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䌊月䞀空の心霊奇話 ヌそのいわく付きの品、浄化したすヌ 第2話

◆第1話はこちら

第章 玄束の簪かんざし

 呪われた簪

 静森玗玀しずもりさきは机に頰づえを぀き、がんやりず教宀から芋える倖の景色を眺めおいた。
「  ねえ玗玀、聞いおる」
「え」
 間近で聞こえたその声に、玗玀は我に返る。

 蟺りを芋枡すず、講矩を終えた生埒たちがいっせいに、教宀の出入り口ぞ向かっお歩いお行くのが目に映った。
 い぀の間にか講矩が終わっおいた。
 目の前で友人の深氎暎子ふかみえいこが腰をかがめ、こちらを芗き蟌むように芋぀めおいた。
「え じゃないわよ。あたし、今日バむト䌑みだからお茶しお垰らない っお蚀ったんだけど」
「あ、うん。そうだね」

 心ここにあらずずいう玗玀の様子に、暎子は銖を傟げる。
「どうしたの 講矩䞭もがんやりしおいたみたいだし、䜕かあった 悩み事」
「うん、たあね」
 玗玀は蚀いづらそうに蚀葉を濁す。
「䜕よ。ほんず、どうしたの」
「話しおも信じおもらえないず思うから」
 するず、暎子は興味接々ずばかりに目を茝かせ、身を乗り出しおきた。

「䜕よ、その思わせぶりな蚀い方。たすたす気になるじゃない。信じるかどうかは話を聞いおみないず䜕ずも蚀えないけれど、ずりあえず話しおみなさいよ」
 さあ、聞かせなさいず催促しおくる暎子に、玗玀は苊笑いを浮かべた。
 これは、話すたで解攟しおくれなさそうな雰囲気だ。
 玗玀は䞀぀息を぀き、暎子を芋䞊げた。
「幜霊の存圚っお、信じる」
 暎子はぜかんず口を開け、目をぱちくりさせる。

 ほらね。
 やはり、呆れた顔をされた。

 突拍子もなく、そしお、唐突すぎたのかもしれない。圓たり前だ。いきなりこんなこずを蚀われたら、誰だっお匕いおしたう。
「なヌんおね。ごめん、今のは忘れお。お茶しお垰ろう。駅前のカフェにする」
 やはり、蚀わなければよかったず埌悔しながらノヌトや筆蚘具やらを手早く片付け、バッグを手に立ち䞊がった玗玀の腕を、暎子はむずりず掎んできた。
「な、䜕」
「信じるわ」

 予想倖の暎子の反応に、今床は玗玀のほうが目を瞬かせる。
「霊の存圚を信じるかっお もちろん信じるに決たっおいるじゃない。あたし、そういう話、倧奜物なんだから。で、続き、話の続きを聞かせなさい」
「ええ」

「ぞえ、そうだったんだ。それで、それで」
 駅前のカフェに堎所を移し、本日のケヌキセットを食べながら、玗玀は昚倜起きた出来事を暎子に話しお聞かせた。
 ばかばかしいず䞀笑されるかず思いきや、暎子は話にどんどん食い぀いおくるうえに、嬉しそうだ。

 幜霊を信じるず蚀ったのも、嘘ではないらしい。
 玗玀も今日初めお知ったのだが、暎子は倧の心霊奜きでオカルトマニアだったのだ。それで、玗玀の話に飛び぀いおきたずいうわけである。
「たさか、玗玀ずこんな話ができるずは倢にも思わなかったよ。っおいうか、玗玀に霊感があったなんお知らなかった」
 ず、声を匟たせおいる。

「初めお他人に話したからね」
「䜕で隠しおいたのよ」
 隠しおいたわけではなく、蚀う必芁がなかったから。そもそも霊感がありたす、なんお普通は蚀わない。いや、蚀えない。
 そう、玗玀は子どもの頃から普通の人には芋えないものが芖えるずいう、霊感䜓質であった。
 もちろん芖えるだけで、昚倜のように霊が䜕かを蚎えおきおも、䜕もしおあげるこずはできない。
 本圓にただ芖えるだけ。

「もしかしおその簪、呪われおいるんじゃない いわく぀きっおや぀」
「呪われおる」
 思わず倧きな声が出おしたい、慌おお玗玀は口元を手で抌さえ蟺りを芋枡した。
 幞い呚りの人には聞かれおいなかったようで、ほっず息を぀く。
「たさか」
「だっお、簪を手にした途端、家族の身に次々ず䞍幞が起きお、毎晩知らない女の霊が珟れおは、恚み蟛みを吐いお襲っおくるんでしょう これっお呪われおいるずしか思えないじゃない」

 恚み蟛みを吐いお襲っおくるこずは今のずころないが、確かに簪を手に入れおから、次々ず家族に䞍幞が起きるようになったのは事実だ。
 父は䌚瀟の健康蚺断で疑わしいずころが芋぀かり、再怜査で胃に悪い腫瘍があるかもしれないず蚀われ、さらに粟密怜査で末期の胃がんず蚺断された。

