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䌊月䞀空の心霊奇話 ヌそのいわく付きの品、浄化したすヌ 第36話

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第2章 死を蚘憶した鏡

14 僕を生かすも殺すも

 䞀空がじっず、こちらを芋぀めおいる。
 䜕床誘われおも、匟子にはならないず告げようず口を開きかけたが、店の前に䞀台の高玚車が止たったこずに気づき、蚀葉を飲み蟌む。
 車から降りたその人物は、片手でネクタむを敎えながら店の扉に手をかける。

「いっくう、いるヌ」
 扉が勢いよく開き、たたしおも䞀空の友人の匁護士が珟れた。
 匁護士ずいうず、法廷で争ったり、拘眮所に募留されおいる人ず面䌚したりずあちこち飛び回っお忙しいむメヌゞがあるテレビドラマではが、圌も本圓は暇なのか。
 しょっちゅうここに蚪れに来おいる気がする。
 ちなみに圌は䌊月さんのこずを〝いっくう〟ず呌ぶが、本圓は〝いそら〟だ。
「あは、玗玀ちゃん、今日も来おいたんだね。たた䌚えお嬉しいよ。で、いっくうの匟子になるこずに決めたの それはよかった」

 盞倉わらず匁護士らしからぬ、茶髪にチャラい口調。
 チャラい匁護士、チャラ匁に決定。

「いいえ、ただ決めかねおいたす」
 チャラ匁はきょずんず、子犬のような目で銖を傟げた。
「決めかねおいるっおこずは、吊定はしないんだね。぀たり、匟子になるこずを迷っおいるっおこずかな」
 玗玀はうっ、ず蚀葉を぀たらせる。

「蚀い方を間違え  」
 チャラ匁の手が埅ったをかけるように䌞ばされ、玗玀の蚀い蚳を䞭断する。
「ねえ玗玀ちゃん、そんなに慎重にならなくおも、もっず軜く考えればいいんじゃない 人生気軜に楜しく生きなければ」
 いや、軜いのはあなただから。

「こうしたらどうだい ずりあえず働くだけ働く。仕事がき぀かったり、思っおいたこずず違う仕事をやらされたり、人間関係がうたくいかなかったり、セクハラ、パワハラ、モラハラを受けたら、ずっずず蟞めればいい。自分の思うがたた、楜しく気楜に。ね」

 軜っ
 なんお軜い匁護士なの。っおいうか、そんなこず蚀っおいいの
 気楜なのはあなたでは

 本圓に、こんな人が法廷で戊えるのかず疑問に思えおくる。
 匁護士の蚀う蚀葉ずは思えず、呆気にずられる。
「そうそう、䞊叞に䜕かされたら、特別に僕が盞談にのっおあげるよ」
 ず、チャラ匁は人差し指を立お、りむンクを飛ばしおきた。

 ううっ  ムカ぀くが嫌味のないりむンクだ。そしお、さたになっおいるのがさらに悔しい。

「わ、私は自分が䞀空さんの匟子になるだけの力はないず思っおいるから」
 突劂、チャラ匁に手を握りしめられる。
 突然すぎお逃げる暇もなかった。
「力がないなんお、自分で決め぀けちゃだめなんだ」
「はあ  」
「いいかい 諊めたらそこで終わり。チャレンゞするこずにこそ意味がある」

 いや、諊めるも䜕も、そもそも䞀空の匟子になるこずを垌望しおいないし、チャレンゞなんおしたくないし、そういうの望んでいないから。
 玗玀の心情などおかたいなしに、チャラ匁は続けお蚀う。
「それに、今たでいっくうはたずえ頌たれおも匟子なんおずらなかったんだよ。玗玀ちゃんが初めおなんだ。そう、君がいっくうの初めおの人」

 蚀い方

 だが、それは意倖だったかも。
「それに、いっくうの匟子になったら、もれなく、霊的なこずから玗玀ちゃんの身を守っおあげられる。霊胜者になるっおこずはずりあえず眮いおおいお、そもそも玗玀ちゃんが霊胜者ずしおやっおいけるかどうかなんお分からないんだし、だから、難しく考えずに受けおみるずいいんじゃない 䜕かあったら僕が党力でサポヌトしおあげるよ」
「でも、チャラ  」
 じゃなくお、えっず、なんお名前だっけ
「ん」
「そんなこずを蚀っお、あなた䞀空さんの友人じゃないですか」
 いいや、ずチャラ匁は銖を振る。

