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WISCを受けたほうがいい? 不登校と発達について、私が思うこと

フリースクールwatotoを始めてから、ありがたいことに保護者の方から相談を受けることが増えました。

その中で感じているのが、

不登校と発達のことは、切っても切れない

ということです。


子どもが学校に行きづらくなったとき、学校や医療機関などから、「一度、発達検査を受けてみてはどうですか?」と勧められることがあります。

すると保護者の方から、

「受けたほうがいいんでしょうか?」
「WISCを受けたら、発達障害かどうか分かるんですか?」
「受けないと支援してもらえないんでしょうか?」

と聞かれることがあります。


中には、「学校から発達障害を疑われているようでショックだった」と、すでに学校への不信感を持っている方もいます。

分かります。

「検査を受けてください」と言われたら、うちの子の何が問題なんだろう…そんなふうに感じてしまうこともあると思います。

今日は、教員として子どもたちを見てきた立場と、フリースクールを運営する立場、そして一人の母親として、WISCについて今思っていることを書いてみます。


WISCは「この子を知る」ためのヒント


まず、WISCの結果だけで「発達障害かどうか」が決まるわけではありません。

WISCから見えてくるのは、

どんなことが得意なのか。
どんなことに負荷がかかりやすいのか。
情報をどんなふうに受け取ったり、処理したりする傾向があるのか。

そういった、その子の認知の特徴です。


私は、「この子には、世界がこんなふうに見えているのかもしれない」と理解するためのヒントをもらうものだと思っています。



WISCを受けないと、支援できない?


