【美術展レポ】 マリー・アントワネット・スタイル ~オジサンだって時間があるなら横浜美術館に行けばいいじゃない~
お盆休みに不意にできた1人時間。
せっかくだから、美しい景色とか美味しいものに触れてエネルギーを充電したいと思った。
近場で良さげなスポットを検索していると、みなとみらいの横浜美術館でおもしろそうな展示が行われているのを知った。
マリー・アントワネット。
確か歴史の授業では「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」の人だと習ったけれど、実際このセリフはアントワネットの言葉かどうかは分からないらしい。
どんな展示か全くイメージが湧かなかったけど、何も考えずに行ってみることにした。

着いたのはオープンしてから30分後。中に入ると入場待ちの長蛇の列が!やはり女性客が多い。オジサン1人ってレアかもしれん。
というか、マリー・アントワネットってすごい人気なんですね(何も知らなすぎた)。
30分ほどかけてようやく中へ入ると、バーンと目に飛び込んできたのがこちら。

ハプスブルク家という特殊な家庭に生まれ、14歳で政略結婚させられ、オーストリア人であることを捨ててフランス人になったアントワネット。
生まれた時から、どこぞの国に嫁いでお家の繁栄の為に生きることが決められてたんだよな、と思うと、もう既に切ない。
そもそもフランス革命前で、女性の人権なんて今と比べて全く確立されていなかった時代だ。
21世紀に生きるオジサンが想像しても限界があるんだけど、アントワネット本人はどう感じていたのだろう。
展示の前半では、華美な装飾品や家具、衣装が並ぶ。




そりゃ厳しい生活を送る民衆がこれを知ったら反感買うよな、と納得の素敵な品々がこれでもかと並ぶ。
実際、アントワネットは贅沢に溺れ、乱れた性生活で王をたぶらかす悪女として描かれていった。
だけどちょっと調べてみると、アントワネット自身は、当時の王妃はこうあるべき、にとことん抗ったことが分かる。
華美な服装を辞めてシンプルなドレスを着たり、宮廷ではなくプチ・トリアノンという離宮を作って自分好みにカスタマイズして、そこで家族と過ごす。
王妃という決められた枠の中で、なんとか「私はこうしたい」を実現すべく、そのスタイルを貫いた女性。
自己実現したい、という気持ちは、きっとアントワネットだけのものではなかったはずだ。
けれど、それを実現できたのは王妃という圧倒的な特権があったからでもある。その自由が、自由を持たない人々の目にどう映ったのか。
彼女にとって、自己実現の20年は夢だったのだろうか──。

市民感情を理解していたかと言われるとそうじゃなかったんだろう。
だけど、ひとりの女性として、好きな服を来て、好きな人と過ごす。その生き方の末路がギロチンでの処刑だったというのは、今の自分の感覚ではとてつもなく悲しい。

そしてアントワネットは亡くなってからも多くの人に影響を与え、アートや文化として人々を魅了し続けている。
没後に再解釈されて人気が出る、というのはあるあるだけど、本当に多くの人の創作熱に火をつけたんだなとわかる。
アントワネットの死後70年たって、アントワネットにめちゃくちゃ憧れていたと言われるウジェニー皇后。

清楚で美しい皇后として描かれているのがアイロニー。
アントワネットスタイルからインスピレーションを受けた作品が数々生み出されている。






こうあるべき、に抗って、自分スタイルを貫く。
どんな分野でも突き抜けている人には共通しているポイントだと感じたし、創作に向き合う上でとても勇気が湧いた。
一方で、アントワネット本人はどうだったのだろう。
夢のようだったと振り返っているかと思えば、もう誰も傷つけられない(すなわち、傷つけられてきた)と感じていたのだ。
少なくとも私は、それでも折れなかった強さと美しさにしっかり魅了されて帰ってきた。

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