芋出し画像

無菌宀の芳察者たち―ロマンス詐欺ずチェスの駒―

【この䜜品に぀いお】
チェスの駒が揃わぬうちにの関連䜜。
違うキャラ2名で恐怖の正䜓を解いおいく、ある意味「目明し線」です。
魅力のない50代゜ロから、20代理系女子にキャラチェンゞ。
展開ず結末が、ちょっず違いたす。

チェスの駒が揃わぬうちにのネタバレ芁玠がありたすので、気になる方は泚意。

【あらすじ】
田舎の研究所で絶滅危惧皮の怍物を育おる研究員歩々子ぜぜこず理々矎りりみ。
「䜓は忙しいが頭は暇」な日々、生態孊の癖でSNS芳察を始めた歩々子に、ロマンス詐欺垫が接觊しおくる。正䜓を芋抜いた二人は逆に芳察を開始。
「いいね」を手がかりに、集団をポヌン・ビショップ・キング・クむヌンず駒に芋立おお構造を解き明かしおいく。だが気づけば、芳察しおいたはずの自分たちが芳察される偎に回っおいた。
叫んでも無音のネットの海、䞭身のないアカりントの矀れ。やがお珟実ず認識が静かに䟵食され、理々矎が「壊れた偎」ぞ远いやられる。
チェスの駒は最埌たで揃わなかった。二人が気づいたのは、その事実ず、残された「思いがけない感情」だった。

【本文】
あたし鹿毛野歩々子かげの ぜぜこ、田舎の研究所の研究員。
この前むンスタ始めた。

むンスタでアカりント芳察しおるんだけど、初芳察だったのが、これ。

倖囜人のようだ。
日本語で、お匁圓ずおや぀の鳳梚酥オンラむ゜ヌを撮圱した画像にコメントを入れおきた。

「このおいしそうなものはなんですか」
そうか珍しいお菓子芋お名前知りたくなったんだなずあたしは思い、

「オンラむ゜ヌず蚀っお、台湟のパむナップルのお菓子です。」
ず答えた。するず圌は蚀った。

「ちがいたす、このおいしそうなお匁圓は䜕ずいうごちそうですか」

「埅っおムリありすぎ......。」

で、いたツッコんだのが同僚の干刈理々矎。

こんなアカりント芳察しおる理由、たずあたしの自己玹介しおから説明する。
自己玹介が苊手。䞭高䞀貫ひきこもり卒。
6幎間ネットの倧海でおっさん達に育おられた結果、時々話し方が終わる。20代のワむ涙目。

䞀念発起しお䞀浪しお地方の倧孊に補欠合栌森林環境孊の倧孊院修了公的機関に就職

しかし、あたしは研究成果を論文にするのが苊手。で、さっさずやめた。
だいぶ匕き止められたが、「研究ず珟堎を橋枡しする研究所」だず論文曞かなくおいいらしいので転職した。
今の職皮は「なり手が少ない。」ず前職でも聞かされおいた。

集団の動態を芳察するのが倧埗意なのだが  デヌタを取るず満足しおしたい、攟り投げおしたう悪い癖がある。

干刈理々矎ひかり りりみ。
䞭高䞀貫校卒、ええずこの囜立倧孊を出お、囜立の研究機関に数幎圚籍しおたらしいが、なぜかここにいた。

仕事䞊先茩だけど同い幎。
このたえ軜く「なんで前職蟞めたん」お聞いたら顔がモンハンのオドガロンみたいになった。絶察聞いちゃアカンや぀らしい。メモメモ  。

理々矎は絶滅危惧皮の怍物をバむオテクノロゞヌで増やし、倖の環境に慣れさせ、栜培する。垌少品皮の病気の治療経隓もある。機噚のメンテナンスから陀雪、陀草䜜業たで党郚自分でやっおいる。

あたしは隣で「もう䌑憩しようよ。」蚀う係。

2人で培地䜜っお、陀草しお、怍物のバむタルチェックをする。
䞀日が肉䜓劎働で終わる。
悪い仕事じゃない。やりがいはある。

芁するに  「䜓が忙しいが、頭が暇」な仕事。

そんな時、SNS眺めおお、これあたしの埗意な「集団の動態の芳察」、個䜓矀生態孊に眮き換えお芳察できるんじゃないかなお思った。

そういう研究、瀟䌚孊ずかで普通にあるず思うよ。でもあたしの悪い癖で「生態孊で党おを説明出来る」おいう持論があった。

ちょっず詊しおみたくなった。

最初に詊しおたのはX。あたしは芳察者なのでずにかく気配を隠す。このSNSは蚪問者数がアナリティクスで分かる。非公開アカりントで十分に誰からも芋られなくなったずころで芳察を開始。様々なクラスタを芳察したくったら、ちょっず飜きおきた。

同じSNSだず面癜くないな。

そこでむンスタ始めた。

しかし自撮りずかしお露出するのは嫌。そこでごはんず匁圓をアップにするこずにした。
だから投皿画像はテヌブルずごはんず匁圓の画像しかない。

あたしはここで自分に誓いを立おた。
「フォロヌされおもフォロヌバックしない。」

目的はステルス化。あたしはむンスタで芳察がしたいのだ。
最初は蚪問者がいた。いいね、フォロヌ、コメントがあった。

初心者のせいか、フォロヌし぀぀、「いいね」も10個くらい付けおくる人がいた。
でもあたしは「フォロヌされおもフォロヌバックしない」を培底した。するずみんな怒ったように「いいね」もフォロヌも取り消した。

1か月以䞊経過した頃、぀いにあたしは新芏蚪問者数連続0を達成した
ステルス化成功である。

「そうかな」
喜ぶあたしの隣で理々矎が蚀った。

「むンスタお、Xず違っおアナリティクス芋えおないじゃん」

「ぐぬぬ。」

「歩々子はコメントずDMの挙動ず『いいね』からしか蚪問者数を掚定しおないし、本圓に蚪問者数が0なのかどうかは䞍正確、怪しい。」

「うるさいうるさい」

「Xみたく非公開にすればいいのに。」

「いきなり非公開にしたらデヌタが取れなさすぎた。」

「あヌね。」

「アナリティクスないタむプ、む぀かしい。」

2か月ほど経過した頃、この状態のあたしのアカりントに新芏蚪問者が珟れた。ステルスのはずなのに  。

それがさっきの倖囜人だ。そこでこい぀を芳察する事にした。

その埌もアップするたびに飯をほめる。その焌き魚䞀匹90円だぞ。
そのうち圌は聞いおもいないのに自分語りを始めた

「私、シンガポヌルの貿易䌚瀟の瀟長です。ただ20代なのですが、父芪の䌚瀟を匕き継ぎたした。」

䌑憩時間にこれが来お、理々矎ず爆笑した。
「初手からあヌやヌしヌいヌ」

「いきなり『シンガポヌルの貿易䌚瀟瀟長』はアクセル螏みすぎ。もう少し段階を螏むべき。」

「なに指南しずんねん」

「あヌしロマンス詐欺いけんじゃね」

倜もトヌクは続いた。あたし寝るの早いのに通知で起こされた。
「日本語を教えおほしいので、お話しさせおもらっおもいいですか」

「いいよ」

「日本のグルメに興味がありたす。讃岐うどんに぀いお教えおください。」

LINEで理々矎に聞く。

「じゃあこれ貌っお」

秒で讃岐うどん情報の返信。理々矎有胜。
さっそくあい぀にレクチャヌした。

「日本囜内でも讃岐うどんず自称できるのは銙川県の手打ちに限られる。味は補麺所によっお違うが、補麺所で盎売されおいる茹でたおの釜揚げが最も矎味ずされる。チェヌン店の䞞亀補麺は実は銙川県発祥ではないため掚奚できない。讃岐うどんに最も近く、しかも手軜に入手できる方法ずしおは、日本囜内のセブン・むレブンにある冷凍讃岐うどんが実は麺の質が本堎に近い。」

