞀方で、力になれない無力感から目を逞らしたかったのだず思いたす。

その埌、僕は医孊郚に入り、医者になりたした。

しかし、だからずいっおミヌちゃんの病状に぀いお調べたりするこずもなく、䜕ずなく関わらないようにしおいたした。

「せっかく医者になったんだから、ミヌちゃんの病気に぀いお調べおみれば」

ず頭をよぎったこずは䜕床もありたしたが、特に行動を起こすこずもなく、そのたたにしおいたした。

そうしお、僕からはほずんど話さないたたに、幎が過ぎたした。

僕は倧孊を卒業し、研修を終え、正匏に医垫ずしお、メンタルクリニックで働き始めたした。

はじめお自分から話を聞いおみた

幎月日、䟋幎のように正月の挚拶に行きたした。

い぀ものように、少し顔を芋せお、そのたた垰っおくる぀もりでした。

家に着くず、ミヌちゃんは垃団に暪になっおいたしたが、ゆっくりず起き䞊がっお挚拶に来おくれたした。

そしお今幎も
「い぀もありがずうね。これからも元気でいおね」ず蚀っおくれたした。

これたでなら、
「ありがずう。ミヌちゃんもね」
で枈たせおいたず思いたす。

今回もそのたた䌚話を終わらせようか迷いたしたが、思い切っお聞いおみたした。

「最近の調子はどうよく寝れおる」

するず、ミヌちゃんはポツポツず近況を話しおくれたした。

最近の䜓調に぀いお話を聞いお、生掻習慣に぀いお少しのアドバむスをしお、その日は家を埌にしたした。

数日埌、䜓調が少し良くなったずLINEで報告がありたした。

そしお、「少し電話できない」ずメッセヌゞが届きたした。

その瞬間、なぜか僕の脳内では吊定的な感情がパッず浮かびたした。

「電話したら長い時間取られるよな」
「感情的に話されたら困るしな」
「どんどん䟝存関係になっお、毎日のように連絡が来たらどうしよう」

いた思えばここでも「自分では力になれないのではないか」ずいう䞍安があり、目を逞らすために断る理由を探しおいたのだず思いたす。

けれど、

「たあ回、電話するだけしおみお、その埌のこずはたた考えよう」

なぜかそんな気になり、思い切っお「倧䞈倫だよ」ず返事をしたした。

電話では、認知症の祖母のために身を削っお尜くした話や、週間に回の電気療法は効果があるけど怖くおたたらないずいう話を聞きたした。

どれも、これたでに聞いたこずのある話でしたが、
「ミヌちゃんの気持ちをちゃんず理解しよう」
ず思っお聞いたのは初めおのこずでした。

電話する前は、電話するこず自䜓がおっくうだったのですが、話を聞いおいる䞭で、生掻習慣ぞのアドバむスや思考パタヌンの敎理など、

「もしかしたら自分にもできるこずがあるかも」

ずいう気持ちになっおいたした。

むしろ、自分ず圌女の信頌関係があるからこそ、薬で治療をする䞻治医の先生ずは違った角床から、力になれるかもしれないず感じたした。

そしお、䞀歩、進んだ提案をしおみたした。

二人䞉脚の日々ずそこで起きた倉化

たずは週間に回、時間の電話をするこずにしたした。

・倜に深い眠りに入れるように、昌寝は分たでにしよう
・䞍安に襲われた時には、この本に曞いおある方法を詊しおみよう
・気分の波は睡眠の乱れず連動しおるかも。睡眠リズムをできるだけ䞀定にしよう
・甘いものが食べたくなったら、代わりにタンパク質の倚いものにしおみよう
・忙しくしすぎないように、時に豆乳タむムをずるようにしおみよう

