芋出し画像

遞択を間違えたず思っおいた私の、1976幎県立工業高校サバむバル

1976幎、4月、私は県立の工業高校の蚭備工業科に入孊した。

äž­å­Š3幎の時、先生から公立高校の普通科はギリギリのラむンず蚀われた。
家庭の事情で、私孊には行けないので公立を萜ちるわけにはいかなかった。
県立の工業高校には確実に入れるずいうこずだったので、そこを志願したのだった。

蚭備工業科ずいうのは、氎道工事関連の科目になる。
専門科目は、ほずんどが蚭備工業関連だ。
普通科目、教科科目は䞀応あった。
普通科目をやりこなせば倧孊ぞの道がありそうだ。倧孊ぞは、バむトをしおでも通いたい思いがあった。

蚭備工業科以倖には、原動機械科、化孊科、電気科、溶接科、機械科があった。
䞀応、男女共孊なのだが、化孊科に名ほど女生埒がいお、それ以倖すべお男子生埒だった。
専門科目を勉匷する時は、専門科目の実習棟があり、そこぞ移動するこずになる。
たた、実習の時は実習専門の服に着替えなければならなかった。
専門科目を勉匷するこずになるので、クラスメヌトは幎間䞀緒になる。
普段の服装は自由になっおいる。
それでも私は孊生服を着おいった。

今日は、初日だ。
幎生の教宀は普通校舎の階になる。
階段を䞊がっおすぐ右が蚭備工業科の教宀だ。

教宀に入っおびっくりした。
半分くらいが、リヌれント、あるいは、パヌマなのだ。
暎走族か、やくざか、ダンキヌか、ずんでもないずころに来おしたった。
同じ高校生には芋えない。

あらかじめ出垭番号順に曞いおあるリストが枡されおおり、その番号が曞いおある机に座るのだった。
私はちょうど真ん䞭あたりだ。

よかった。
前ず埌ろは、ずりあえず、普通だ。
しかし、巊暪はかなり危ない。
アフロのダンキヌではないか。
なんでこっちに向いお座っおいるのだろう。
芋お芋ぬふりをした。

時間になったので、先生からあいさ぀があった。
『私は、このクラスを受け持぀、䞊野ずいう。数孊を教えおいる。これから幎間よろしく。』
時間目は、それぞれの自己玹介や、孊校の説明で終わった。
次の時間目は英語で、いきなり実力テストをするずいうこずだった。

『英語を担圓する、束田ず蚀いたす。皆さんの実力をみるために実力テストをしたす。緊匵せずやっおください、名前はロヌマ字で曞いおください。』

配られたテスト甚玙を芋るず、むちゃくちゃ簡単な、おそらく䞭孊幎生レベルの䞍定詞や進行圢の問題が曞かれおいた。

実力テストなのだから、基瀎的なずころを芋るのだろう。たずは、いい点を取りたい。

埌日、英語のテストが採点されお戻っおきた。

『名前を呌ぶので、取りに来おください』
『田䞭君』
『はい』
『君、すごいね、点、最高点だったよ』

”おヌ” ずいう声が聞こえた。
簡単な問題だったが、テストでこんなに耒められたこずがなかったので少しうれしかった。
しかし、簡単なはずなのに、1問、間違えおいた。

『お前、かしこいんやな』
巊ずなりのダンキヌが声をかけおきた。
朚島だ。
『今床、テストあったら芋せおな、頌むで』
『え』

『次、江藀君』
『はい』
『君、ロヌマ字の名前、間違えおいたで。
でも曞いおあったので、努力点で点。』

あはは
笑いが起きた。

ダバすぎる。
あの問題が解けず、自分のロヌマ字の名前すら間違えおいる。
よくこの高校ぞ入れたな。

授業が始たった。
英語で、教科曞は冊、それも䞭孊レベルだ。

『はい、埌に続いお・・・ゞ、オヌシャンむズ、フルオブモヌション』
『・・・』
『もう䞀床、ゞ、オヌシャンむズ、フルオブモヌション』
誰も続かない。
ガダガダず私語が倚くなっおきた。
束田先生は、だれも聞いおいなくおもでかい声で普通に授業を進めおいく。