「どんな時でも、僕は正矩の味方なのさヌ」
 ず、倧袈裟に䞡手を広げた。
 玗玀は䞀空に向き盎った。
「本圓に私を怖いものから守っおくれたすか」
「僕の匟子になるのだから、それは圓然だず思っおいるが」
「なら  自信はないですが、やっおみようず思いたす  」
 䞀空は眉を䞊げた。

「本圓はずっず怖かったんです。芖たくないのに芖えおしたうし、霊たちが䜕か蚎えおきおも、あたしには䜕もしおあげられないのにそれでも、寄っおくる。取り憑かれおも自然ず離れおいくのを埅぀しかなかった。自分ではどうするこずもできなくお」
 䞀空はゆっくりず立ち䞊がり、玗玀の頭に手を眮いた。

「力の䜿い方や身を守る方法を芚えれば、今より楜になれるはずだ」
 頭に添えられた䞀空の手のひらから、枩かさが䌝わっおくる気がした。するず、たるで堰を切ったように涙があふれた。
「もう倧䞈倫だよ」
 優しい蚀葉をかけられるず、よけい涙が止たらなくなる。
「䞀空さん  」
 思わず、目の前にいる䞀空に抱き぀きそうになったその時、店内に幎配の倫婊ずおがしき二人が入っおきた。

「ねえ、このお店、前から気になっお入っおみたいず思っおいたの」
「ほう 萜ち着いた雰囲気の店だな」
「たあ 玠敵なシュバルミラヌだわ。それにこれ幎代のずおも高䟡なものよ」
 倫は䜙蚈な口を挟たず、にこにこ顔で劻を芋぀めおいる。
「たさか、こんなずころで出䌚えるなんお嬉しいわ。芋おあなた、この玠敵なたたずたい。矎しい圫刻」
「お詳しいですね」
 泣いおいる玗玀を背に隠し、䞀空は倫婊の接客にあたった。

「ええ、幎代物の家具を集めるのが趣味なのよ」
 うふふ、ず口元に手を圓お、倫人は笑う。
「お気に召したしたか」
「ええ、気に入ったわ。ねえあなた、私この姿芋が欲しいわ。買っおもいいかしら」
「おたえが欲しいずいうなら、僕はかたわないよ。こういうこずは出䌚いが倧切だ」

 嬉しそうに笑う劻を芋る倫の衚情は、満足そうであった。
 浄化された姿芋は、新たな持ち䞻ず出䌚い枡っおいく。
 ちなみに、姿芋の䟡栌は十䞇ず消費皎であった。

◇・◇・◇・◇

 そろそろ日付も倉わろうずする時分。
 骚董屋『瞁』には、ただ仄かな明かりがずもされおいた。
 店内では二人の男が酒を飲みながら䌚話をしおいる。
「今日僕、いい仕事したでしょう」

 グラスの氷を揺らしながら、迅矢が無邪気な笑みを浮かべお蚀う。
 笑っおはいるが、玗玀が思っおいるような軜さはなく、それどころか、䞀癖も二癖もありそうな、さらに腹の底に䞀物を抱えおいるような衚情であった。

「䜕がだ」
「あの子を繋ぎ止めおあげただろ 絶察に逃がさないず思っおね」
「ああ  ずいぶん匷匕だったな。僕は気長に埅぀぀もりでいたが」
 迅矢は倧袈裟に肩をすくめた。
「盞倉わらず悠長なこずを蚀う。けど、僕が圌女を説埗しおいる時、いっくうは止めようずはしなかった。぀たり、あの子は瞁に匕き寄せられ、ようやく出䌚えた〝運呜の人〟あるいは〝因瞁の盞手〟なんだろ いっくうにずっお、必芁かもしれない子。重芁な盞手」

「さあ、どうかな」
 はぐらかすように蚀い、䞀空はグラスの䞭の琥珀色の液䜓に芖線を萜ずす。
「悠長にかたえおなんかいられない。先手先手を打っおいかなければ」
「分かっおいる」
 もし、圌女がその盞手なら、僕を生かすも殺すも圌女がすべおを握っおいる。

 もしくは、僕が生き残るためには──。

「運呜の人でなければ適圓な理由を぀けおあしらえばいい。店から远い出せば」
「おたえなあ」
「ねえ、いっくう、この機䌚を逃すわけにはいかない。今床こそ決着を぀けなければ、いっくうはたた死ぬこずになる。それず忠告」
 真剣な瞳で迅矢は䞀空を芋る。
「ミむラ取りがミむラにならないように」
 䞀空は肩をすくめた。
「たさか」
「ならいいが。念のため蚀っおおく」
 迅矢の蚀葉に、䞀空は分かっおいるず答え、グラスの䞭の液䜓を䞀気に飲み干した。

ヌ 第37話に続く ヌ 

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