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お父さんも、このプールで泳いでたかもしれない。むろと廃校水族館

高知県室戸市を走り、向かったのが「むろと廃校水族館」。

名前の通り、廃校になった小学校をそのまま利用した水族館だ。

こういう変わった場所は好きなので、ちょっと寄ってみることにした。

着いてみると、思っていた以上に車が多い。

駐車場もほぼいっぱいで、なんとかギリギリ停めることができた。

観光客ばかりというより、地元の家族連れも多いように見える。

廃校を使った小さな水族館くらいに思っていたので、まずその人気に驚いた。

水族館になっても、学校が残っている

中に入ると、確かに水族館。

水槽が並び、いろいろな生き物が展示されている。

でも歩いていると、ずっと「学校」が残っている。

廊下がある。

教室がある。

黒板がある。

机と椅子がある。

壁には大きな地図。

階段の踊り場には跳び箱。

人体模型まである。

どれも、

「あった、あった」

と思うような、小学校にあるものばかり。

水族館にするために学校だった面影を消したのではなく、学校だった場所に、そのまま水族館が入ってきたような感じだ。

これが面白い。

2001年に閉校した小学校

この場所は、もともと室戸市立椎名小学校。

2001年に閉校し、2018年に「むろと廃校水族館」として生まれ変わった。

2001年。

ちょっと考えてみた。

閉校した年に6歳だった小学1年生は、今なら30代前半。

12歳だった小学6年生なら、30代後半になっている。

もう、自分の子どもを連れてきてもおかしくない年齢だ。

そこで、さっきから見かける家族連れを見ながら、勝手に想像してしまった。

「お父さんのときはな」

「ここ、お父さんが小学生のとき教室やってん」

「この階段も毎日上ってたで」

「この跳び箱みたいなん、学校にあったわ」

そんな話をしながら歩いている人もいるのかもしれない。

もちろん、実際にそんな会話を聞いたわけではない。

私の勝手な想像だ。

でも、この学校に通っていた子どもたちが今は親になっていると考えると、十分ありそうな話だと思う。

そして、何より面白いのがプールだった。

昔のプールには、今ウミガメが泳いでいる

学校のプールが、そのまま水族館になっている。

そこを悠々と泳いでいるのがウミガメ。

ここでも、また勝手に想像する。

「このプール、お父さんも泳いでたで」

子どもが見る。

今はウミガメが泳いでいる。

考えてみれば、かなり不思議な光景だ。

自分が子どものころに泳いでいた学校のプール。

学校はなくなった。

でもプールは残った。

そして何十年か経って、自分の子どもを連れて戻ってきたら、そこをウミガメが泳いでいる。

もし自分の母校だったら、ちょっと感慨深いと思う。

廃校になっても、人が戻ってくる

廃校という言葉には、どこか寂しい響きがある。

子どもがいなくなって、使われなくなった学校。

そのままなら、時間とともに建物も古くなり、やがて人が来なくなる。

でも、ここは違った。

水族館になったことで、また人が集まっている。

しかも、学校だったころとは違う形で、子どもたちの声が戻ってきている。

昔ここに通っていた人が、自分の子どもを連れて戻ってくることだってあるだろう。

学校としての役目は2001年に終わった。

でも、この場所の時間はそこで止まらなかった。

黒板も、地図も、跳び箱も残っている。

プールも残っている。

ただ、そのプールを泳いでいるのは小学生ではなく、今はウミガメだ。

廃校を水族館にした。

言葉にするとそれだけだけど、実際に歩いてみると、昔の学校と今の水族館が同じ場所に重なっている。

それが、この水族館の一番面白いところなのかもしれない。

お父さんも、このプールで泳いでたかもしれない。

そんなことを考えながら、ウミガメが泳ぐ昔の小学校をあとにした。


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