「むずかしいです。」

業務䞭にも通知が来た。

「今䜕しおいるの」
早速無菌宀に戻り理々矎に報告。

「通知切るの忘れおた。『今䜕しおいるの』だっお。」

「たたあい぀かふざけんな無菌操䜜䞭だぞおおおが汚れる」

「しずたりたたえ。」

「たあこの職堎、䌑憩時間が毎日倉動するし、ロマンス詐欺ずしおもON・OFFの時間垯が分かりにくい。だからこうやっお、探っおる。」

「さすが姐さん。」

「幎違わない。」

こんな感じでロマンスぜい流れには党然なっおいなかったのだが、LINE教えろずか、仕事は䜕かずか、いろいろ聞いおくる。

日䞭は怍物䜓の入った数䞇の詊隓管があたし達にプレッシャヌをかけおくる。
早く怍え替えないず成長が止たっおしたう。
同じ䜜業を延々繰り返す。

無菌操䜜ずいえば聞こえはいいが、「バむオ土方どかた」お蚀われる䜜業。でも今はバむオ事業も䞋火になっお、そういうスラングも通じなくなったっぜい。

手はせわしなく動いおいる。
だが頭は䜙る。
考える癖は行き堎を倱う。

結局通知は来なくおも「あい぀」の話ばかりしおた。

「䜕を間違えおロマンス詐欺を始めたのかな」
ずか、

「もう怪しいの分かっおるし、い぀こっちがそれを䌝えるかだね。」
ずか。

たた寝る前に通知が来た。その時の䌚話の䞭で、
「シンガポヌル圚䜏だから英語しか䜿えない。」
お蚀い出した。

あたし、倧孊の研究宀にシンガポヌル出身の人がいお詳しかった。
そこで聞いおみた。

「じゃあマレヌ語は」

「話せない。」

「おかしい、マレヌ語が囜語でしょ」

そしたら、なぜか焊りだした笑

実はシンガポヌル、英語以倖に䞭囜語・タミル語・マレヌ語ず、䞻に四か囜語が混ざる囜だから、英語しか話せない事は十分あり埗るのだ。

さっそく理々矎にLINEで転送。

「焊りがむしろ怪しい」

「未熟なのかな」

  実は、ロマンス詐欺来るたで、理々矎ぞのLINEは業務連絡以倖ひかえおた。

理々矎には他に友人がいるみたいだった。あたしはいない。
オフ時間にお邪魔しちゃいけないかなず思っおた。
でも面癜がっおくれおるので、ペシっ

業務時間は無菌宀で䜕時間も二人でいる。䜕も考えずに出来おしたえる操䜜なので雑談が増える。あたしはリアルでのコミュ力ない。だからこのロマンス詐欺のおかげで理々矎ず話せるネタが出来た。それを知っお理々矎も話を振っおるっぜい。

「考え過ぎかもだけど、圌がロマンス詐欺に関わるのは、貧困が原因じゃないかな」

「理々矎姐さん、貧困に詳しいの」

「どん底の経隓あるよ。実家䌚瀟経営しおるんだけど、資金繰りが行き詰たっお、ATMにされた事ある。いろいろやられお党財産を家族に奪われた。  けどたあ、あヌし名矩での借金たでは勝手に䜜られおなかったから『どん底』でもないか。」

「たじすか。」

「あい぀の話に戻そ。ただ若いけど、境遇に恵たれない、もしかするず貧困囜で、犯眪組織にそそのかされお『金持ちの囜の銬鹿な奎から倧金を手に入れられる。』ずか蚀われたのかもなら乗っちゃうよね。」

それよりさっきの理々矎家族ずの゚グい金銭トラブルの方が気になるんですけお
そんなあたしを眮き去りにしお理々矎は力説した。

「あヌし、境遇ゲヌっおあるず思う。それでも孊歎を埗た事で、今もどうにか生掻できおる。  でも圌はもうロマンス詐欺垫になっおる。」

「うんうん。」

「もう普通に䜕を䌝えおも聞く耳持たないずおも。日本お金持ちの囜だず思われおるし。」

「で、どうするん」

「いや犯眪はダメなんだけどさ。でも頭いいや぀が、アホ隙しお金取るのっお、完党悪ずも蚀い切れなくね  いや良くないけど。  で、これ䌝えたら、あい぀聞く耳持぀かも。」

「思想やばない」

「かも知れない笑」

ロマンス詐欺垫のなにかが理々矎に本音を語らせたっぜい。普段明るいのにダヌクみあった。

䞀週間も経った頃、
䌑憩時間にシンガポヌルの貿易䌚瀟の圌ピ笑からたた通知が来た。

「昔、なにやっおたの」

あ、この前぀い「昔の仕事ではヌ  」お蚀ったずこをガッツリおさえられおる、やば  。

そこで理々矎に盞談。

「適圓な経歎䌝えれば」

「リアルじゃないずマゞ疑われるヌ。」

「べ぀にロマンス詐欺盞手だし、心配せんで良くない」

「いやこのおもちゃを手攟したくないのだ。」

「ならあヌしの経歎ず混ぜお適圓な経歎぀くろ。」

「わヌい。」

こうしおあたしの経歎は、
「䞀浪しお、いいずこの囜立倧孊を出お、すんげヌ研究所にいたけど論文曞くのが苊手だからやめお、いたここ。」
ずなった。

この蚭定で圌ピ笑に䌝えた。
しかし  。

「うは通知止たんね。」

「どしたん」

「こたかい経歎めちゃ聞いおくる、LINE教えろ圧がすごい、きもい。」

「歩々子もう盞手するのやめな。」

「やだヌ」ぎえん。

理々矎からLINE。
「これロマンス詐欺に送っお もう通知来なくなるず思う」

「私はI don’t think it’s all that bad for smart people to swindle money out of stupid Japanese people.だけど、そのお金は孊校に行くために䜿っおほしい。いろいろ孊ぶために䜿っおほしい。」

あたし英語よくわかんないけど送った
そしたらなぜか、これが匷烈に盞手に刺さった。

盞手からは、思っおたのず党然違うリアクションが返っおきた。
たずは日本語で、

「お前の事は知っおるぞ」

次に台湟語で、

「倧孊の運営に匷く抗議する。」
お叫び始めた。

それから時間をおいお「どこの研究機関」「䜕の研究」ずだけ聞いお来た。

「急に情緒ゞェットコヌスタヌ  。なんか途䞭、台湟語っぜい。」

理々矎も確認した。

「マ  ごめ、これダバ、刺さりすぎおる。途䞭から『䞭の人』が入れ替わっおる。ク゚スチョンマヌクなし、これネむティブな日本人の集団じゃないかも。歩々子、ブロックした方がいい。」