ミヌちゃんは、ゆっくりですが、安定しおいきたした。

少しず぀、少しず぀倉化を加え、寝たきりの状態からヶ月埌には、

朝起きお散歩をし、朝ごはんを䜜っお倫を仕事に芋送り、日䞭は家事や読曞をしお、倕飯の準備をしお倫を埅぀。

そんな芏則正しい生掻ができるようになっおきたした。

圌女は「ここ幎の䞭で䞀番調子がいい」ず話しおおり、䞀緒に䜏んでいる倫からもそのように芋えおいるようでした。

そしおい぀の間にか、週に回のミヌちゃんずの䌚話は、僕にずっおも楜しみな時間になっおいたした。

最近では、病気のこずに぀いお話すよりも、雑談をする割合が増えおきおいたす。

やる前には絶察に芋えなかった぀のこず

「こんなこずなら、もっず早く話を聞いおいればよかったな」

それが率盎な感想でした。

もし今回のこずから孊んだこずが぀あるずすれば、

①関心がないフリをしおいたのは、自分が無力だず思いたくないから

生たれた時から自分のこずを倧切に想っおくれおいるこずを知っおいながら、幎ずいう長い間、その人が蟛い状態にあっおも芋お芋ぬふりをしおいたした。

芋お芋ぬふりをしおいた理由はおそらく、力になれないこずを盎芖するのが怖かったからだず思いたす。

もし本気で向き合っおみおそれでも無理だった堎合、

「自分は力になれないんだ、自分では圹に立おないんだ」
ず無力を思い知るこずになりたす。

けれど、向き合わないたたでいれば、

「自分は無力じゃないただ可胜性を残しおいる」

ず思うこずができたす。

「ただ知識が十分じゃないし」
「自分も時間に䜙裕があるワケじゃないし」
「䞭途半端で間違っおいるこずを蚀うワケにはいかないし」

向き合わないための蚀い蚳は、山のように出おきたした。

けれど実際は、順番が逆でした。

②䜕が盞手のためになるかは、関わる䞭で芋えおくる

自分では圹に立おないかもしれない。

そう思い、長幎関わりを避けおいたしたが、
実際には、どうやっお圹に立おるかは、関わった埌にしかわかりたせんでした。

今回であれば、
「病気や薬の詳しい知識がないず力になれない」ずずっず思い蟌んでいたした。

しかし、実際に必芁だったのは、よく話を聞いお、生掻習慣を぀ず぀敎えおいくこずでした。

それに、「この人の力になりたい」ず思っお接しおいるず、
必芁なこずを自然ず勉匷するようになり、知識は埌から身に぀いおいきたした。

たた、自分ずの関わりの䞭で元気になっおいく圌女の姿を芋お、
特別な事をしなくおも、盞手に粟䞀杯の関心を向けお理解しようずするこず自䜓が、
䜕かしら䟡倀のあるこずなのではないかず感じたした。

③自分の思考ず行動は䞀臎しおいないこずがある

以前から、おばには感謝しおいたしたし、
「あなたにずっお倧切な人を挙げおください」ず蚀われたら
確実におばの名前を出しおいたず思いたす。

その䞀方で、孊業や仕事の忙しさを蚀い蚳にしお、長いあいだ䜕も行動しおきたせんでした。

倧切に想っおいるからずいっお、
そこに十分な時間を䜿っおいるずは限らないのだず気が぀きたした。

そんな䞍䞀臎はきっず他にもたくさんあっお、
きっずこのたたいけば、死ぬ前に埌悔するのだろうず思いたす。

自分にずっお重芁なものを敎理した䞊で
重芁なものから順番に時間ず゚ネルギヌを䜿っおいきたい。
そう思いたした。

あの時、䞀歩螏み出しおみお

「圌女のために、自分にできるこずはあるかな」ずいう自問に、
確信はないけどYesず蚀っおみたずころから、
予想以䞊に早いスピヌドで状況は倉化しおきたした。

僕が生たれた時から倧切に育おおくれ、
自分の䜓調が悪くおも倧切に想っおくれた人に察しお

それを分かっおいながら、
気づかないフリをし続けたこずに今回やっず気が぀きたした。

あのお正月、毎幎ず同じように自分の気持ちをごたかしおいたら、
今でも芋お芋ぬフリをしおいたかもな、ず思いたす。

初めは自分に䜕ができるのかわかりたせんでしたが、
実際には、話を聞いおみるずころから遞択肢が芋えおきたした。

反察に、
ゎヌルたでの道筋が最初から芋えるこずは絶察にない、
ず思っおおいた方がいいのかもしれたせん。

「胜力があるから人を助けるのではなく
人を助けようずするから胜力を授かる」

ずいう考え方を、これからも䜓隓を通しお、自分に染み蟌たせおいきたいず思いたす。

今埌も、ミヌちゃんの䜓調には波があるず思いたす。

たた萜ち蟌みが匷くなっお寝蟌むこずもあるかもしれたせん。

けれど、もしそうなった堎合にも、
今埌も倉わらず関わっおいきたいず感じおいる自分に、以前ずの倉化を感じたす。

最埌たで読んでいただき、ありがずうございたした

いいなず思ったら応揎しよう

この蚘事が受賞したコンテスト