普通科の教科曞や内容など、知る由がなかった。
埌日、普通科に行っおいる友人に聞くず、教科曞はリヌディングや英䜜文、他合わせお䜕冊もあっお、芋せおもらうず難しい単語、文章があふれかえっおいた。
英語ずはたるで違う䞖界だった。
遞択する孊校を間違えたようだ。

䌑み時間
芋た目䌌おいるもの同士で茪を䜜っおいる。
私も䞀぀の茪の䞭に入っおいた。

『お前、すごいな、最高点やん』
『いや、たたたたやわ、たいしたこずないで』
『なんで、こんなずこ来たん他行けたんちゃうん』
『え』
『おれなんか、どこも行かれぞんお蚀われお、ここなら受かるっお蚀われお来たんやで』
『そうなん』

やっおしたった。そんなダバいずころ
しかし、呚りを芋れば想像は぀く。
い぀も遞択肢を間違っおしたう。

『知っおるか
この孊校の北門の前にあるのは譊察の寮やで。東偎には川があっお、西ず南には高いフェンスがあるから逃げられぞん。収容所みたいなもんや。』

それは、面癜く蚀っおるだけだろうけど、的を射おいる感じだ。
倧孊進孊するためにはどうしたらいいのだろう。
こうなったら、英語、瀟䌚、囜語、数孊、理科の時間に、授業を聞きながら内職をするのだ。

授業䞭に単語を芚える、長文読解をする、英䜜文をしおいく。

内職をしおいおも先生は泚意をしない。
なぜならば、授業䞭は、ほずんどの生埒が授業を聞かずに暪を向いたり、埌ろを向いたりしお、しゃべっおいるのだ。
隒がしい。
その䞭で、私の前に座っおいる、同姓の田䞭君、
ちなみにこのクラスには田䞭が人いる。
ややこしいので、クラスメヌトからは名前で呌ばれた。
前の田䞭君は、哲叞だ。
圌はなぜか、ずっず寝おいる。
たたに屁をする。それがむちゃくちゃ臭い。

『くっさヌ、だれや、屁をこいたのは』
倧声で臭いのを蚎えるや぀もいれば、
窓偎の生埒は窓を開ける。
他の孊校では考えられない授業颚景だ。

たたに、担任の䞊野先生が怒る。
『静かにしろ』
生埒たちは䜕ずも思っおいない。
『先生、散髪したん髪の毛がいがんでるで』
この日から、先生のあだ名は、”いがみ” になった。

そんな䞭でも、実習に関しおは、みんなたじめなのだ。
ある実習で、文鎮を䜜るこずになった。
それは、文鎮の真ん䞭に、穎をあけお、ネゞ穎を䜜り、そこに持ち手を぀けお固定する。芁は、ねじを切っおいくずいう䜜業だ。

これがなかなか難しい。
クラスメヌトは、ほずんどが回で出来おいるのだが、私は回倱敗しお回目でやっず成功、文鎮の持ち手は真ん䞭ではなくかなり端に近いずころずなっおしたった。
䞍噚甚すぎる。
私には、䜜業が向いおいないこずがわかった。
勉匷を頑匵らなければいけない。

昌䌑み、食堂で昌食をずる。
昌定食は300円ずリヌズナブルだった。
生埒たちはきちっず䞊んでいるが、かなりの混みようだ。
その時、私の暪から、手が䌞びお、”ふりかけ” を取ったや぀がいた。

『あんた、今、”ふりかけ” 取った』
絊食のおばちゃんが、私の手を掎んだ。
『いや、取っおない、しらん、俺違う』
おばちゃんは手を攟したが、ただ睚んでる。

定食を食べおいるず、
『ほら、やるわ』
ポむず ”ふりかけ” が攟られた。
江藀だ。
『お前か、俺が犯人扱いされたやないか』
『だから、やるわ』
いらんし。
これから江藀には気を付けないず。

攟課埌、クラスの䞭の数人がクラブ掻動をしおいたが、私は孊費皌ぎに新聞倕刊配達のアルバむトをしおいた。
授業が終わったら、倧急ぎで自転車で新聞店に向かうのだ。
雚の日は蟛いが、月32,000円になる。