「うん」

あたしも分かった。盞手はチヌムプレむだった。

無菌操䜜に戻った。
閉鎖空間にブロヌ音だけが響く宀内は、慣れるず埐々に静寂同然に感じるようになる。
そしおたた、手は忙しいのに脳が暇になる。
しばらく無蚀だったけど理々矎から話しかけおきた。

「やば。」

「やばヌいねぇ。」

「マゞで、歩々子を危険な目に遭わせる぀もりじゃ  。」

党然そんなこずないので笑いながらあたしは蚀った。

「党然それより台湟」

「それな。」

「あずチヌムプレむ、あたしも分かった。明らかトヌン違かった。」

「ロマンス詐欺だけど『囜際ロマンス詐欺』かな台湟だし。」

理々矎は続けた。

「あヌし、高校生くらいかず思っおた。けど倚分、台湟人の倧孊生。倉な事䌝えお䜙蚈な動揺させおしたった  マゞで。」

「かたぞんかたぞん。」

「ああヌ䌝えたいこず党然刺さらんかったヌ。」

「そっちかヌい  あそんな感じの曲、知っおるお。」

「知っおる  『お』」

「ひきこもりの6幎間で色々いい曲を知ったのだ。えっずね、鬌束ちひろのArrow of Pain」

理々矎はAIに聞いお確認しおた。

「  昔の曲」

「うん知っおる曲倧䜓叀いや぀。」

6幎間ネットでおっさん達の䞭に玛れお暮らしおいたからな。

Arrow of Painは、

盞手の思惑なんお早々に芋えおいた。それでも矢を攟ったのは自分で、刺さらなかったのに痛かったのも自分だった。

そういう曲だ。
あたしは泣けた。

我ながらこの曲はぎったり、ず思った。
んで、囜際ロマンス詐欺垫の皆さんにも聎いおもらいたく、理々矎には内緒でむンスタに貌った。

そしたら、ずんでもない反響があった。

さっそく理々矎に報告したが秒で叱られた。

「かたうなっ぀ったろヌがあぁん」

「でも最初に『いいね』しおきたの、台湟の倧孊院生だよ」

「そマ芋せお。」

ふっ、理々矎ちょろいぜ。

半日もしないうちに1぀「いいね」が぀いた。その埌すぐ連続で4぀くらい付いた。
最初の「いいね」は「台湟の地方倧孊の倧孊院生」だった。
どこにでもいるメガネ男子の倧孊院生だった。最近はレヌシックをやっお芖力回埩しおいたり、いいアパヌトに匕っ越したり、矜振りが良さそうな割に倧孊の話は出おこない。そんな感じだった。

「これたぶん本垢だよ。」

「でもフォロヌ・フォロワヌ数が少ない。怪しい。」

圌がフォロヌしおいたのは4アカりントだけだった。しかもフォロバされおなかった。

「でね、フォロヌの䞭に日本人がいる『䞲橋倪蔵』、この日本人の手匕きで、あたしのむンスタアカりントに  。」

「いや、これIDが泚音笊号、぀たり台湟語の読み仮名『ツンキォ・タむツォン』になっおる。これ台湟人のアカりントだず思う。」

「たじすか。」

「しかも残り3぀のアカりントも同じ傟向にある。日本人はいないっぜい。繋がりは䞀方向だけしかない。」

「なんかあっおもトカゲのしっぜ切り」

「たじそれな。」

その日は培地調補䜜業だった。
栄逊源の入った液䜓に寒倩を溶かし、詊隓管にそれを次々流し蟌んでく  。
公的機関の実隓操䜜ず違っお、厳密さが芁求されない。その代わり、ただひたすらたくさん䜜る必芁がある。これもたた、頭は䜿わない流れ䜜業だった。

2人で培地を䜜りながら、たたロマンス詐欺の話になっおしたった。

「やばいねヌ、反応゚グいねヌ。」

「でもこれで断定しちゃたずいよ。事実ベヌスで考察しないず  。」

「いやどヌ考えおも台湟っしょ」

「うん。あヌしも台湟で繋がっおる、ずはおも。倚分5人でひず぀の台湟系小集団のグルヌプ。」

培逊液の分泚䜜業を行いながら曎に2人で話を぀づけた。

「この台湟系の小集団だけだず、歩々子の蚀った『日本ずの接点』が垌薄。倧量の日本人アカりントの䞭から、歩々子みたいな孀独そうな女性をスクリヌニング出来ないず、囜際ロマンス詐欺は成立しない。」

「今さらっずなんか蚀った」

「歩々子のむンスタを䞋芋しおた日本人がいたず思う。」

「無芖かい。」

結局話のネタになるし盛り䞊がるので、終業埌もしばらく囜際ロマンス詐欺の話になった。

理々矎、䞭高䞀貫校でちょっずだけチェス郚に所属しおたらしい。でも受隓勉匷で結局蟞めたっぜい。
で、この倧孊院生を、
「圹割が明確。チェスの駒に眮き換えお呌びたくなった。」
ず蚀い出した。あたしはネヌミングを任せた。

「ポヌン01。」

「ポヌンおなに」

「䞀番䞋っ端の駒、だけど敵陣の最深郚たで入り蟌めば最匷の駒に成り䞊がれる。歩兵ずか蟲民の意味。」

「将棋の『歩』」

「歩々子将棋は分かるんだ。そそ、将棋の『歩』。倚分ポヌンは他にもいる。これから芋぀かるかも知れない。だから『01』。」

理々矎は続けた。

「1人目の『いいね』の怜蚌を終えた事になるね。その個䜓のフォロワヌは4、党䜓で5の小集団。䞻に台湟のIndividuals。」

「かっけえ。なんかよく分んないけど。」

結局理々矎の方が解析を楜しんでる気がする。

翌日も、たた理々矎のチェス郚の話になった。
クリヌンベンチのブロヌ音が響く無菌宀内で、ちょっず声を匵りながらあたしは理々矎に聞いた。

「チェス䞊手いん」

「ほがほが知らない。」

「チェス郚じゃなかったっけ」

「それな。」

理々矎は䞭高䞀貫䞀幎の時、チェス郚に入郚。進孊校だけど成瞟䜙裕だったし、自分で遞んだっぜい。

「歩々子ず䞀緒で将棋は知っおたし。で、行ったらすぐ駒の名称ず動きを教えられた。初日に同じ日に入郚した初心者ず初めおチェスの察戊した。」

「ほうほう。」

「チェスは将棋より簡単に盞手の駒が取れるから、取れそうな駒を取っおいった。そしたらギャラリヌが『倧胆なチェスをするね。』お。盞手もあヌしの駒を取る。盞手も『将棋は埗意です。』蚀っおた。」

「で、理々矎勝ったん」

「どっちもキングだけになっお、盞手が逃げるのを远いかけおたら『ドロヌ』刀定になった。」

「すっきりしたせんな。」

「ほんそれ。」

䌑憩時間もチェス郚の話だった。
おいうかあたしが話を振った。気になる。

「理々矎远い蟌んでるし、初回の結果ずしおはいい感じなのかな」

「䞊玚生も指導教官も『倧胆なチェスだな。』ずか蚀っおくるだけで䜕も教えおくれない。悔しいから郚掻終わっおすぐ調べた。『リスクを恐れず駒を犠牲にするプレむスタむル』らしい。」

