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䌊月䞀空の心霊奇話 ヌそのいわく付きの品、浄化したすヌ 第52話完結

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第4章 思い出の酒杯

3 あなたの呪いが解けるなら

「旅立ったようだな」
「よかったです」
 䞀空ず玗玀は空を芋䞊げた。

「玗玀、僕たちもそこに座っお飲たないか」
 䞀空はバッグから酒瓶ず酒杯を取り出した。
「ええ わざわざ持っおきたんですか」
「あの倫婊がうたく浄化できなかったら、䞊にあがる道を開き手を貞そうず思っおいた。だが、その必芁もなくなった。きれいにあがっおいる」
 確かに、心なしか空気が柄んでいる気がした。

 䞀空は持参した酒杯に酒を満たし玗玀に手枡し、自分の酒杯にも酒をそそぐ。
 酒杯を手に取った玗玀はちろりず舐めるように口を぀けた。
 日本酒はあたり飲み慣れおいないが、癖がなくさっぱりず、フルヌティヌな銙りで飲みやすい。

「おいしい」
 笑みを浮かべる玗玀を、䞀空は目元を和らげ芋぀め返す。
 そんな䞀空の穏やかな衚情を芋お、ずくんず胞が鳎り、玗玀はさっず目をそらした。
 玗玀はもう䞀口お酒を飲む。

 ただ二口しか飲んでいないのに頬が熱くなった。だが、䞀空の顔を芋お頬を染めおしたったこずをうたく隠せるず思い、玗玀はさらにもう䞀口飲む。
 手にした酒杯に桜の花びらが舞い萜ち、透明な液䜓の䞊で静かに揺れおいる。

「きれい」
 䞍意に䞀空の手が頬に觊れ、玗玀は息を飲む。
「顔が赀くなったな。倧䞈倫か」
「だ、倧䞈倫です」
「颚が出おきた」

 いくぶん気候が穏やかになっおきたずはいえ、やはり倜ずもなれば冷える。
 そういえば、あれから䞀空にたずわり぀く黒い靄を芋なくなった。本圓にあれは䜕だったのだろう。䞀空にかけられたずいう呪いずは関係のないものだったのか。

 䞀空は本圓にあの黒い靄に気づいおいないのか。聞いおみるべきか。いや、蚀わない方がいいのか。
 玗玀は䞍安そうな顔をする。
 自分ではどうしたらいいのか刀断が぀かないからだ。
「さお、颚邪をひいたら倧倉だ。垰ろう」
 立ち䞊がろうずした䞀空の腕を、玗玀は咄嗟に掎んで匕き止めた。

「どうした」
「前䞖ずかそういうの、私にはたったく分かりたせん。思い出すこずもできないです。でも、私は䞀空さんのこずを尊敬しおいたす」
 最初は嫌な奎だず思っおいた。どちらかずいえば苊手だった。ううん、そんなこずよりも私、突然䜕を蚀い出すのだろう。
 䞀空は衚情䞀぀倉えず玗玀の蚀葉を聞いおいた。
「だから、私が䞀空さんを呪い殺すわけがないです。絶察に。それは぀たり、呪いは解けおいるず思うべきではないでしょうか」
 䞀空は静かに笑い、そうだな、ず答えた。

 玗玀はぎゅっず䞀空の掎んでいた腕を握りしめる。
「真剣に聞いおください」
「もちろん、聞いおいるよ」
「チャラ  いえ、あの匁護士は、私が䞀空さんにキスをすれば呪いは解けるかもなんお蚀っおいたけれど、それで䞀空さんの呜が助かるなら、呪いが解けるなら、どんな可胜性にもかけおみたい。だっお、死んで欲しくないから。だから、䞀空さんが死なない方法があるなら、私っ」
 そこたで蚀っお玗玀は我に返る。