そこぞ江藀が声をかけおきた。

『もう垰るんか』
『お前、ただ垰らぞんの』
『垰るで』
『カバンは』
『いや、持っおきおないで。い぀もシャヌペンだけやし。』

開いた口が塞がらなかった。

ある日、オヌトバむで通孊しおいる奎がいる、
そんな噂が流れおきた。
石田だ。
芋せおもらった。
ダマハのミニトレだ。カッコいい。
なんず、譊察の寮の自転車眮き堎に眮いおいるんだず。

『石田、そこに眮くのダバくないの』
『そうかな、ダバい』

いやたあ・・・そもそも乗っおきたらダメやん。
䜕も蚀えん。
䞀緒に芋に来おいた森戞が蚀う。

『俺は、ミニトレより、スタむリッシュなが奜きやな。』

森戞は自転車もドロップハンドルで、䜕でもスタむルにこだわる男だ。

䞭間テストになった。
朚島が、テスト始たる前に机の䜍眮を倉えおいる。
朚島の列だけが、劙に私の列に近くなった。

『頌むで、テスト甚玙、巊の方に寄せおや』

ダンキヌからの申し出は断れない。
今日は、ゎケダン、たくさんタックが入った孊生ズボンのこずだが、それを履いおいた。
ツッパった高校生に流行っおいる。
しかし、こうも倧胆にお願いされるずは。

テスト甚玙を巊に寄せた。
私は考えおいるふりをしおいるが、
朚島がカリカリ曞いおいるこずが様子で分かる。
なんず、曞いた解答を埌ろのや぀に芋せおいるではないか。
埌で聞いた話だが、朚島より埌ろはみんな同じ解答だったらしい。
いかんこずだけれど、ちょっず笑えた。
倉な仲間意識。
そこだけ、その列の生埒が同じ答えなのに、先生にはわからんのかな。

テストが終わった埌、江藀が声をかけおきた。

『あかん、党く出来ひんかった。このたたじゃ、赀点の再テストや。』
『いや、簡単やったやろ。教科曞そのたた出ずったで。教科曞芋おみ。』
『教科曞これか』

匕き出しから、取り出した教科曞、ペヌゞをめくるず、ペリペリず新品の音を立おた。

『おたえ、教科曞、初めお開けたんか』
『初めお開けた』

呚りのみんなが倧笑いした。

高校2幎になっお、アルバむト代は、かなり貯たっおきた。
クラスメヌトほずんどがオヌトバむに乗っおいるのだが、私は、石田が乗っおいたようなオヌトバむに憧れおいた。
貧しい環境だからこそ、買えるず思うずよけいに憧れが匷くなっおしたうのだ。
ずうずう、原付免蚱を取っお、ダマハを賌入しおしたった。

䌑日、友達ず䞀緒にオヌトバむに乗るこずは、今たでの人生で䞀番楜しかった。
そんな䞭、クラスでツヌリングぞ行くこずになった。

『みんな、日曜日の朝時に、〇〇駅のロヌタリヌに集合な』

むちゃくちゃ、楜しみだった。

日曜日の朝時に〇〇駅のロヌタリヌに行くずびっくりした。
クラスの連䞭が、特攻服を着お、鉢巻を巻いお、旗を振っおいる。
暎走族ではないか。
やめおくれ。
来るんじゃなかった。
少し考えたら、こうなるかもず、想像できたこずではないか。
たた遞択を間違えたようだ。

そんな時、
『お前ら、䜕しおるんや』
䜓育教垫の柎田だ。

止めおくれるかも・・・
解散しろず蚀っお欲しい。

特攻服を着た西田が、瀌儀正しく挚拶をした。
『先生、おはようございたす。今日はツヌリングなんです。』
先生は、西田の恰奜をじっず芋぀め、
『そうか、みんな、気を付けお行けよ』

これを芋お止めないのかい。

ツヌリング先は、京郜だ。
みんな、こんな栌奜をしおいるが、亀通ルヌルを守っお、ほが制限速床で走っおいる。
意倖だ。
どちらかず蚀えば、私が興奮しお、少しスピヌドを出しおしたい、先頭を走っおいる。
なんか、気持ちいい。
みんなずは少し離れおしたい、信号埅ちでは、私䞀人ずなった。
そこぞ巊右から、オヌトバむが私を挟み蟌んだ。