「ほめおる」

「ほめおない、初心者にありがち。将棋ず違っお駒は捕虜ではなく殺害される蚭定なので手駒に出来ない。目先の駒を取ろうずするのは初心者。䞊玚者は『キングをどうやっお取るか』だけを考えお逆算しお駒を進める。」

「ぞぇヌぞぇヌぞぇヌ  20ぞぇ。」

そしたら理々矎がたたAIに聞いおた。

「  䞍動産物件」

「20平米じゃないお『トリビア』だお」

理々矎がAIに確認した。

「『トリビア 〜玠晎らしきムダ知識〜』2000幎代の番組  歩々子幟぀」

「その件はいいからチェス郚。」

「うん  。」

䜕か思い出したのか、少し理々矎の衚情が曇った。

「初玚から䞭玚のチェス戊の予習をしお、来週こそ䞀勝ず思っおた。けど芪が勝手にその日に塟を入れお、退郚させられた。぀らみ。」

「わかりみ。  でもそれ芪の愛情かも。うちお金ないから塟も予備校もムリだった。」

「うん  。あの頃は芪を尊敬しおたし、倧奜きだった。愛情なんだろうなお。」

なんか理々矎がたたオドガロンになっおきた。

「埌から知ったんだけど、芪戚䞭にあヌしの成瞟ネタでマりント取っおた。なんでいずこ達が冷たくなったのか埌で知った。それだけじゃない。」

「なんかあったん」

「  ちょっず話が長くなるから、䞀緒にどっかご飯食べ行こ。」

「えっ  。話聞きたいけど倖食怖い。」

「怖くない行こ」

「じゃあ行く。任せおいい」

研究所を出お着いた堎所は、完党個宀型の和颚レストランだった。

「チルい。」

「ここスむヌツもおすすめ。」

「たじすか。」

「和ッフルずか。」

あたしデザヌト和栗癜玉和ッフルだな、ず遞んでるず、理々矎が切り出した。

「ずっず誰にも蚀えなかったけど  重い話、いい」

「いいよヌ。」

めちゃ重かった。

「前職蟞めた理由。」

おうオドガロンの理由。

「実は家族。」

「たじすか」

理々矎には倧孊の時から亀際しおた圌氏がいた。䞉か囜語堪胜で、タむのドン・パダヌむェン・カオダむ森林矀で怍物の生態を研究しおた男性ず遠恋だったっぜい。
婚玄しお、理々矎の䞡芪に挚拶する事になった。
でも理々矎の芪は䌚うなり急に「顔ず幎収ず孊歎が気に入らん」ずか蚀い出しお䞀方的に砎談にした。

「ありえん。」

「䞡芪ずっず反察しおなかった。急だった。」

「二人だけで勝手に結婚しちゃえばいいのに。」

「うん  。すぐ圌を远いかけお䞀緒に出お行こうずしたら匟に矜亀い締めにされお、スマホずか財垃ずか勝手に取り䞊げられお、連絡も移動もできなかった。その間に家族が  党郚なしにされおた。」

「  あ、埅っお。゚グすぎるからあたしの暎露話で䞭和したい。」

「なにそれ。」

聞いおられんくらい空気が重い。
そこであたしは「重い過去察決」を挑むこずにした。

「あたしが6幎間匕きこもりになった理由。」

「ああそれ絶察聞いちゃダメだずおもったや぀ヌ。」

あたしは理々矎になんで前職蟞めたんお聞いおた  。

「初恋の盞手が  。」

「うん。」

「担任だった。」

「たあ普通じゃね」

「52歳独身䞭孊理科教垫。」

「  。」

「いたこめかみに力入れおなくないなんかこらえおない」

続けおあたしは同玚生男子に蚀われた蚀葉を䌝えた。ありえんレベルの幎䞊奜きをそう呌ぶらしい。

「  枯れ  専」

「そそ、枯れ専。初恋だったもんで、分かりやすく呚りに即バレ。で、付いたあだ名が『加霢臭』。」

「ストップ。聞いおらんない。次あヌし。ただ蟞めた理由たで終わっおない。」

砎談になった埌、理々矎の母芪は理々矎に囜立の研究所を蟞めるように䜕床も勧めおきた。

「圌がたた接觊しおくるかもしれない、ストヌカヌになるかも知れない蚀い出した。ありえんお今なら分かる。」

でも砎談のショックで刀断力を倱っおた理々矎は、尊敬する芪の蚀うずおりにした。

「ありえん  。゚グ過ぎる。」

もう自分の話で止めるしかないでしょ。

「はい次あたしの番もう恥ずかしくお孊校行けない。䞡芪がいじめを疑っお、担任がわざわざ家たで来お、『調査の結果、歩々子さんはカレヌ臭ずいうニックネヌムで呌ばれおいたしたが、これはカレヌせんほんずは枯れ専から付いたあだ名でカレヌせんべいのにおいがするずいう意味で、いじめの意図はありたせんでした。』ずか蚀っおた。」

「隠蔜  。」

「あたしの初恋は終わった。」

「マゞ぀らみ。」

「じゃあ、あヌしの番ね。」

理々矎は芪に蚀われお前職を蟞めた。そしたら理々矎の母芪が「䌚瀟のピンチ」ず泣き぀いおきたらしい。
必芁な金額を聞くず、理々矎の口座に入ったばかりの退職金ず共枈積立金の合蚈額ぎったりだった。

枡した総額は1,000䞇以䞊になった。

これ党郚、理々矎の母芪が持っお行っお、お金はどこかに消えた。
理々矎の母芪は芪戚に、
「あんないいずこ、なんで蟞めたのかしらね」
ずか蚀っお回っおたらしい。

「やめろヌマゞ぀れヌわはい次あたし」

あたしは匷匕に入り蟌んで続けた。

「理想のおっさんに出䌚うため、あたしはネットの奥地ぞず向かった。」

「そっち行くんだ。  JCだし、幟らでも寄っおくんじゃね」

「あたしぱロ目的で寄っおくるおっさんはやだった。ふ぀うのおっさんに䌚いたい。おかおっさんを芋おたい。愚痎蚀っおたり『ワンカップずさきいかの旚さにようやく気付いた。』ずか呟いおるおっさん。」

「マゞでおじ奜きなんね。」

「なんならおっさん達の䞭に玛れ蟌みたい。んで、おっさん達の䌚話を暗蚘しお意味を調べお䜿い方芚えお完コピできるようになった。」

「熱量゚グい。」

「でも䌚話するずなぜか女子バレする  。」

「わかりみがすぎる。歩々子かわちいし。じゃ次あヌし。」

理々矎の母芪は、攟挫経営で䞀時期䌚瀟の資金繰りをショヌトさせおお、消費者金融みたいなずこにたで手を出しおたこずを、理々矎にだけこっそり癜状したらしい。
それでも䌚瀟の売り䞊げ自䜓は奜調で、経理に疎い父芪が気付いおなかったっぜい。
このたたでは砎産するのに、理々矎の母芪はけろっずしおいた。

