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電車内でめっちゃイライラしてるオッサンとガチ喧嘩になった話

たまにはエッセイを書いてみるのもアリかなと思いまして、今日少し嫌なことがあったのでお話しさせてください。

私、普段は学生をやっていて、通学に山手線を使っているんですよ。そして、電車通学と言えば避けられないのが満員電車です。

今日は満員というほどではなかったのですがかなり混んではいて、電車の揺れがあると隣の人同士で肩が触れ合うような状態でした。

朝の満員電車ってやけにイライラしてる人、居ますよね。ちょっとのことであからさまに舌打ちしたり。皆さんもそういう人を見かけて嫌な気分になったことがあるのでは?

そして、今日私の右隣に立っていたハゲたメガネのおじさんがまさにそういう感じの人でした。電車が揺れて、少しでも私の肩がおじさんの体に触れるたびに、舌打ちしながらすごい力で肘を使って私の体を押し返してくるんですよ。

もうすっごい嫌な気持ちになって。萎縮した私は体が触れないように縮こめて立っていたんですが、それでも電車は揺れるんで当たっちゃうんですよ体が。その度、また私の体が肘で強く押されて。

でも、何回かそれが起こると、だんだん私は面白くなって来たんです。おじさんこの程度でイライラしててウケる、と。それで、「ちょん」と電車が揺れたふりしてまた体を当ててみたんです。そしたら案の定押し返してくる。いやー、おもろい。だっておじさんのイライラが今、自分の手中にあるんですよ。

それで私は調子に乗りましてですね、だんだんと頻度を増やして何度も何度も体をさりげなく当てました。おじさんも根気強く何度も私を肘で押しました。めっちゃ睨まれましたが、きょとんとした顔で見つめてやりましたよ。いやー、爽快。

それを繰り返して、飽きて来たからそろそろやめようと思った時でした。電車が不意に揺れまして。またしても私の体がおじさんに触れてしまったんです。

その瞬間、顔面に強烈な衝撃が走りました。イライラが最高潮に達したおじさんが私の顔面に肘鉄をかましてきたんです。あまりの衝撃によろけてしまった私はその場にしゃがみこみました。そして、ぜってぇ鼻血出てるわと思い、鼻を拭いながら立ち上がると……

おじさんは私にデカデカと"闘"と書かれたカードを突きつけていました。
まーたファイトクラブかよ。そう思った瞬間、車内のモニターには拳の絵が大きく表示され、プロレスの入場曲のような勇ましい音楽がけたたましく鳴り響きます。

私だって売られた喧嘩は買わないわけにはいきませんから、胸ポケットから「ファイトカード」を取り出しおじさんに叩きつける……と同時にボディブローを叩き込む!!おじさんがよろけたところを見逃さず、すかさずトドメの右フックを側頭部にお見舞い!!メガネが宙を舞います。そして、おじさんは地に臥しました。

「勝負ありぃ〜〜!!」
車内アナウンスがそう告げると、車内を歓声が充しました。私は少々恥ずかしく思いましたが、悪い気はしなかったので勝利の雄叫びを1発。「お前さん、やるのう!」品の良さそうな老紳士も、勝負の興奮冷めやらぬ様子でした。

そんな時、ツカツカと柔和そうな雰囲気のOLが私の方に近づいて来ました。いや〜、今のバトルを見て惚れちまったか。困ったな〜。俺には心に決めた人がいるんだっつーの!

もしお茶に誘われたらどうやって断ればいいだろうかと頭を悩ませていると、足元に電流が走ったかのような痛みが!

痛って〜〜〜〜!!!!
ヒールは反則だって!!!!!!

視線を上げるとさっきのOLが不適な笑みを浮かべながらこっちにファイトカードを向けていたんですよ。こうなったら応じないわけにはいきませんから、私はまた戦いの渦へと身を投じていきました。

それからはもうめちゃくちゃで、私が見せた激闘の熱に当てられた漢たちが皆居ても立っても居られなくなったようで何百枚ものファイトカードが飛び交う大乱闘騒ぎですよ。私も老若男女の別なく、何人も薙ぎ倒していきました。

……

「まもなく 私立 最強コンバット学園前〜  私立 最強コンバット学園前〜 ドアは右側が開きます」

……私が目的地に着く頃には、乗客は私一人だけになっていました。

やれやれ。「コン学の虎」と呼ばれるこの俺が負けるかっての!あ〜あ。強えとこういう挑戦者が後を立たないから、通学するのだって大変だよ。

まあ、でもこんな日常も悪くない、かな?


現代日本で今なお深刻であり続ける少子化。
政府はその原因を「日本人男性の雄性の不足によるものだ」と結論づけました。日本人が漢らしくないから、子供が減っているのだと。そこで政府は「ファイト・クラブ法」を制定。ファイトカードの提示による決闘の合法化など、さまざまな雄の闘争本能を呼び起こすような政策で日本人の雄性の解放を目指していきました。

今日も、この国は元気です。