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産業カウンセラー養成講座後半/沈黙の中にこそ、真実が宿る(第6回)

私が欲しかったのは、そんな小手先のテクニックではなかったはずだ


【鎧を脱ぐ勇気、さらけ出す恐怖】

養成講座もいよいよ終盤。
だが、私の心はかつてないほどに乾ききっていた。

「傾聴」とは何か。
学べば学ぶほど、その深淵に足がすくむ。
いや、足がすくむどころか、泥沼に首まで浸かっているような感覚だ。

少し前までは夜な夜な、自分が作成した逐語記録と向き合っていた。
真っ黒な文字たちが、冷徹に私を責め立ててくる。
「ここで伝え返しができていない」
「この質問は明らかな誘導だ」
「なぜもっと、あの沈黙を待てなかったのか?」

机上の空論なら、いくらでも言える。
試験対策の参考書を開けば、そこには整った「正解」が並んでいる。
だが、目の前の「生身の人間」と対峙した瞬間、それらの知識は砂のように指の間からこぼれ落ちていく。

私はエリートじゃない。 ただの、傷だらけで復職したばかりの会社員だ。 それなのに、どこかで「カウンセラーらしく」振る舞おうとしていた。
立派な技法という名の鎧をガチガチに着込み、相手の心に触れるのを、そして自分の心に触れられるのを、死ぬほど恐れていた。

全般性不安障害とうつ病を抱えたまま、この場に立っている。
「まだ治りきっていない自分」
「パニックの予感に震える自分」
そんな不完全な自分をさらけ出すくらいなら、技法の教科書を盾にして、冷たい鉄仮面を被っている方がよほど楽だった。

だが、そんな「偽りの関わり」で、誰の心が動くというのか。
私が欲しかったのは、そんな小手先のテクニックではなかったはずだ。


【沈黙の中にこそ、真実が宿る】

産業カウンセラー、公認心理師、キャリアコンサルタント。 あるいは精神保健福祉士、社会福祉士、ケアマネジャー、コーチング……。 対人支援の資格を目指し、今この瞬間も「正解」を求めてもがいている同志の皆さん。

私たちは、つい「何か良いことを言わなければ」と焦ってしまいます。
「相談者を正しい方向に導かなければ」という義務感に、押しつぶされそうになります。

しかし、養成講座の後半で私が痛感したのは、技法を華麗に操ることの凄さではありませんでした。
それは、自分の「無力さ」を認め、ただそこに「居続ける」ことの圧倒的な難しさと、その先にある強さです。
受講生が最も恐れる「沈黙」。
それは、会話の失敗ではありません。
むしろ、お互いの魂が、言葉にならない重みを分かち合おうとしている「共鳴の時間」なのです。

無理に解決しようとしなくていい。
立派なアドバイスで、相手を変えようとしなくていい。
ただ、一人の人間として、相手の隣に座り続けること。
それが、私たちが絶望の淵に架けられる、最初の「橋」になるのです。


【わいじ流・心の整え方】

試験直前期のプレッシャーや、実技への不安で心が折れそうな時。 私が実際に泥をすすりながら身につけた「再起の技術」を共有します。

  • 「できない自分」をロールプレイのネタにする
    実技で失敗し、指導者に指摘された日は最高のリサーチ日です。
    その「情けなさ」を言語化してください。
    その痛みを知っているあなただからこそ、将来、同じ痛みを持つ相談者の「真の理解者」になれるのです。

  • 「今、ここ」の呼吸に立ち返る
    パニック障害の気配や、過度な緊張が襲ってきたら、唱えてください。「今、ここ」。
    過去の失敗も未来の合否も、一旦脇に置く。
    この瞬間の「自分の呼吸」だけに集中する練習が、本番の集中力を支える基本の型になります。

  • 完璧主義という「下級戦士の敵」を捨てる
    エリートなら満点を目指せばいい。
    しかし下級戦士は、泥まみれの合格で十分です。
    一発合格の秘訣は、完璧なカウンセリングをすることではなく、不完全な自分を受け入れ、相手に心を開く「勇気」を持つことにありました。


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