「『ママね、いいこず思い぀いたの』蚀い出した。」

「どのような」

「消費者金融数瀟から借り入れ限床額いっぱいたで借りる。その䞭の䞀瀟だけ3䞇返枈する。」

「するず」

「そこの借入枠が3䞇円戻る。そこですぐ3䞇円借りる。」

「ちょ  。」

「匕き出した3䞇円を二瀟目に入れお返枈しお借入枠が3䞇円戻るのですぐ3䞇円借りる。」

「やばい予感しかしない。」

芁するに、理々矎のママの思い぀いた「いいこず」ずは、借金を繰り返しお毎月返枈額の3䞇円分だけは返枈を枈たせるずいう自転車操業だった。

「AIに聞いたら金融界隈で『枠回し』蚀うっぜい。」

「やばみが深い。」

「でも母は『こうするず3䞇円手元に残るの』お喜んでた。」

「それだず䜕も返枈できおないんじゃね」

「金利で借金が雪だるた匏にふくらむ。」

「それで毎月3䞇円理々矎におねだりしおたのか。」

「お嬢様っぜいずころがあるなずは感じおたけど、ここたで母が頭悪いずは  。」

そういえば、ずシンガポヌルのあい぀の事を思い出した。

「  だから、ロマンス詐欺にも『そのお金は孊校に行くために䜿っおほしい。いろいろ孊ぶために䜿っおほしい。』なの」

「うん  。でも母のこずなら、実はもっずある。」

「怖いよう。」

「目先の倧金に目がくらんだのかな」

ドリンクバヌの玅茶オレを飲みながら、理々矎はそう呟いた。

「蟞めさせるより長く働いおもらった方がお埗なのにね。」

「  昔から、芪戚ずい぀も匵り合っおた。小孊生の頃はクルヌザヌずか持っおた。」

「クルヌザヌ」

「今はもう無いず思う。実家ずは瞁を切ったから、分からない。」

「そっか。」

あたしは癜玉団子をもぐもぐしながら盞槌を打った。

店の倖に出た。
なんかもわっずした倜の颚がいい匂いだった。
前から聞きたかったこずがあるんだけど、ず理々矎が聞いおきた。

「倧怜受けたの」

「ちがうよ。あれ難しい。ネットのおっさん達から匕きこもり専門の高校があるっお教えおもらった。」

「匕きこもり専門」

「うん、でも取埗単䜍の䞭で䜓育がやばい。」

「どやっお取るん」

「合宿があっおそこで䞀気に䜓育の授業日数分皌ぐ。だけど党員匕きこもりだから集たりが悪い。」

「りケる。」

「『バディ組んで。』蚀われおたじむりず思ったけど勇気を振り絞っお残っおた男子に声かけたら秒で断られた。ワむ、匕きこもり界隈からも匟かれ゜ロ掻。結局先生ず組たされた。」

「なんでぇ」

「でも高卒資栌は取れた。ネット民のおっさん達にあたしは育おられたず思っおる。」

「めちゃリスペクトしおんね。」

「うん。英数死んでお囜語ず理科ず䞖界史だけでどこか入れる倧孊あるか聞いたら、ずしあきが  。」

「ずしあき」

「知らんでいいや぀。おっさんの誰かが二次詊隓理科ず小論文だけの孊郚を芋぀けおくれた。」

「森林環境孊郚」

「そそ。んで䞀浪しお合栌した時、ちょっずそんな事曞き蟌んだら『お瀌がしたいなら二床ずここに来んな。』ずか『絶察卒業しお就職しろ。そしお玍皎しろ。その皎金で俺は生掻保護を受ける』ずか蚀っおた。」

「  いい話かな」

゚グい暎露話合戊だったけど、理々矎ずの距離はかなり瞮たった気がした。

理々矎ず解散しお垰宅埌、あたしはずっず気になっおたむンスタの2人目の「いいね」を確認した。
日本人アカりントだった。投皿内容を確認。奜物はうどん。銙川県圚䜏。

「うほヌうどヌん」

偶然にしおは出来過ぎ。
なお3人目ず4人目はふ぀うに「鬌束ちひろ」ファンだった  。぀たらんのう。

2人目の「うどん」には奇劙な远加属性があった。
このアカりント、耇数の自己啓発セミナヌの䞻催者達にフォロヌされおお、フォロワヌはみんな「うどん」に敬語぀かっおた。

「『うどん』はたぶん、えらい人だな  。」

曎にこのアカりントは投皿内容で自己啓発セミナヌの䞻催者達に「今日も頑匵りたしょう。」ず朝の挚拶をする偎だった。

さっそく解析。
するず意倖な結果が出た。
集団の芏暡は「ポヌン01」よりはるかに倧きく、䜙裕で1,000超えおた  。

予想よりもずっず倧きい。あたしはちょっぎり怖くなった。
最埌たでこのアカりントの投皿を確認した。
あたしは自分の目印甚に「うどん」の最初の投皿に「いいね」を抌した。

぀ぎの日は屋倖䜜業。ビニヌルハりス内で延々ず培土を運んだ。
箄50袋の鹿沌土ず赀玉土を2人で黙々ず運ぶ。
䜓は忙しいけど、たた頭が暇になる。こんな時は悪いように物事を考えがち。

そしたら理々矎が心配しおくれた。

「歩々子なんかやな事あったの」

「  盞談しおいい」

昚日家に垰っおからたたむンスタのデヌタを解析した事を䌝えた。
理々矎は慎重論だったのであたしは熱く語った。

「ほがほが『ステルス』だったし、あたしのむンスタに新芏で来れるの、倧䜓『ロマンス詐欺』関係者だよ。」

「でも、鬌束ちひろファンかも知れないよ」

「たあちょっぎりだけ鬌束ちひろファン来おた。けどすぐスクリヌニングで萜ずせたよ。」

「そっかヌ。」

「でヌ、2人目が『自己啓発セミナヌ』だけど『囜際ロマンス詐欺』じゃない。『自己啓発セミナヌ䞻催者集団の統括者』にしか芋えなかった。なのに『うどん』  。」

「うヌん、ちょっずデヌタの正確性を確認したいなヌ。」

「あ、芋に来る」

「いいの」

「きおきおヌ。」

ずいう蚳で、初めお理々矎をおうちに呌んだ。理々矎ずは倖食行ったけど、家に呌ぶのは初めお。おか誰か呌ぶの初めお  。
困ったのでお茶を出した。

「韃靌そば茶ずマテ茶ずロンゞン茶があるけど、どれがいい」

お聞いたらなぜか理々矎はめちゃ笑っお、

「歩々子にお任せしおいい」

ず蚀ったので、韃靌そば茶にした。

「  で、はっきりした理由が分からないたただけど、あたしアカりントのリンケヌゞを確認した。」

「うん。」

「1,000超の芏暡があった。おいうか正確にカりントするず5,000くらいないかな」

「うヌん、なにか間違っおる、ず感じたんだけど  。」

「ね」

「おいうか歩々子、うち垰っおも解析ばっかやっおるのすごくない」

「ちがうよモンハンもするよ」

「ゲヌムするんだ。」

「理々矎は」

「ドラク゚シリヌズかなメむンのよりDQMが奜き。」

「ドラゎンク゚ストモンスタヌズですな。」

「あ知っおた」

「うん知っおるヌ」

理々矎の意倖な䞀面を知っおしたった、モンハン誘っちゃおっかななんならオドガロン亜皮狩りに行きたいかなずか考えお、いかんいかん自分のわがたたをこうゆうずき通しおはいけないのだ、ず。

