ベルギー×セネガル、今朝の激闘。から遡ること半年、そして8年前。思い出すこといろいろ。北中米World Cup2026、テレビ観戦記。
今朝のこと。2026年7月1日日本時間午前5時キックオフ。サッカー北中米World Cup2026、ノックアウトステージbest32round、セネガル×ベルギー。
どちらも今大会グループリーグを大変な苦戦をして勝ち上がってきた。
セネガルは、あのフランス、エムバペ、デンベレ、オリセー、デュエ、バルコラ、チュアメニ、怪物だらけ最強のフランスと、ハーランド、ウーデゴール擁するノルウェーと同組。初戦フランスに1-3と敗れ、2戦目ノルウェーに2-3と敗れ、2連敗。敗退かと思われたが、3試合目イラクに5-0と快勝大勝して勝ち点3得失点差+2で勝ちぬけた。
ベルギーは初戦エジプトに1-1(後半ルカク投入でかろうじて追いつく)、次戦イランに0-0.全然点が入らない。2引き分けでどうなることかと思ったが、3戦目ニュージーランドに5-1と大勝して、勝ち点5で結局グループ首位で勝ちぬけた。
セネガルとベルギーといえば、2018年World Cupロシア大会で、ともに日本と戦っている。
8年前のこと。
2018年6月24日(現地時間)、エカテリンブルクでセネガルとはグループリーグで2-2の引き分け(本田と乾が得点)。最終的に日本とセネガルは勝ち点得失点差総得点まで同じで、イエローカードなどの数での「フェアプレーポイント」でわずかに日本が上回り、ノックアウトステージに勝ち上がった。このとき戦ったセネガルのマネとイドリッサ・ゲイェは34歳、36歳となり、今日の試合にも出場している。
2018年7月2日(現地時間)、ロストフ・ナ・ドヌーで日本代表はこうして勝ち上がったノックアウトステージbest16roundベルギーと激突。
前半に原口元気と乾のファインゴールで2-0と先制。当時ベルギーのFIFAランキングは3位。今の高齢化して下り坂のベルギーとは違い、優勝候補の一角だった。それに対して前半2-0。しかし、後半、猛反撃に出たベルギーに同点に追いつかれる。90分がすぎ、日本はペナルティエリアやや外、距離はあるが狙えるフリーキックを獲得。本田圭佑、渾身・会心の無回転シュートがいいコースに飛ぶが、キーパーはクルトワ。今もレアルマドリー正キーパー、今日もベルギーゴールを守っているクルトワがはじく。コーナーキック。そのコーナーキックを本田が蹴る。クルトワキャッチ。すでにロスタイム残り時間はほとんどない。クルトワがデブライネにスロー。世界最高のミッドフィールダー、デブライネも34歳になって今朝も試合に出ている。デブライネが猛然と日本ゴールに向かってドリブる。日本ディフェンダー止められない。デブライネから右を走るムニエにパス。ムニエはグラウンダーのクロスを送ると、—る前に走り込んだエースストライカー、ルカクが絶妙のスルー。それをその向こうに走り込んでいたシャドリがシュート、ゴール。日本はロスタイム、ラストプレー、ここを堪えれば延長戦というところで決勝点を決められ、敗退。
今回のブラジル戦の、アディショナルタイムあと数秒堪えれば延長戦での決勝点を取られるのと同じことが、2018年にあった。「ロストフの悲劇」と呼ばれた。
この最後のカウンターに名前が出る、クルトワ、デブライネ、ルカク、みな30代半ばになったが、今朝の試合に登場している。
2018年、日本と戦ったレジェンド戦士が数名ずつ残るベルギーとセネガルの対決である。日本代表は、あの試合のピッチにいて、今回代表に残っているのは長友のみ。長谷部はコーチに、吉田麻也はサポートメンバーとして帯同。
ロストフの現在
