【切り抜きどうだ?】アマノ文筆クラブ〜夫婦の揉め事解決します〜
こちらの企画に参加させていただきます。よろしくお願いします🙇
短編小説
「切り抜きどうだ?」〜夫婦の揉め事解決します〜
ある日、妻と二人で買い物の帰り道に商店街の隅っこで気になる看板を見つけた。
〜切り抜きどうだ?〜
「ん、なんだ?」
「何かしら?」
ガラス張りの明るい店だったので覗いてみることにした。
「いらっしゃいませ」
「表の看板を見たんだけど、何の店ですか?」
「あなたの切り抜き動画を作ります」
「ん?よくわからないなぁ」
「それでは1分間の切り抜き動画を無料でお作りしますので試してみませんか?」
「え、じゃあお願いします」
「ではお二人ともそちらの椅子にお座りください」
「なんかセンサーがいっぱいついてるけど大丈夫?」
「もちろん大丈夫です」
僕と妻は恐る恐る言われた通り、センサーがたくさんついた椅子に座った
「お座りになられましたね」
「ご夫婦でよろしかったですね。なにか些細な揉め事とかありませんか?」
「あるわよ。クーラーの設定温度が全然合わないの」
「主人は暑がりだからすぐ設定温度下げたがるんだけど、私はそれでは寒くて眠れないの」
「布団を着ればいいじゃん、俺は素っ裸では無理でしょ」
「よくある話ですね。切り抜き動画で解決できますよ。ではその問題に絞って切り抜き動画を作成しますね」
店員は、自分の机のパソコンのキーをカチャカチャと叩いた
「少しお待ち下さい」
椅子についていたセンサーが静かに動きだした。30秒ほどすると
「はい、できました。それでは再生いたしますので、前のモニターをご覧ください。まずはご主人の切り抜き動画からです」
画面には2人の寝室が写っている。僕と妻が並んで眠っていた。
やがて、僕が目を覚ました。少し体に汗をかいている。
次にクーラーのリモコンが大写しになった。設定温度は25度。
僕が設定温度を下げるのかと思いきや、妻の着ているタオルケットを掛け直して、設定温度を1度上げた。そしてあくびをすると、そのまま、また眠りについた。
次の場面は、僕が電気屋さんに行っているところだった
「うちのクーラーは古いんで、冷えすぎるんですよね、もっと優しく冷えるのはありませんか」
次の場面は、僕が本屋で冷え性について調べているところだった。
そして、その次の場面は、新しいタオルケットを探している場面。
それで僕の切り抜き動画が終わった。
じっと黙って見ていた妻は。
「あなた、ありがとう」
と言って微笑んだ
「次は奥様の切り抜き動画です」
もう一度寝室の場面が映った
今度は妻が目を覚ました。大映しになったクーラーのリモコンの温度設定は26度。妻はタオルで僕の額の汗を拭いて、リモコンの設定温度を1度下げた。そしてタオルケットを着て、また眠りについた。
次の場面は、妻が男性用の新しい夏用パジャマを選んでいる場面、そしてその次は、涼しい敷パッドを探している場面だった。それで切り抜き動画は終わった。
「切り抜き動画はどうでしたか?」
「なるほど、そういうことね。ありがとう」
「帰ろっか?」
「ええ帰りましょう」
「またいつでもご利用下さいませ、会員割引もございますので」
了
甘野充さん、マガジンに収録していただきありがとうございます😊
記事にて紹介していただきありがとうございます😊
