【感想文】ドラマ『最愛』2つの川
2021年TBS系で放送された金曜ドラマ。
先日、一挙放送を観終わってだいぶ経つけど、ふとした時に印象的な場面をよく思い出している。
梨央と大揮がぶつかって、大揮のシャツが梨央の食べていたスイーツで汚れたり、
公園の芝生で本を読んでた加瀨が梨央からのメールをみて「やるじゃん」と呟いたり、好きな場面は色々。
なぜ印象深くなるのか、思いつくことを書いてみる。(細かい設定や考察には触れない)
ヒロインの鮮烈な姿
第1話の冒頭で、主演の吉高由里子演じるヒロイン『梨央』がパトカーに乗り込む場面がある。
この時のファム・ファタール的な姿が印象的で「なるほど、この人の周りで不穏な事件が起きるのか」と予想していた。
でも話が進むうちに、梨央が悪女なのか、そうでないのか。仮説と反証が繰り返される。これは冒頭の強烈なシーンがないと生まれない効果だと思う。
で、典型的悪女ではなくてもやっぱりなんやかんや梨央を追い続ける、集まっていく流れというのがあって、ただのラブストーリーやサスペンスでは終わってない。逆にただのラブストーリーって何って話だが。
2つの川が常に流れている
梨央の芯の強さが、事件の理不尽とぶつかり合って渦を生み出し、周囲の人々が巻き込まれていく。そうやってヒューマンドラマとサスペンスの2つの川が絡み合う構造。
サスペンスは、事件はもちろん重要だけど、ヒューマンドラマ側の厚みがあるから見応えを感じるのかなと思った。
全てを書かない
核心を書かない、答えを置かない、決着をつけない。あえてぼかしたところが要所要所にある。
特に度肝を抜かれるのが『最愛』という言葉が終始出てこないこと。だから『最愛』という言葉がどこにあたるのか、観る人は常に探し続けることになる。
実際に何か書こうとすると、全て書くのが正解じゃないのは分かる。でも、書かなかったら書かなかったで分かりにくくないか不安になる。
最終的に、後でわざわざ補完したような蛇足も感じることがなかった。当たり前にやられてることかもしれないけど、そういうのがプロだなと思う。
価値を最大化するサウンド
私が特に好きな場面は、梨央が折り合いの悪い兄に立ち向かうところ。
横山克さん作曲『Saiai』の旋律が、梨央の芯の強さをより引き立てている。
楽曲を聞く度にこの場面を思い出す(還っていく)ので、全体的なテーマ?が色々詰まった場面なんだと思っている。
音楽・脚本・ビジュアルが調和した瞬間って、写真を撮らなくても頭に焼きつく。
ドラマは全部観終わったけど、サントラを聞くのもあって反芻が止まらない。
「そういえばこれも良かった」と、また思い出すかも…
