用語集: 「セレクター理論」
今回は「セレクター理論」について見ていきましょう。
ローマ帝国、どころか秦の始皇帝の時代から現在まで全然変わっていない気がしますね~
きれいごとは通じず、世の中は「セレクター理論」で回っているとパラレルワールド住民は申しております。
AIまとめ
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「セレクター理論(Selectorate Theory)」: 政治学およびゲーム理論において「リーダー(指導者)がいかにして権力を獲得・維持するか」を、支持者層の規模や構造から説明する政治力学モデルです。
日本語では「権力支持基盤理論」とも訳されます。ブルース・ブエノ・デ・メスキータ(Bruce Bueno de Mesquita)らの著書『独裁者のための悪の教典(原題: The Dictator's Handbook)』などで一躍有名になりました。
1. 理論の前提(基本原則)
この理論では、国家(または組織)の制度が民主的か独裁的かに関わらず、「すべてのリーダーの第一目的は自分の権力を維持すること」であり、「1人だけで統治できるリーダーは存在しない」という前提に基づいています。
リーダーが権力を維持するためには、社会の中の特定のグループを満足させ続ける必要があります。
2. 人々を分類する3つのグループ
セレクター理論では、社会(国民全体 $N$)を以下の3つのグループに分類します。
名目上の選定者(Interchangeables / Nominal Selectorate)
概要: リーダーを選ぶ権利を一応持っている人々の集団。
例: 民主主義国における全有権者や、独裁国における名目上の投票権保有者。
実質的な選定者:セレクター(Influentials / Real Selectorate: S)
概要: リーダーの選出に「実際に影響力」を持つ人々の集団。
例: 民主主義国での実際の投票者、一党独裁国での党員、軍部政治での軍幹部など。
勝利連合(Essentials / Winning Coalition: W)
概要: リーダーが権力を維持するために絶対に支援を得なければならない最低限の集団。
例: 独裁国家における一部の軍幹部・寡頭財閥(数人〜数十人)、民主主義国家における過半数の有権者(数千万人規模)。
3. 「勝利連合(W)」の大きさによる政治の違い
リーダーは勝利連合(W)を味方につなぎぎとめるため、「私的財(賄賂や特権、個人的報酬)」か「公共財(インフラ、安全保障、法制度、福祉)」のいずれかを報酬として配分します。
勝利連合(W)が小さい場合(独裁国家・軍事政権・同族経営など)
支持しなければならない「キーパーソン」の数が少ないため、国や組織の資金を直接「私的特権・賄賂」として数人に配る方が効率的になります。
その結果、国民全体の幸福(公共財)は無視されやすく、腐敗や抑圧が起きやすくなります。
勝利連合(W)が大きい場合(民主主義国家など)
支持を得なければならない人数が膨大なため、1人ひとりに私的な賄賂を配ることは不可能です。
したがって、リーダーは道路・医療・教育・治安といった「公共財」を充実させることで、広範な支持を得ようとします。
4. 忠誠心の比率(W/S 比率)
セレクター理論のもう一つの重要な要素は、「セレクター(S)に対する勝利連合(W)の割合(W/S)」です。
W/S が非常に小さい場合(例:独裁政権・共産党体制など)
セレクター(党員や軍人など)の候補者は無数にいるのに、真に必要な勝利連合(W)の数が極端に少ない状態です。
この場合、勝利連合のメンバーは「もしリーダーを裏切ったら、自分は切り捨てられて無数のスペア(S)と差し替えられ、二度と特権を得られない」という恐怖を抱きます。そのため、リーダーへの忠誠心が極めて高くなります。
W/S が大きい場合(例:民主主義国)
有権者(S)と勝利連合(W)の差が小さいため、有権者はリーダーを容易に交代させることができます。その結果、リーダーへの忠誠度は低く、政権交代が頻繁に起こります。
まとめ
セレクター理論は、「正義感」や「イデオロギー」といった抽象的な概念ではなく、「勝利連合(W)の規模と構造」というゲームのルールこそが、国家の善政・暴政やリーダーの生存戦略を決定づけていることを数学的・論理的に解明した理論です。
参考: セレクター理論 具体例 ↓
用語集: 「(セレクター理論における)勝利連合」|武器商人秘書:オリガの資料室
