映画『黒牢城』|映画が描いた荒木村重|本当に裏切り者だったのか
「裏切り者」と呼ばれた荒木村重
荒木村重(1535〜1586)
織田信長とほぼ同世代の武将で、摂津一国を任されるほど重用された有能な人物だった。
「刀饅頭」の逸話が有名
饅頭こわくない 村重
初めて信長に謁見した際、刀に刺した饅頭を差し出されても動じなかったという逸話 信長が一目置く武将だったとも伝えられている。

「なぜ裏切ったのか」
しかし突如として信長に反旗を翻す。「何の不足があるのか。言い分があるなら申し出よ」と信長が問いかけたと伝わるほど、その謀反は周囲を驚かせた。なぜ裏切ったのかは現在も定説はない。
映画『黒牢城』が描いた村重
原作は読んでいないので、史実との違いなど考えてみたい。
物語は、説得のため有岡城を訪れた黒田官兵衛が地下牢に幽閉される場面から始まる。
映画では、大義名分よりも人命を尊重する村重
*「殺さず」の信念や家臣・領民を守ることを重んじる思慮深い武将。
*茶の湯を愛する。
*信長の恐怖政治にも嫌気がさしている。

本木雅弘と菅田将暉の掛け合い
謎解きミステリー
城でで起きる不可解な事件を、牢に囚われた黒田官兵衛の知恵を借りながら、事件の真相を解き明かしていくミステリー
本木雅弘さん演じる荒木村重は人格者で茶湯を愛す重厚な人物。牢の中でもどことなく明るい菅田将暉。飄々としてヒントを出していくのがとても絶妙でぴったりの役柄。
その対照的な二人のやり取りが、この映画の大きな魅力だった。
牢の中が今までのイメージと違い意外と明るくて広くて驚く(笑)

豪華なメンバー
オダギリジョー、柄本佑、今楊貴妃と謳われた美しい妻「だし」役 吉高由里子 他 印象に残ったのは、村重の忠実な家臣・乾助三郎役 Snow Manの宮舘涼太、とても所作が美しく時代劇が似合っていた。

映画と史実の違い
史実では、妻より「茶壺」を選んだ武将
*史実では、命の次に大切な名物茶壺「兵庫壺(ひょうごのつぼ)」を背負って逃げたとされる(汗
映画では、「逃げた」のではなく「生きる道を選んだ」
*映画では、この逃亡に別の意味を持たせている。
妻が一連の事件に関わっていたことを知った村重に対し、地下牢の官兵衛は「自ら毛利へ援軍を頼みに行けばいい」と脱出を促す。
さらに印象的だったのは、官兵衛自身が「息子はすでに殺された」と聞かされ、絶望の中にいたことだ。だからこそ、「逃げろ」と村重に逃亡の道を示唆したとも思えた。この場面は映画ならではの解釈で、とても印象に残った。史実では殺されていないけど。。。??

映画が描かなかった史実
史実では、村重が逃げたあと、妻、子供たち600人以上が処刑される
城に残された妻や子供たち600人以上の人質は、信長によって非常に惨たらしく処刑される 尼崎城に半年以上も滞在し時が経つのを待っていた。
映画では、あえて「卑怯者」という汚名を背負って城を脱出したまでを描く
このミステリーに妻が事件に関わっていたことで、村重が城を去る決断に観客が感情移入しやすい構成になっていた。
のちの悲劇は説明されていない。。
そのため映画では、史実ほど村重を悪人として描いていなくて、ミステリーを楽しむ物語として描かれている
私が知りたかったこと
本当に援軍を呼びに行ったのか
私はこれまで、「妻子を見捨てて一人だけ逃げた武将」という印象があった。
映画では、毛利の援軍を求めるための脱出として描かれていたが、村重はその後、尼崎城で半年以上過ごしたとも伝わる。
もし援軍を求めるためだったのなら、なぜ妻子を救えなかったのだろう。「死ぬのが嫌で、やっぱり逃げたのか・・」
信長死後は堺で茶人として活躍した。
映画を十分楽しめた一方で、その後の村重が何を考え、なぜ妻子を救えなかったのか──そこが最後まで気になった。


