「這いずる…」
暑い夏の日
駐車場の自分の車へ向かう
暑い
遠くに見える自分の車
周辺の景色が
陽炎のように歪む
車に近づき
ふと
タイヤの前に
手のひらよりは…少し小さい
枯れ葉が落ちていた
なんとなーく
このまま車を走らせて
踏みつけるのは嫌な気がして
拾って退かそうと
手を伸ば…いや?
今は真夏だぞ?
枯れ葉なんて落ちてるのか?
そう思い
枯れ葉に触れる
寸前で手を止めた…
次の瞬間
風も無いのに
枯れ葉がバタバタと動く
そして
暑い
焼けたアスファルトを
這いずるように動いた…
俺は
手を引っ込め…
そいつの正体に気がついた…
枯れ葉のような…
でかい…蛾…
相変わらず
日差しは暑いし
アスファルトは焼け
遠くの景色は熱でゆらゆらと歪み
掴んだ車のドアハンドルも暑い…
這いずる蛾…
コイツは
今
ゆっくり焼かれているんだろうか?
少しだけ
寒気がした…
そんな
暑い日の出来事…
おわり