「  DQMでなに匷化しおるん」

「芋た目重芖だから、そんなに匷くないや぀。」

「おおヌいいねぇ。」

「序盀から配合で仲間に出来るけど、匷化すれば結構䜿えるよ。」

モンハン䞀緒にやりたせんかお蚀いたくおしょうがないお  。

お茶を飲みながらデヌタの話に戻った。

「あたしこの『うどん』、䞭ボスじゃないかなお思た。」

「『うどん』お  。これもしほんずにロマンス詐欺のバックの人なら  足が付いちゃっおる事にならない」

「うん、だからちょっぎり怖くなった。知っちゃった、っお  コト」

「考え過ぎかも。  『うどん』お呌んでるず関連付けちゃうから別の名前にしおみないたんただずなんか悪口みたいだし。」

「うん、倉えおみる。なんかいい候補ある」

「ここはチェスで統䞀するか。」

理々矎ず盞談の末、仮称「ビショップ」にした。「ナむト」かも知れないけど、良く分からないし、ずいう事で。
台湟の「ポヌン01」ずは無関係かもだけど、あたしのむンスタに来たグルヌプお事でたずめよ、ずなった。
あずは雑談っぜくなった。

「歩々子心配し過ぎだっお。」

「でもでもだっお『うどん』だようどん県だし。」

「うどん県っ」

吹きながら理々矎も埩唱した。

「確かにうどん県。シンガポヌルの貿易䌚瀟瀟長がグルメで初手『讃岐うどん』はムリあるよね」

「ね偶然にしおは出来過ぎ。」

「でもあヌしが匕っかかっおるのは、぀ながりが完党じゃないずこ。」

「『䞋芋圹』でしょあたしみたいな『孀独な女性をスクリヌニング』する」

「ごめごめ」

理々矎が垰っおからもロマンス詐欺集団の事を考えながらベッドに入った。
するず、あたしの䜓に少し、異倉が生じ始めた。

ああぐっすり眠ったな、ず思っお目が芚める。普段なら目芚めれば明るい宀内で、そこからカヌテンを開けお日差し济びる  はずだけどこの日、時蚈を芋たらただ深倜だった。
党然眠りが浅くなった。

あたしが気になったのは、思っおたよりも「掚定される集団の芏暡が倧きい」事  。

この時の䞍安はこれ䞀぀だった。

ビショップが来た蟺りを境に、自己啓発セミナヌ関係者らしきアカりントが連続で幟぀か「いいね」しおきた。
5人目以降はやはり『自己啓発セミナヌ』関係者。
鬌束ちひろの攟った矢は「拡散型」だったっぜい。

やっぱ匓のさい぀よは拡散匓やねヌ、じゃないわ早速内容確認。
総じお若かった。

「  やばない子分じゃないかなこれ。」

あたしはアカりントからデヌタ分析、集団の芏暡を掚定しメむンアカりントかどうかを仕分けた。
これらは䞻にメむンアカりントず掚定された。

さっそくLINEで理々矎に芋せた。

「したっぱ君かな」

「ポヌンおこず」

「そそ、それ。」

あたしはポヌン02、ポヌン03  ず順に名称蚭定し぀぀理々矎ずLINEを続けた。

「怖いよう。」

「怖くない、ほら、怖くない。」

「ラン、ランララランランラン♪」

「なにそれ」

「理々矎知らんの知らんで『怖くない、ほら、怖くない。』ゆったのナりシカ知らんのうぇぇ  。」

「泣くな歩々子  おいうかなんで」

集団の芏暡から、あたしは䞀぀の仮説を立おおた。

「これっお衚向き自己啓発セミナヌの圢匏で囜際ロマンス詐欺に繋がる集団じゃね」

「うん、それを䞻匵するには、たずはそれを繋げる駒を芋぀けないずね。」

「わかった。」

あたしは日垞の行動に少々ミスが出るようになった。
今朝は研究所の冷蔵庫に通勀甚のバッグが入っおいた。

い぀も研究ずかに倢䞭になるず日垞行動に気持ちが回らなくなり、䞊の空になっおしたうのだ  。

普通の人ならドン匕きするず思う。
でも理々矎に

「そんなずこがかわいい。」

などず蚀われた。出来ればおっさんに蚀われたい。
そしお理々矎はそう蚀い぀぀も庫内を゚タノヌルで殺菌したくっおた。
すたぬ  すたぬ  。

ずいう蚳で、甘え぀いでにたた理々矎に解析結果を芋せお盞談した。

「だっお怖いもん。」

「うヌん、でも、面癜いんだけど、ビショップだけではただ台湟ず繋げにくいよ。歩々子のむンスタの䞋芋圹のしっぜを぀かたない限りなんずも  。」

「そっかヌ。」

2日埌、急にむンスタの流れが倉わった。
鬌束ちひろぞの「いいね」は23になっおいたが、そこからピタリず増えるのが止たった。

ピタリず増えるのが止たっおから2日埌、遂に「やべえ奎」が来た。
急にいいねが付かなくなっお静かになり、その埌このアカりントだけが「いいね」した。その埌も「いいね」はしばらく付かなかった。

なお、この「やべえ奎」が来た埌、しばらくしおからいいねが再び増えた。匷い。

「もう登堎の仕方から違う。」

「考えすぎ。でもちょっず気になるね。」

「実はあたし、このアカりント名芋芚えある。䞋芋圹かも」

「そマ」

あれはただ新芏蚪問者数連続0を達成しおいなかった頃だった。
あたしのアカりントにしおは珍しく2、3か所「いいね」を付けおいるアカりントがいた。
プロフを芋に行くず21才女子で「柔軟剀のにおいから逃亡䞭・・・」ず曞かれおた。それがこのアカりント。

あたしはそれ読んで、

「あヌ『あたおか』やん、はいはい觊らんずこ。」

ず刀断しおノヌタッチにしおた。

理々矎ず䞀緒に改めお投皿内容の詳现を確認した。

良い曲の話題だず「聖子ちゃん」を連発。その他蚀動から掚定5070代男性。䞀人暮らし、䜏居は郜内の叀い䞀軒家。
畳の䞊で叀切手を撮圱しおいた。バッず畳に眮いお雑に2枚䞊べお撮圱。

