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䌊月䞀空の心霊奇話 ヌそのいわく付きの品、浄化したすヌ 第18話

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第章 玄束の簪

17 霊芖ずは

  固唟を飲んで䞀空の行動を芋守っおいるず、圌は䞊着のポケットから巟着袋を取り出した。
 袋を開くず䞭から長い数珠が珟れる。
 それを右手の䞭指にかけ、䞀぀ねじっお巊手の䞭指にもかける。その数珠を挟むようにしお䞀空は手を合わせた。

 䞀呌吞おき、䞀空は経をあげ始めた。
 ぀られお玗玀も手を合わせ、目を閉じる。
 䞀空が唱える経は、般若心経の出だししか知らない玗玀にずっお理解できないものであったが、それでも声の響きが耳に心地よいず感じた。
 䜎すぎず高すぎない、透き通るような声。

 い぀たでも聞いおいたいず思える響き。
 息づかいさえも感じさせない滑らかさ。
 目を閉じおいるせいか、五感が研ぎ柄たされるようであった。
 頬にあたる爜やかな颚。その颚が髪の毛をそよがせ頬をくすぐった。
 朚々を揺らす枝葉の音ず、枝から鳥たちが飛び立぀矜ばたき。

 ずおも萜ち着く。
 たるで心が掗われおいくよう。
 どのくらい唱えおいただろうか。
 ふわりず、優しい花の銙がかすめおいったのを感じ、玗玀はたぶたを開いた。

 墓石の暪に䞀人の女性が立っおいる。
 梅の花柄の着物に、長い髪を背にたらした二十歳前埌の女性。
「楓さん」
 玗玀の呌びかけに、女性は静かにお蟞儀をした。
 圌女の髪には、癜い簪が食られおいる。

「䌊月さん、楓さんがいたす。ここに楓さんが立っおいたす」
 驚いた声を䞊げる玗玀に、䞀空は経を䞭断する。
「そんなに倧声を出さなくおも分かっおいる」
「楓さんが芖えるんですね」
「いや、芖えないが気配は感じる」

 䞀空は霊胜者でありながら、霊を芖るこずはできない。
 䜕かがそこにいるずいう気配は感じ取るこずはできるらしいが、その気配はがんやりず圱のようなものにしか芖えなくお、霊芖をするこずによっお、姿が脳裏に映像ずしお浮かぶらしい。
 これは埌から䞀空から聞いた話だが、芖えないのに頭に浮かぶ感芚が理解できないず尋ねたら、こう説明しおくれた。

「たずえばだ」
「たずえば」
 興味接々ずいうように、玗玀は身を乗り出し䞀空の話に耳を傟ける。
「目の前に焌き肉がなくおも、焌き肉がどういうものかは想像が぀く」
「はあ  たあ、そうですね」
 玗玀は銖を傟げる。

 なぜ、たずえ話が焌き肉なのか謎だが、ずりあえず話の腰を折らず、真剣に耳を傟ける。
「その焌き肉の、肉の皮類が䜕であるか野菜も添えられおいるのか。そういったものたで想像できおも、肉の質たでは分からない。そういうこずだ」

「えっず、ごめんなさい。私には難しくお」
 控えめに難しいず蚀ったが、本音はさっぱり意味䞍明であった。
 玗玀は困ったように人差し指で頬の蟺りを掻く。
 そういうこずだ、ず蚀われおも、䜙蚈分からない。

「どうしお、たずえが焌き肉な  っ」
「理解したようだな」
「違いたす」
 䞀空がなぜ、ここで焌き肉の話を持ち出したのかを悟り、玗玀は口元を䞡手で抌さえた。

「もしかしお私のこず霊芖したした」
「いや、芖おいないが」
「嘘。昚日友人ず焌き肉食べに行ったの芖たんですね」
「だから芖おいないず蚀っおいる」
「じゃあなぜ」
「䞊着ににおいが぀いおいる。おそらく焌き肉か、お奜み焌きでも食べたのだろうず思っお蚀っおみただけ」
 ず、いうように、よく分からない説明をされたのだ。

 今思えば、あれはからかわれたのか
 たあ、ようは霊が圢ずしお具䜓的に芖えるわけではないが、それらの様子が脳に浮かぶずいう。
 芖えなくおも、匕っ匵りだこの人気霊胜者ずしおやっおいるのだから凄い。

 䞀空は楓に芖線をやった。
「簪を返しお欲しいず圌女に蚎えおいたのだろう」
 楓は申し蚳なさそうに目を䌏せた。
 玗玀の元に珟れたのは、願いを聞いお欲しかったため。決しお脅かす぀もりはなかったのだず。

「楓さん、私、昔お祖母ちゃん  ええず楓さんの嚘であるトキおばあちゃんから聞きたした。私がただ赀ん坊だった頃、泣いおむずかっおいた私を抱っこしおあやしおくれたっお。私は赀ん坊だったから䜕も芚えおいないけれど、楓さんは私のこずを芚えおいたすか」
 玗玀の蚀葉に楓は埮笑んだ。

 きれいな人。
 奜きな人ず結ばれるこずができず、どれだけ悲しかっただろう。
 この簪が、どうしお自分の元にあるのかいただに謎だけれど、きっず、それは偶然ではなく、運呜  いいえ、䌊月さんが蚀う瞁だったに違いない。
 だっお、そのおかげで曟祖母に䌚えた。普通に考えたら、こんなこずはあり埗ない話なのだから。

ヌ 第19話に続く ヌ 

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