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#017 弥生人以下・勝手に出雲推し


講義録 『弥生人以下』

弥生土器という名称は、
東京都文京区の弥生町で発見されたことに由来。
そこから「弥生」という時代名が生まれました。


大学生の頃、家庭教師をしていました。
生徒の自宅が根津にありました。
その日は少し時間に余裕がありました。
時間調整のために街を散歩していると、
小さな石碑を発見しました。
「弥生土器発見ゆかりの地」。
ここにあったのか…。
思わぬ発見でした。
散歩は得しかありません。


弥生土器は、縄文土器に比べて、
薄手で硬く、赤褐色を特徴としています。
用途も分かれていました。
甕は煮炊き用です。
壺は貯蔵用です。
高坏や鉢は盛り付け用です。

学生時代の私は、
鍋でラーメンを作り、
鍋のまま食べていました。
つまり、
甕と高坏や鉢を使い分けていませんでした。
弥生人以下の生活でした。


弥生時代は金属の使用も開始されました。
「鉄」と「青銅」です。
いずれも中国を起源とし、
朝鮮半島を経て伝来したと考えられています。

鉄は硬く、実用性に優れています。
農具や武器として、
人々の生活を支える道具になりました。

青銅は柔らかい金属です。
実用性は高くありません。
しかし加工しやすく、装飾が容易です。
しかも、鋳造直後は金色に近い輝きを放ちます。
そのため、祭祀に用いられるようになりました。
祈りや権威を示すものとして利用されました。

現代でいえば、高級腕時計のようなものです。
時間を知るだけなら安い時計で十分ですが、
高級時計には「地位を示す」役割があります。
それと同じように、
青銅器も実用性より象徴性が重視されました。


また、青銅製祭器には地域差があります。
銅鐸は近畿。
銅剣は瀬戸内。
銅矛・銅戈は北部九州。
地域ごとに権威の象が違っていたということです。
各地域に独自の信仰や文化があったのでしょう。

青銅製祭器の大量出土で知られる遺跡があります。
島根県の荒神谷遺跡と加茂岩倉遺跡です。
これほど大量の青銅器が一か所に集まるのは、
単なる集落では説明できません。
そこには、より大きな勢力の存在を想像させます。
そして、ここから私の妄想が始まります。
続きは余談で。


余談  『勝手に出雲推し』

島根の山の中で、
とんでもないものが見つかりました。

島根県荒神谷遺跡
銅剣358本、銅矛16本、銅鐸6個

島根県加茂岩倉遺跡
銅鐸39個

異常です。
全国最多358本の銅剣が出土した荒神谷遺跡と、
全国最多39個の銅鐸が出土した加茂岩倉遺跡は、
直線距離わずか約3.3kmしか離れていません。

前述の通り、
本来、青銅製祭器には地域差があります。
銅鐸は近畿地方。
銅剣は瀬戸内海沿岸。
銅矛・銅戈は北部九州。
それぞれの地域が独自の
権威の象徴を持っていました。

ところが、それらが一か所に集まっている。
しかも、ばらまかれたのではありません。
きれいに整理された状態で埋められていました。
誰かが「ここに集めた」と言わんばかりです。

高校の授業でこの遺跡を知ったとき、
興奮したのを覚えています。
教科書に載っていたかどうかは覚えていません。
ただ、恩師のM先生が熱く語っていたことだけは、
今でも鮮明に覚えています。
そこから先は、もう想像の時間でした。
そして、その想像は今も続いています。

一つの仮説は、戦いの痕跡です。
勝ったクニが、負けたクニの祭器を回収した。
そして、それらをまとめて埋めた。
戦利品であると同時に、
「もう使わせない」という封印でもあります。
祈りの道具を奪うことは、
相手の力そのものを奪うことでもあります。

もう一つは、力の誇示です。
島根は日本海側。
中国や朝鮮半島との交流に適した場所です。
強いクニが存在した可能性があります。
「これだけの青銅器を持っている。」
そんなマウントだったのかもしれません。

そして場所は出雲。
神話の舞台です。
出雲大社があります。
神話では「国譲り」が語られます。
強大な勢力が、別の勢力へ国を譲る物語です。
青銅製祭器の大量埋納は、
「権力が誰かから誰かへ移った」
その痕跡なのではないか。
そんなふうにも見えてきます。

想像は止まりません。
ここから先は、完全に私の妄想です。

青銅製祭器を集め、管理できるクニ。
しかも大陸とつながる地理的条件。
たどり着いた結論は「邪馬台国出雲説」。

卑弥呼は、島根にいた。
これだけの「物証」を前にすると、
少しくらい大胆になっても許される気がします。
もちろん、現時点では学説の主流ではありません。
魏志倭人伝の行程記事との整合性。
卑弥呼と出雲勢力を結びつける考古学的証拠。
中国との外交を示す明確な資料。
こうした点が不足しているため、
学界では少数派です。

少数派…?
そう言われると、余計に興奮します。
だから私は、勝手に出雲を応援しています。


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