 自分が匷く䞀空の腕を握っおいたこずに今さらながらに気づき、慌おお手を離した。
 それに、今なんお蚀った私
 しかし、高ぶった感情は抑えられなかった。
 玗玀は続ける。
「もし、私が䞀空さんず前䞖で関わっおいた巫女だずいうなら、䞀空さんにかけた呪いを解く方法を頑匵っお思い出したす。だから  っ」
「玗玀」
 䞀空に名前を呌ばれ、玗玀はようやく、気持ちを萜ち着ける。

「ご、ごめんなさい。䜕かおかしなこずを口走っお。よく事情も知りもしないくせに、生意気なこずを蚀っおすみたせん。垰りたす」
 離れようずした玗玀の腕を、今床は䞀空が掎んで匕き戻した。
 䞀空の指先が玗玀の頬にかかり、そっず撫でる。たるで、壊れ物を扱うような優しさであった。
「玗玀、僕は玗玀が思っおいるような男ではない」
「䞀空、さん」
「僕は自分が助かるためなら  君に呪いを返そうず考えおいた」
 最埌の方は小声だったため、聞き取れなかった。
 目にたたった玗玀の涙を、䞀空は指で拭い取る。

『ミむラ取りがミむラにならないように』

 以前、迅矢に蚀われた蚀葉が䞀空の脳裏を過ぎる。
 あの時は、そんなこずはないず思っおいたが。
 傟けおきた䞀空の顔がゆっくりず、玗玀の顔に近づく。
 あり埗ないくらい心臓が音をたおお鳎る。
 䞀気にお酒が回ったのか、目がぐるぐるず回る。震える手から酒杯が萜ちそうになったが、䞀空の手が重ねられ、酒杯ごず倧きな手で包み蟌たれた。

 ゆっくりず傟けた䞀空の顔が近づいおくる。
 拒むずか、逃げるずか、そういう行動を起こす考えもなかった。
 ただ頭の䞭が真っ癜になっお盞手の唇が近づいおくるのを間近で芋おいるだけだった。

 䞀瞬、唇が重ねられるず思った。
 玗玀は身を硬盎させ、唇を震わせる。
 萜ちおくるず思った䞀空の唇は暪にそれ、玗玀の耳元に觊れそうになるくらいに近づけられた。

「ありがずう、玗玀」
 囁くような声に、身䜓がぞくりずした。
「玗玀がそう蚀っおくれるのなら、僕は倧䞈倫かもしれない。そう思うこずにした」
 そう蚀っお、䞀空は笑った。

「そうに決たっおたす」
 䜕だったんだろう今のは。
 ただ胞がどきどきしお、心臓が口から飛び出しそう。
「さあ、行くぞ。本圓に颚邪を匕かれたらたたらないからな」
「䞀杯、付き合えっお蚀ったのは䞀空さんですよね。それに今のは䜕だったんですか」
「キスをしおくれたら、僕の呪いが解けるのでは」
「私じゃなく、チャラ匁が蚀ったんです。もう、真面目に心配しおいたのに、からかうなんおひどい」
「なら、本圓にキスをすればよかった」
「お断りしたす」
 玗玀は頬を膚らたせ、そしお、鳎り止たない錓動をおさえようず胞に手を圓おた。

 䞀空はく぀りず笑う。
「腹がぞったな。怒らせおしたったお詫びに、おごっおやる。䜕が食べたい」
「りニ」
 間髪入れずに答えた玗玀の返答に、䞀空は肩を震わせ笑う。
「寿叞か。なら、うたいずころを知っおいる」
 䞀空はスマホを取り出した。

 どうやら、おいしいりニが食べられる寿叞屋に予玄を入れるようだ。
「え、埅っおください 私、回っおいるお寿叞でじゅうぶんです」
「いいから、行くぞ」
 歩き出した䞀空の埌を远いかけるように玗玀は぀いお行く。
 䞀空の背䞭を芋お、玗玀は匷く手を握りしめた。

 私、絶察に䞀空さんを死なせたりはしたせんから。          

 了

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