というサッカーのことだけでなく、ロシアの「ロストフ」という地名は、今はウクライナとの長引く戦争の中でよく聞くようになった。ロストフはウクライナとの国境に近い黒海沿いの街であり、クリミアへの輸送路にあたる。最近はウクライナのドローン攻撃にも晒されたりしているようだ。2018年のワールドカップのときには、まさかロシアがこんな戦争をして、ロストフがこんなことになるとは思いもしなかった。
■セネガル、半年前のこと
日本との因縁ということで、8年前のロシア大会のことを振り返ったが、今朝の試合内容、その結末、セネガルにとって思い出すのは、今年1月19日に行われたアフリカネーションズカップの決勝戦、モロッコ×セネガルの苦い記憶をそのまま再現するようなものになった。
今大会、セネガルとモロッコのことを試合前に紹介するときに、「アフリカの雄」として両チームとも紹介される。今年行われたアフリカネーションズカップの、モロッコは「チャンピォン」と紹介され、セネガルは「いろいろあったが、実質的にチャンピォン」と微妙な言い方で紹介されることがある。
何があったのか。
2025-26シーズンのアフリカネイションズカップ、モロッコ対セネガル決勝(現地1月18日)の経緯を簡潔にCLAUDE博士にまとめてもらった。
試合当日の混乱
①0-0で終盤までもつれる激闘に。後半アディショナルタイム、セネガルのイスマイラ・サールがゴールを決めるも、ファウルの判定で取り消し。
②その直後、モロッコのブラヒム・ディアスが倒され、VARを経てPKが宣告される。
③直前のゴール取り消しに納得していなかったセネガル側が猛抗議。パペ・ティアウ監督が選手をロッカールームへ引き上げさせ、大半の選手がピッチから消える異例の事態に。
④約15~18分間の中断後、キャプテンのサディオ・マネが同僚を説得し、選手たちをピッチに呼び戻す。
⑤再開後のPKをブラヒム・ディアスがパネンカで狙うも、GKエドゥアール・メンディがセーブ。
⑥延長戦に突入し、マネのボール奪取を起点にセネガルがカウンターを完成させ、パプ・ゲイェが決勝点。セネガルが1-0で勝利、優勝を果たす。
優勝後、一転して覆る
⑦試合直後からモロッコ側が「セネガルの試合放棄」を猛批判。翌日にはモロッコサッカー連盟(MFF)がCAF・FIFAに正式抗議・上訴。
⑧約2カ月後の3月17日、CAF上訴委員会が裁定を発表。セネガルの行動が大会規則第82条(試合拒否)・第84条(ピッチからの離脱)に違反すると認定し、試合結果を1-0(セネガル勝利)から3-0のモロッコの不戦勝に変更。
⑨これによりセネガルの優勝は剥奪され、モロッコが25大会ぶりの王者となった。
⑩併せて、選手をロッカールームへ導いたパペ・ティアウ監督には5試合の出場停止処分。モロッコ側選手への処分は逆に軽減され、罰金も撤回された。
その後
⑪セネガルサッカー連盟(FSF)はこの裁定を「不公平で前例のない決定」として非難する声明を発表し、スポーツ仲裁裁判所(CAS)へ上訴。
⑫一連の騒動では罰金総額が1億7000万円を超えたとも報じられている。現時点(2026年7月)ではCASでの審理が続いている状況。
この経緯を覚えておいてね。終了間際に、セネガルは同点の場面で、相手方にPKが与えられたのに抗議して、選手が引っ込んじゃって、そのことで優勝を剥奪されちゃった事件があったということ。
今朝のセネガル×ベルギー戦
試合はセネガルが圧倒的優位で進んだのである。上のアフリカカップでも取り消された得点を挙げたサール、彼は鎌田のクリスタルパレスの同僚で、今年のUEFAカンファレンスリーグでも9得点を挙げ、得点王、MVPに輝き、パレスの優勝に貢献した。絶好調である。
序盤からセネガルが次々、ベルギーゴールに迫る。
