いまこの苦しみに意味はあるのか?
仕事をしていると、苦難は次から次へとやってきます。
思うように仕事が進まない。上司とうまくいかない。チームをまとめられない。新しい役割を任されたけれど、期待に応えられない。
若い頃の私は、こうした苦難にぶつかるたびに、「どうすれば解決できるか」「どうすれば楽になるのか」を考えていました。
でも、長く仕事をしていると、少し違うことを考えるようになります。
「いまのこの苦しみは、未来の自分にとっての伸びしろなのだろうか?」
すべての苦難が、伸びしろになるわけではありません。
自分が頑張っても変えられないこともあります。環境を変えたほうがよいこともあります。単に我慢し続けることを「成長」と呼んでしまえば、自分を消耗させるだけかもしれません。
一方で、逃げずに向き合ったほうがよい苦難もあります。
なぜ、自分はここでいつもつまずくのか。
なぜ、この人との関係だけがうまくいかないのか。
なぜ、同じような場面で何度も苦しくなるのか。
そんな苦難や葛藤の中には、いまの自分にはまだ見えていない何かが隠れていることがあります。
振り返ってみると、私自身、何度も苦難や葛藤と向き合ってきました。
そのときは、ただ厄介だったものが、何年か経って振り返ると、「あの苦難や葛藤があったから、今の自分がある」と思えることがあります。
だとすれば、経験を積むとは何なのでしょうか。
知識が増えること。
仕事が速くなること。
問題を上手に解決できるようになること。
もちろん、それらもあるでしょう。
でも、もう一つあるように思います。
目の前に現れた苦難や葛藤が、未来の自分につながるものなのかを見極める力です。
これは向き合ったほうがいい。
これは手放したほうがいい。
これは、いまの自分が越えるべき壁かもしれない。
経験を積むことで、そんな見極めの精度も少しずつ上がっていくのではないでしょうか。
だとすれば、成長とは、課題を解決できるようになることだけではありません。
どの苦難や葛藤に向き合うのかを選べるようになることも、成長なのだと思います。
人生には限りがあります。
だから、目の前に苦難が現れたとき、すぐに解決方法を探したり、闇雲に立ち向かったりする前に、一度だけ問うてみてもよいのかもしれません。
「この苦難は、未来の自分につながる伸びしろだろうか?」
そして、もう一つ。
「自分はこれまで、どんな苦難や葛藤を乗り越えて、今の自分になったのだろうか?」
未来の自分がどうなるのかは、まだわかりません。
でも、過去の自分がどんな苦難や葛藤に向き合い、何を身につけてきたのかは振り返ることができます。
そこに、自分にとっての「伸びしろになる苦難」を見極めるヒントがあるのかもしれません。
苦難や葛藤は、これからも、きっとなくなりません。
伸びしろにならないと思えたなら、手放すことや逃げることも、一つの選択なのだと思います。
どの苦難を選ぶかが、自分自身の人生を作っていくのだと信じています