䞡方から爆音をたおられる。
ブオヌン、ブオヌン
笑い声が聞こえる。

『ヒャッハヌ』

ダバそうな連䞭だ。
こっちにメンチを切っおくるが、私は芋ない。
心音は高くなるが、䞀心に前を芋぀めおいた。

そこぞ、倧倚数のオヌトバむが、さらに囲い蟌んだ。

『おヌい、どうしおん』

みんなが助けおくれた。
囲い蟌んで、音を鳎らしおいる。

ブオヌン、ブオヌン、ボボボ

挟み蟌んだ2台は小さくなっおいた。
爜快で、愉快だった。
みんなに感謝だ。


クラスメヌトでは、特に3人ず仲良くなった。
シャヌペンしか持っおこない江藀。
屁が臭い哲叞。
スタむルにこだわる森戞。

『森戞、おたえ、䜕でこの孊校遞んだん』
『図面描くのが奜きやねん。将来は、図面を描く』

図面の授業もあるのだ。
森戞はうたい。
私は埗意ではなかった。

『哲叞はどうなん』
『おれ䜕になりたいか考えおないけど、家建おたいかな』
『䜏宅建築か、それもええな』
圌は䞭孊の時、陞䞊遞手でファンも぀いおいた男前なのだ。
やめた理由は、しんどいし、めんどくさいからだず。
それで授業䞭寝おるのか。

『江藀はどうするん』
『俺は、車が奜きやから、敎備士になる。』
『それやったら、䜕で原動機械科に入らんかったん』
『そこは難しいっお。蚭備工業科なら入れるず蚀われおん。』

なっ、なに
蚭備工業科っお䞀番レベル䜎いんかい。
知らんかったヌ。
䞭孊の先生の顔が浮かんだ。
絶察に受かるずころを掚したのか・・・

しかし、みんな、卒業埌のこず、ちゃんず考えおいた。
私は、ずにかく倧孊進孊したいこずしか考えおいなかった。
勉匷しお、かしこい倧人になりたい。

倧孊受隓に向けお、授業䞭の内職を続けた。
英語も日本史も叀文も、誰に教わるわけでもなく独孊だった。

ただ、孊校の授業もおざなりにはできない。
専門科目も割合難しいのだ。

幎の埌半になるず、先生も生埒の就職先を決めるのに忙しくなる。
江藀は倧手の自動車販売䌚瀟の敎備士に内定した。
哲叞は、䜏み蟌みになるが、䜏宅建蚭の䌚瀟に決たった。
森戞は、図面の専門孊校ぞ進孊するらしい。

ある日、先生に呌ばれた。
『田䞭、お前はどうする぀もりなんだ』
『はい、私は、倧孊受隓する぀もりです。』
『悪いこずは蚀わん。就職先探せ。この孊校からは無理や。』
『はい、難しいこずは重々承知です。でも浪人しおでも倧孊ぞ進みたいです。』
『せっかく、この孊校で専門分野を孊んだのに、それを無駄にするのか』
『無駄ではなかったです。他では経隓できないこずをさせおいただきたした。』
『たあ、匷制はできないから、奜きにするがいい。たあ、頑匵りなさい。』
『はい、頑匵りたす。』


自分の䞭では、おそらく無理だず分かっおいた。
倧孊は、独孊で、たしおや珟圹で簡単に入れるような甘いものではないのだ。
孊力詊隓を個人で受けおいたけれども、到底、合栌圏内には届かない状況だった。
これから幎間、バむトをしながら、独孊で勉匷する芚悟だ。
普通科に行った䞭孊時代の友達は、ほが党員珟圹合栌しおいた。

䞭孊の時、遞択を間違えたかな。
かなり、遠回りをしおしたったな。

でも、県立工業高校ぞ進孊したのは、埌悔しおいない。
普通科の高校ぞ行くよりも、はるかに濃い幎間だった。
䞀生付き合える友人もできた。
あずは、自分で頑匵るだけだ。


翌幎、第䞀志望ではなかったが、自分の力で倧孊ぞ進孊するこずができた。
県立工業高校ぞの進孊は遠回りだったのかもしれない。

それでも、決しお無駄ではなかった。
あの幎間があったからこそ、
私は、自分の人生は自分で切り拓くしかないのだず知った。

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