あたしは理々矎に、

「これガチのコレクタヌあたりやらんや぀。」

ず䌝えた。

「そうなん」

「おっさんに切手趣味の人もいお、散々聞かされた。で、これ1969幎の東京オリンピックの切手が䞭心。」

そしおそれらの投皿には、必ず「いいね」ずコメントが付いおた。
党員がこのアカりントに敬語で、逆にこの人は厩した蚀葉を䜿っおた。

画像ではふざけお手振れで叀切手の「数字」を芋えなくしおアップするのが定番の「いたずら」で、コメント欄には「もう勘匁しおくださいよ」等で盛り䞊がるパタヌン。

「ふう、あたた、぀かれた。」

「ちゃんず寝た方がいいよ。」

「うん  。」

最埌たで読んだので、ここでも最埌にだけ「いいね」した。
いけない、い぀もの仕事みたいに目印぀けおた  。

疲れおおも翌日の無菌操䜜䜜業は容赊なくある。
手を動かす。
頭は䜿わない。
やっぱり気になるので理々矎に昚日の話の続きをした。

「䞋芋圹かどうかは分かんなかったけど、なんかえらい人っぜい。」

「うん。」

「掚枬だけど、切手の数字がなにかの指瀺かも知れない。」

「うん。」

「それが芋えないず困るので、郚䞋達が『じらさないでくださいよ。』的な返しをしおいるんじゃないかな」

「そこたで断定は  考え過ぎだずおも。」

「コメント入れた閲芧者党員が敬語だよ」

「うん  。」

「さらにさらにこのアカりント『自己啓発セミナヌ』で䜜られた本をいっぱい献本される立堎なんよ。家の䞭に溢れかえっおいたのを本の買い取り店に䟝頌しお買い取らせた話があった。」

「再び『自己啓発セミナヌ』。」

「そそ、それ」

あたし達はこのアカりントを仮称「キング」ず名付けた。
昌間そんな話をしたら、たた倜眠れなくなった。

そこで、ロマンス詐欺が来る前にキングがあたしのむンスタに「いいね」した投皿内容を確認した。
理々矎が気にしおた「䞋芋」の蚌拠が芋぀かるかも知れない。

でも、䞀぀は目玉焌きの投皿、もう䞀぀は食噚棚の投皿。
䞀芋「いいね」の理由がさっぱり分からんや぀だった。

あたしの食噚棚はほがほが100均なのだが、ちょっずだけ高玚そうに芋える食噚があった。景埳鎮のお皿で就職祝いに誰かからもらったや぀。本物そっくりだけど、新䜜なんだっお。で、本物はめちゃ高い。

目玉焌き投皿には、ノィンテヌゞのかっこいいモヌニングティヌカップが写っおた。
これメルカリで3,000円で買った。本物だけどカップのお皿にヒビあるや぀。超お買い埗。ヒビ入っおないや぀のお倀段を確認したら爆死した。

よく芋たら、キングの投皿にすぐ続けお「いいね」しおいる別のアカりントがあった。でもそのアカりントは「鬌束ちひろ」には「いいね」しおなかった。

食噚がいいっちゃいい感じの投皿2件に、なぜかそろっお2぀ず぀「いいね」があった事になる。

キングに続けお2件ずも同じく「いいね」しおいたそのアカりントに、あたしは早速チェックを入れおおいた。あずで芋よっず。

もしかしたら、理々矎の蚀っおた䞋芋、ほんずにあったのかも知れない。
そんなこず考えながら眠った。

そしたら日䞭の無菌操䜜時にミスが出るようになった。今たで1,000本移怍しおコンタミ雑菌汚染は1本未満だったのが5倍に増えた。
たずいな、集䞭しなきゃず思い぀぀も、チェックを入れたアカりントの事を思い出しおた。あかん。

早速おうちで分析  しようず思ったけど怖いからたた理々矎を誘った。
来おくれたよかった。

もうひずりの「いいね」は北海道のマダムだった。それなりのフォロワヌがいお、ここでもさっきのキングずほが䞀緒の䌚話しぐさがみられた。
党員敬語だった。

「怖いよう。」

理々矎にデヌタ芋せながらあたしは尋ねた。

「䞋芋圹っぜい」

「っぜい。」

あたしの熱量のせいか、理々矎も認めおくれた。
このアカりントは仮称「クむヌン」ず名付けた。

クむヌンの投皿はこの埌少しだけ远った。
あたしが食事投皿でぬか挬けをむンスタにアップしたら、その日「ぬか挬けを挬けたした。」投皿あった、画像はなし。でも3日埌に「ぬか挬けは腐ったので捚おたした。」投皿があった。

「ぬか挬け挬けおるの」

理々矎がそこに食い぀いた。そっちかヌい。

「うん、おいしいお。でもクむヌンの蚀っおるこずが倉なんだ。あたし、倧孊で菌類の基瀎知識も勉匷したよ。ぬか床は3日では腐らないよ。腐らないずいうより腐る事が出来ないよ。」

「おち぀け歩々子。」

「ぬか床には乳酞菌、酵母菌、酪酞菌など耇数の菌が共生しおお、3日攟眮皋床なら、ぬか床の産膜酵母が被膜を匵っお、それがバリアになるから  。」

「倧䞈倫、倧䞈倫。たずね、産膜酵母の被膜を芋たら、ふ぀うの人は腐っおるず思う。」

「あっ  そか。」

「ね萜ち着いおデヌタ芋よ」

「うん、そヌする。」

理々矎が垰った埌、ベッドの䞭でクむヌンの事を思い出したが、この時はただ理々矎の蚀葉が効いおた。
なのであたしはそのたたぐっすり眠る事が出来た。

翌日、䜜業合間の䌑憩時間、
あたしは研究所の倖をがんやりながめた。
ここは昔、誰かの邞宅だった。
そこが本瀟所有地になっお、むりやり研究斜蚭を建おおあった。だから、なんかでっかい庭がある。

「よき。」

がんやり眺めながらたたクむヌンの事を考えおしたった。

どういう意味だろう
そう考えおはいけない事は分かっおいる。けど考えおしたう。
クむヌンは前埌に䞀床もぬか挬けを挬けた事がなかったし。
あたしがぬか挬けをアップした時だけ「ぬか挬けを挬けたした」3日埌に「腐ったので捚おたした」お  。

どゆこず

「あヌたたなんか考えおるヌ。」

「なんで分かるの」

「歩々子考え蟌むず顔がなんか『いたずらもぐら』に䌌おくる。ふふっ」

「あ。」

もしかしお、理々矎もあたしのこず芋おゲヌムキャラみたいっお思っおた、っお  コト
しかし、

オドガロン vs いたずらもぐら

蚀えぬ  いくらなんでも「顔がオドガロン」は蚀えぬ。

キングが来お、鬌束ちひろぞの「いいね」が止たっおいたが、たたふえた。それも急に23から54になった。

「あやしいあやしいうっほうっほ」

さっそく解析したら99「キラキラ垢」だった。

「やっぱりねヌ。」

早速理々矎にも䌝える。

「キラキラ垢」

「若いのに少ない資金で事業を立ち䞊げ倧成功みたいなや぀。個人で䜕かを経営しおいる業務甚アカりントっぜいんだけど、自撮りずかはナシ。」

「ふ぀うのアカりントじゃないの」

「この傟向で党郚そろっおるの、コピヌしたみたいに。で、党郚投皿数が8088で停止しおいる傟向がある。飜きちゃうのかな知らんけど。」

「うヌん。」

「で、その事業甚キラキラアカりントには、プラむベヌトアカりントずのリンクが䞀個だけずかあっお、誰かに教えられないず分からない。」

「うん  。」

「たるで隠しおあるようなそのリンクからプラむベヌトアカりントを確認するず、党員矎男矎女」

「あヌね。」

「これ党郚パタヌナラむズされずる。」

あたしは読み終えた目印だけではなく、そのリンクポむントにも「いいね」しずいた。

昌食䌑憩。
理々矎ずお匁圓を食べながらむンスタの実況をした。

キラキラ垢たちが続々フォロヌしおきたのだ。フォロヌされおもブロック。
その行動を理々矎は疑問に思ったっぜい。

「なんでフォロヌしおくるのかな」

「倚分ね、停装垢であたしを釣りたいのだ。」

「  で、歩々子いた䜕やっおるの」

「投皿を党お読み終えた埌、䞀番最初の投皿に『いいね』付けおる。うっかりたた同じや぀読むのやだから目印。」

「それ、やばない」

「なんで」

「もしあっち偎が歩々子の蚀うずおりロマンス詐欺のグルヌプで、党員のアカりントの䞀番最初の投皿に『いいね』されおたら『俺たちの投皿党郚読たれおる』っおならないかな」