今朝の試合でも、前半24分。サールのヘディングシュートがポストで跳ね返ったところをMディアッラがシュート、先制。後半51分にはサール自身が、後方自陣センターバックからの超ロングパスをペナルティエリア外側あたりで前向いたまま胸トラップ、踊るようなステップのままペナルティエリアに侵入しシュート、ゴール。すごいファインゴール。
セネガルが2-0とリード。ロストフの日本みたいに、ベルギーを追い詰めた。
すると、ベルギー監督ガルシアは、なんと攻撃の核、デブライネと一人ドリプル仕掛けで奮闘していた左ウイング、ドクをまとめて下げる。
後半はじめから投入していたルカク巨体にボールをあてて、そこからのシンプルな攻めに切り替えたのである。
日本のロストフのときと同様、後半ここからベルギーの怒涛の反撃が始まり、85分にルカクが右サイドクロスをシュート、ゴール。これで勢いづいたベルギーは、89分、キャプテン、ティーレマンスのゴールでついに同点に追いつき、延長戦突入。
延長戦に入り、セネガルもカウンターを撃ち返すし、ベルギーはルカクを中心に決定機を作る。PK戦の可能性もだんだん濃くなり、そのために主力を下げて、疲れていない選手を増やしていく。
デブライネもマネももうベンチ。という状態で118分を過ぎ119分になるあたり、ベルギー左サイドからゴロの高速クロスをゴール前に出すと、そこにキャプテン、ティーレマンスが走り込む、ボールをクリアしようとしたセネガル・8番カマラの振った足が、ティーレマンスの足を蹴った、ように見える。通り抜けたボールをシュートしたボールはゴールの上を越えて行った。PKでなければ、まだしばらく試合が続いてPK戦へ。もしペナルティ、PKになれば、試合はベルギーのものになる可能性大。
セネガル選手、審判を取り囲み猛抗議。たしかにふつうに―ルにスライディングしたようにも見える。僕なら取らない。肉眼で見ている分には解説者もないかなあ、でもVAR映像を見ると、どうも、蹴っている。
VAR、オンフィールドレビューを主審が行う。延々繰り返し見る。これは主審もつらい。どっちにも取れる。自分の判断で試合が決まる。主審戻ってくる。主審どこの人だろう、英語かな。よく分からないが、PK。
ペナルティスポットのところに両チーム選手集まる。ルカクがボールを抱える。ペナルティスポットのところの小競り合いで、セネガル選手が「肘打ちされた」とうずくまる。ペナルティスポットにボールを置かせまいとようにしばらくうずくまるが、抵抗もそこまで。また没収試合になるのもなあという記憶教訓が蘇がえったのかも。
さっきまでボールを抱えていたルカクは、ボールをキャプテン、ティーレマンスに渡す。今日、後半終了間際に同点ゴールを決め、今もPK獲得した頼れるキャプテン。中盤の選手だが、クラブ、アストンビラでもミドルシュート決めまくるキック力持ち主である。ものすごくリラックスした表情で嗤っているように見える。すっと立つと、特にためたりタイミングを図ったり不自然な助走をせずに、何の力みもなく、自分から見て右側のサイドネットやや高めに、きれいで速いボールを突きさした。こんなに緊張感なく、ぎくしゃく助走も駆け引きも無く、自然で美しいPKキックは見たことがない。
ベルギー、後半半ばまで0-2の劣勢を、ルカク中心の猛攻で終了間際、85分89分の連続得点で追いつき、延長、セネガルにとってはアフリカ・ネーションズカップ決勝を思い出させる終了間際のPK献上、それをキャプテン、ティーレマンスが苦も無く決めて、ベルギー勝利。
なんとなく、日本ベルギー「ロストフの悲劇」も思い出させる、ベルギーの見事な逆転勝利でした。
セネガルも「実質、アフリカチャンピォン」の名に恥じぬ、素晴らしい強さ、実力を示しました。
日本が負けて大会を去っても、毎日毎試合、目の離せない、それぞれの深いドラマに満ちた試合が続いていきます。ワールドカップって、素晴らしい。
