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nasigorendayo
もし「エレベーターの閉まるボタン」が本当に仕事していたら
もし「エレベーターの閉まるボタン」が本当に仕事していたら——
人類は、
もう少しせっかちになっていたかもしれない。
エレベーターに乗る。
乗った瞬間。
閉まるボタンを連打。
1回。
2回。
3回。
10回。
押す。
押しまくる。
でも、
閉まる速さは、
ほとんど変わらない。
なのに押す。
なぜだ。
もはや儀式である。
そして扉が閉まりかけた瞬間。
「あ、すみません!」
遠くから走ってくる人。
すると誰かが開くボタンを押す。
優しい。
とても優しい。
でも心の中では、
「ギリギリだったな…。」
と思っている。
さらにその人が乗ってくる。
「すみません。」
「ありがとうございます。」
ここまではいい。
しかし、
その人が降りるのは、
次の階。
一階だけかい。
思わず心の中でツッコミを入れる。
そして目的の階に着く。
降りる。
振り返ると、
次に乗る人がもう閉まるボタンを連打している。
早い。
さっきまで自分がやっていたことを、
今度は別の誰かがやっている。
もし「閉まるボタン」が本当に仕事していたら——
きっと世界は、
数秒ずつ効率が上がる。
でも、
その数秒で乗れなかった誰かがいるかもしれない。
そう思うと、
エレベーターって、
意外と人生に似ている。
急ぐ日もあれば、
少し待ってもいい日もある。
なお、
閉まるボタンを連打したあと、
「あ、開けてください!」
と自分が走る側になるのは、
全人類が一度は経験する黒歴史なのである。