 父がそういう状況で経枈的にもこれから倧倉になるかもしれないずいう時に、母の勀め先が䞍圓たりで突然倒産。
 さらに、姉は䞉幎付き合った圌氏ず婚玄たでしたのに、二股をかけられおいたこずが発芚した。
 婚玄者に裏切られ、傷心の姉の傷口にたるで塩を塗るかのように、盞手の女性が劊嚠しおいたこずも分かった。
 圓然、婚玄は砎棄になり、姉は自暎自棄。
 婚玄者ず同じ䌚瀟に勀めおいた姉は、䌚瀟にいられなくなり、結局、退職に远い蟌たれた。

 それだけではない。
 䞍幞は止たらず、退職したその日、暪断歩道を枡っおいた女子䞭孊生めがけお信号無芖をした乗甚車が突っ蟌んできお、咄嗟にその䞭孊生をかばった姉は車に撥ねられた。

 幞い足の骚折だけで枈み、珟圚入院䞭だ。
 それだけで枈んだのは奇跡的だず医者は蚀うが、あたりにも立お続けに䞍幞が続きすぎお、これはもはや偶然ずは思えない。
 それもこれも、簪を手にしおから盎埌に起こったこずばかり。

「っおこずは、最埌は玗玀に䞍幞が起きる番か」
「やめおよ。もうじゅうぶん䞍幞よ。もしかしたら倧孊だっお蟞めなければいけないかもしれないのに」
 玗玀は暎子を睚み぀ける。
 䞡芪はお金の心配はするなず蚀っおくれたが、父の治療費のこずを考えるず、のんきに倧孊に通っおいるのも難しい。

「それは困ったわね。で、その呪いの簪ずやらを、い぀どこで手に入れたのよ」
 フルヌツがたっぷり乗ったタルトのいちごをフォヌクで突き刺し、暎子は口に運ぶ。
 呚りでは女性たちが笑い声を発しながら楜しそうに䌚話をしおいるのに、霊だの呪いだのず、お排萜なカフェで話すにはたったくそぐわない内容だ。
「それが分からないの。い぀の間にかあったずいうか」
「そんなばかな」
「本圓よ。茚城の実家から東京に䞀人暮らしをするずきに荷物の䞭にたぎれ蟌んだのかなっお」
 玗玀の答えも曖昧であった。

「じゃあ、元々その簪は実家にあったっおわけでしょう。だずしたら、いきなり家族に䞍幞が起きるっおいうのも倉だず思わない 以前から実家にあったんだから」
「それが  簪のこずを䞡芪に聞いおみたんだけど、そんなものは知らない、芋たこずもないっお蚀うの」
 フルヌツタルトを食べ終え、玅茶を飲んでいた暎子の目が、䜕か気づいたずいうように閃きを攟぀。

「分かった。その簪、玗玀が䜏むアパヌトの前の䜏人の物よ」
「それは絶察にない。だっお、私の䜏んでいるアパヌトは新築で、あの郚屋に入居したのは私が最初だもの」
 だから、前の䜏人が眮き忘れおいったずいうこずはあり埗ないのだ。
「ふうん、たすたす、いわく぀きっぜい感じがするわねえ」
「うん  」

 食べる気をなくした玗玀はフォヌクを皿に戻した。
 そんな玗玀を暎子は䞊目遣いで芋る。
「その簪っお、どんな感じなの」
「幎代物っおいうのかな、叀い感じ。䜜りは繊现な感じで、䜕お蚀うのかな、䟡倀がありそうな」

「手攟しちゃえば」
「捚おおしたうっおこず なんかそれも気が匕けるずいうか」
「捚おおもいいけど、䟡倀がありそうな気がするなら売っおみたらっお意味」
「売れるかな。そういう物の䟡倀っお、私にはたったく分からないし」
「そういう店に持っおいっお査定しおもらえばいいのよ。売れおお金が入ればラッキヌ、倀が぀かなくおも匕き取っおもらえないか亀枉しおみれば手攟せる。それなら、捚おるよりはたしでしょう。フリマサむトを利甚するずか、売る方法は他にもいくらでもあるしね」
「うん、そうしおみようかな」
 そこで玗玀ははたず気づく。

「なんならこの簪、暎子にあげようか もちろんただで」
 心霊倧奜きっおいうくらいなら、むしろ暎子の方が喜んで貰っおくれるかず思ったのだ。もしかしたら、もれなく幜霊も぀いおくる。しかし、暎子の反応は玗玀が思っおいたものずは反察であった。
 暎子は嫌そうに顔をしかめる。

「やめおよ」
「どうしお 心霊ものが奜きなんでしょう。霊䜓隓ができるかもよ」
「あのねヌ、確かにあたしは心霊倧奜きだけれど、自分の身に怖いこずが起きるのはむダなの。幜霊を芋るずか勘匁しおよ」
 興味があるず蚀いながらも、そういうものなのだろうか。
「ずにかく、䜕か進展があったらたた聞かせお。興味はあるからさ」
 ずいうこずで、簪を手攟すずいう方向で、ずりあえず話は萜ち着いた。

ヌ 第3話に続く ヌ 

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