ここは、教員としてすごく思うことがあります。

私は、「WISCを受けてから支援する」ではなく、「困っているなら、まず支援する」べきだ思っています。

教室に入りづらい。
集団活動がしんどい。
書くことが苦手。
音や人の多さに疲れてしまう。

すでにそういう困りごとが見えているのなら、検査結果がなくてもできることはたくさんあります。

別室で過ごす。
書く量を減らす。
タブレットを使う。
指示を一つずつ伝える。
少人数で活動する。
安心できる大人と関わる。
まずやってみて、その子の様子を見る。

そして、「これは合っていそうだな」「これは違ったな」と考えていく。

私は、そうやって子どもを見ながらアセスメントして、その子に合った方法を探していくところこそ、担任や特別支援教育コーディネーターの腕の見せ所だと思っています。


学校には「特コ」がいます


横浜の前任校にいた特別支援教育コーディネーターの先生は、私にとって本当に神的存在でした。

知識も経験も豊富で、私が担任をしていたとき、「この子への支援、どうしたらいいでしょう?」と相談すると、いつも的確なアドバイスをくれました。

必要ならすぐ関係機関につないでくれたり、私に代わって保護者と連絡を取ってくれたり。

何度助けてもらったか分かりません。

学校には、特別支援教育コーディネーター、略して「特コ(トッコ)」と呼ばれる先生がいます。

もし学校との関係がまだつながっているのであれば、担任の先生だけではなく、そういう先生とつながってみるのも一つだと思います。


それでも、私はWISCを受ける価値はあると思う


では、不登校や行き渋りの子はWISCを受けなくてもいいのか。

私は、受ける価値は十分あると思っています。

なぜなら、検査によって、それまで「なんとなく困っている」だったものが、もう少し具体的に見えてくることがあるからです。

例えば、処理に時間がかかりやすい傾向が分かれば、「みんなと同じ時間で終わらない」ことを、本人の努力不足として見なくて済むかもしれない。

一度にたくさんの情報を頭の中に置いておくことが苦手だと分かれば、「何度言っても覚えない」ではなく、「一度にたくさん伝えると難しいのかもしれない」と考えられる。

そうすると、

指示を一つずつ伝えよう。
チェックリストを作ってみよう。
時間に余裕を持たせよう。

そんなふうに、支援が具体的になっていきます。


「苦手」だけじゃなく、「得意」も見たい


そして、もう一つ大切だと思っていることがあります。

WISCは、苦手なことだけを見るためのものではない。ということです。

検査を受ける前、「できないことが数字になって出てきたら怖い」と感じる保護者の方もいると思います。

でも、得意なことも見えてきます。

watotoで大切にしたいのは、まさにそこです。

苦手手なところを見つけて、そこを全部「普通」に近づけるのではなく、

この子は何が得意なんだろう。
何に心が動くんだろう。
どんな方法なら力を発揮できるんだろう。

苦手なことには、その子に合った方法を探す。

そして得意なことや好きなことは、もっと伸ばしていく。

その両方を考えるための材料として、WISCの結果はとても役に立つことがあります。

私はWISCを、その子を決める「判定表」ではなく、その子を理解するための一冊のガイドブックくらいに考えています。

でも、検査結果がその子のすべてではない

もちろん、ガイドブックに全部が書いてあるわけではありません。

数値では表せないものが、子どもにはたくさんあります。

好きなこと。
夢中になれること。
優しさ。
感性。
人との関わり方。
そして、その子が今までどんなことを頑張ってきたのか。

そういうものは、WISCの数字には出てきません。

だから、検査結果だけを見て、「この子はこういう子です」と決めてしまうのは違うと思っています。

大切なのは、結果そのものよりも、その結果も一つの手がかりにしながら、目の前の子を見続けること。

「この子はどんな子なんだろう」と、大人が知ろうとし続けることなんじゃないかなと思います。


実は、私も当事者です


ここまで支援する側として書いてきましたが、実は私自身も、我が子の発達や学びの場について悩んでいる親の一人です。

わが家の6歳の息子も、この夏、WISCを受けました。

就学相談も受けています。

通常学級がいいのか、特別支援学級がいいのか。
彼にとって、どんな環境が合っているのか。

私も迷います。

教員だから迷わない、なんてことは全然ありません。

むしろ知っているからこそ、あれこれ考えてしまうこともあります。

でも、私が息子にWISCを受けてもらおうと思ったのは、「通常学級か、支援学級か」を決めるためだけではありませんでした。

息子の周りにいる大人たちに、「この子は何が得意で、どんなときに困りやすいのか」を知ってもらいたかったからです。

例えば、「落ち着きがない子」として見るのと、「じっとしていることに、とても大きなエネルギーを使っている子」として見るのでは、関わり方が変わります。

「何度言ってもできない子」として見るのと、「情報を整理するのに時間が必要なのかもしれない」と見るのでも違います。

子ども自身は何も変わっていません。

でも、周りの大人の見方が変わる。

すると、声のかけ方が変わる。

環境が変わる。

本人の過ごしやすさが変わることがあります。


だから私は、WISCを「判定のための検査」ではなく、理解するための検査として捉えています。

私が本当に知りたいのは、「どうしたら息子を普通の子に近づけられるか」ではありません。

彼が彼らしく、安心して過ごせる環境はどんな場所なのか。

どんな関わり方なら力を発揮できるのか。

どんなときに困りやすいのか。

そして、困ったときにどんな助けがあれば、自分でまた動き出せるのか。

それを知りたいし、言語化して彼の周りの大人たちに理解してもらいたい。


子どもを環境に合わせるのではなく、子どもを見ながら環境のほうも変えていく。


私は、それが支援なんじゃないかなと思っています。



そして最後に、

不登校の子どもたちと関わっていると、不登校の理由は本当に一人ひとり違うと感じます。

発達特性が関係していることもあります。

先生との関係かもしれない。

友達との関係かもしれない。

学校の環境そのものが合わないのかもしれない。

いろんなことを頑張り続けて、ただただ疲れ切っているのかもしれない。


たぶん、どれか一つではなく、いくつものことが重なっている場合も多い。

だから私は、「WISCを受けるか、受けないか」を考えること以上に、今、この子に安心して過ごせる場所があるだろうか。と考えることを大切にしたいです。

安心できる場所がある。
安心できる人がいる。
そこで少しずつ元気を取り戻す。

その過程で、「もう少しこの子のことを知りたいな」となったときに、WISCを使う。

そんな順番だっていいと思います。

もし今、「WISC、受けたほうがいいのかな」と迷っている保護者の方がいたら。

支援学級か通常学級か。
学校かフリースクールか。
発達障害なのか、そうじゃないのか。

何かを二つに分けて決めるためだけではなく、「この子をもっと理解したい」という理由で受けるという考え方もあります。

検査結果が、その子を決めるわけではありません。

でも、その子を理解するための大切な手がかりになることはある。

そして、理解することが、「できないことをできるようにする」だけではなく、その子がその子らしく生きていくための環境を考えることにつながったらいいなと思っています。


フリースクールwatotoでも、すべての子どもが同じ内容を、同じ方法、同じ速さで学ぶことを目指しているわけではありません。

一人ひとりの興味や得意なこと、心が動く瞬間を見つける。

苦手なことには、その子に合った方法やペースを一緒に探す。

安心できる人や場所とのつながりを土台に、自分を知り、他者を知り、自然や地域や社会と出会っていく。

その中で、「私はどうしたい?」を少しずつ選べるようになってほしい。

WISCも、そのためにその子を知る方法の一つ。

でも、検査よりずっと前からできることがあります。

目の前の子をよく見ること。
話を聞くこと。
安心できる場所をつくること。

そして、「あなたは、あなたのままでここにいていい」と伝えること。

私は、かつて教員や支援員として色々な子どもたちと過ごしてきたからこそ、そう考えています。



フリースクールwatotoでは、初回のご相談・見学を無料で行っています。

不登校のこと、学校のこと、発達のこと。

「こんなこと相談していいのかな」ということでも大丈夫です。

DM・メール・公式LINEなどから、お気軽にご連絡ください。

watotomail@gmail.com 
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