遠い砂漠
ときどき砂漠のことを考える。
砂漠に対してぼんやりとした憧れがある。
生きている間に、一度でいいから行ってみたいな。サハラ砂漠でもナミブ砂漠でもどこでも構わないからさ。具体的にどこの砂漠というのではなく、砂漠的なもの、砂漠らしさ、砂漠のイデアみたいなものを求めている。
誰か連れていってくれないかな、そんなふうに甘えたことを思っているし、それこそ石油王とかであれば、プライベートビーチ感覚でプライベートデザートみたいなのを持っているんじゃなかろうか。プライベートビーチから海成分を取り除けば、プライベート砂漠(デザート)の完成である。そういう秘密のデザート、石油王とその関係者しか入れない砂漠に特別に招待してもらえないかな。君だけに特別だよなんて囁かれて。
そこにはたくさんの砂。見渡す限りの砂が広がっている。ついでに油田のひとつ分けてくれてもいい。ちょっとこれ余っちゃってるからさ、などと熱海旅行のお土産をくれるくらいの気軽さで分けてもらえたら嬉しい。
それはさすがにムシが良すぎるから、普通の砂漠のことを妄想する。普通の砂漠、ごくありふれた一般的な砂漠のことを考える。
見渡す限りに砂が広がり、吹き付ける風の流れに沿って模様が描かれている。砂でできた山と谷のアップダウンが延々と続く。動植物の影も見えない。
日本が誇る四輪駆動車ことランドクルーザーかなんかで進んで行くのも良いけれど、できれば砂漠の船とも呼ばれるラクダで進むのがいい。ひとつの街から次の街へ、オアシスを経由しながら進んでいきたい。
日中は気温が高く摂氏50度までになる灼熱の世界。日本の夏に比べると湿度は低いから過ごしやすいのかも知れない。
やがて夜が訪れる。日が暮れると気温が下がってくる。砂に腰を下ろすと、日中に温められた砂の温もりが感じられる。空気が澄んでいるから星が嘘みたいにたくさん見えるだろう。
暗くなればだいぶ冷えてくるから焚き火を起こし暖をとらないといけない。燃やすものもそんなにないから、ラクダの糞とかも燃やす。ラクダの糞はとてもよく燃える。汚いと思うかとしれないが、糞も砂漠ま乾燥しきっているから、心配することはないのだそうだ。
そして火を燃やしている砂の下に、アルミホイルに包んだパン的なを埋めて、焚き火の熱で調理したりもする。
日中の暑さが嘘のようにキリリと冷えた夜。砂は音を吸収するからもとから静かではあるけれど夜になるとさらに風まで止んで完全な静寂になる。
焚き火を囲みながら、砂をはらってパンみたいなものをモソモソと食べる。そして簡素な寝袋にくるまって寝る。明日はまた日が昇る頃に出発するのだ。
みたいなことをしてみたい。
とはいえ円高も厳しいし、海外旅行はいろいろ大変だから、まずは鳥取砂丘に行ってみるのがいいかもしれない。あるいは東京砂漠でもいいかも。まずは国内で経験を積むことも大切だ。