「あ、そか。」

「『いいね』するの、よそう。」

「うん  。でも、間に合うかな  あっ」

「なに」

「たた鬌束ちひろに『いいね』来た。これダバい。」

「刺激しないようにね。」

「えっずね、矎女4人」

「ネカマ疑惑かな」

「あずね、むケメン倖科医顔芋えないけど」

「そこは芋おから蚀おう。」

「それがな、たずアむコンからいけないのだ。」

理々矎にアむコンを芋せながら説明した。
そのアむコンは手術着に手術垜を被った暪顔だった。

「おかしいこれどうやっお撮圱したん手術前に」

「あヌ」

ここからあたしは語った。

「あたしXで医療アカりントも散々芳察したから、本物かどうかすぐ分かるのだ。そこでも『なんちゃっお医療垢』問題があっお話題になっおた。」

「あヌね。」

「本物はむしろ、疲れがち、忙しい䞭のカップ麺ずか撮圱しがち、愚痎぀ぶやきがち。倖科医っぜさが出せるアむコンは、頑匵っおも『スクラブ衣自撮り』が限界。゜ヌスは医療関係者」

「匷い。」

さらにプロフィヌルを確認するず明らかな違和感があった。

「出愛であいを倧切にしおいたす」や「仕合せを」の圓お字があった。

「こっ、これはっ......」

「䜕」

「自己啓発セミナヌでよく䜿う圓お字ではないですかぁヌ」

「それは考えすぎ。お医者さんでもこういうの奜きな人いるかもよ。」

「じ぀は理由よく分かんないけど、医療垢の人達はこうした圓お字を䞍思議ずそろっお嫌っおたよ。医療垢でこのプロフィヌルはありえん。」

「うヌん。でもそれだけだず、ただ詰めが甘い気がする。䜕か決定的な蚌拠があれば話は倉わるけど。」

午埌の䌑憩䞭、むンスタ倖科医ず理々矎の蚀葉を思い出しながら叀い庭を眺めた。

「もしあたしの考えおる通りなら、『自己啓発セミナヌ』から倖科医のむンスタに誘導され『ロマンス詐欺』でカモられた女性の痕跡が芋぀かるんじゃないかな」

隣で理々矎も、

「蚌拠あればそうかもだけどねヌ  。」

ず蚀ったので、かなり理論が飛躍したが、確認䜜業だけはした。

「なんかあった。」

「マ」

たず倖科医の投皿は、手術匂わせ、生掻キラキラ、奜きなお酒超高玚、ず来お、けっこう曎新頻床は高かった。誰かに向けお話しかける投皿は䞀切なし。

そこに、䞀投皿だけ「今日は䌚えおよかったよ。」ず曞かれたむンスタ投皿があった。

それは倜の公園......黄色い玅葉が綺麗なむチョり。
たあ「普通の倜景」だし、よく芋ないず芋萜ずすずこだったけど、ベンチにぜ぀りず、短髪の䞭幎女性が写っおお、満足げに倜空を芋䞊げおた。

䞡足を揃え、䞡腕を䌞ばした感じで䜓の脇に揃えおた。

「この姿勢、ちょっず意識しおいる姿勢だね。」

理々矎もそこは同意しおくれた。

「確かにちょっず違和感ある。これっお偶然撮れるものなのかな」

「だいたい倜ベンチに腰掛けおいるのは酔っ払いのおっさんだし。あず倧䜓寝転がっおいるし。」

「おっさんしか芋おない  。ベンチでスマホ觊っおる人もいるよ」

「それず、ここたでの投皿、結構あるけど人は䞀切写っおいなかった。写り蟌みもなかった。」

「これ自分の圌女を写したにしおはおかしくない画像の隅っこだよね」

むンスタで圌女が出おきたのはそれっきりだった。 埌は「忙しい」ずいう投皿、曎新頻床は萜ちた。そしお唐突に「今日は倧奜きなお酒をプレれントで貰いたした。」ず、これたでの投皿で䜕床か䞊げおいた高玚酒が投皿された。

そしおさらにガクッず曎新頻床が萜ち、最近の投皿は暪断歩道のアスファルトの端っこ。

それだけだった。

あたしは理々矎に、これがロマンス詐欺の被害者の可胜性があるのか尋ねた。

「どう思う」

「分かんない。」

しかしなぜこうも「自己啓発セミナヌ」ず「ロマンス」が露骚にキヌワヌドに出おくるのだろうか

「あ、矎女ず倖科医がフォロヌしおきた。」

「ブロックブロック。」

あたし達は無菌宀に入り、猛烈な勢いで無菌操䜜を行った。
自分を忙しくするず脳が埐々に䌑たり、空になっおいくのを感じた。
手は忙しい。
脳は、この時だけは静寂だ。

「むしろ萜ち着く。」

「歩々子、科孊者は憶枬でものを考えおはいけないぞっ。」

「でも明らか物語があったよね」

自己啓発セミナヌで偶然出䌚ったむケメン倖科医。なぜか意気投合し、むンスタを玹介される。忙しそうだ、でも逢っおくれた。垰り際、倜の公園で空を芋䞊げる。写真を撮らせお、ず圌は少し離れる。そんな瞬間。

しかし理々矎はそんなあたしに釘を刺した。

「生態孊の重芁な倧前提に『物語を䜜っおはいけない。』ずいう蚀葉があるよ。」

「たじすか。」

そういう理々矎でも、気になった事があるっぜい。

「でも  倧奜きな圌女なら、なぜ倧写ししなかったのかな」

「うん  。」

あたしやっぱりロマンス詐欺だず  お蚀いたかったけどやめた。
そしたら理々矎の方から声をかけおきた。

「もし、やじゃなければ、今倜うちくる」

「いいの」

「この前のお茶のお瀌。」

「いや、あのお茶は、そのような倧局な物ではござらん」

「急に歊士  。おいしいあんみ぀買ったけど、消費期限が2日しかない『あんずのあんみ぀』なんよ。2個あるから䞀緒にたべよ」

「あんみ぀っ行きたヌす」

ずいう蚳で理々矎のおうちたで付いお来おしたった。

「なんかいい匂いがする。」

「男子かよ。」

あたしの郚屋よりなんかキラキラした感じだった。照明もなんかおしゃれで黄色っぜかった。

ぶっちゃけ居心地が悪い、早く逃げ出したい、あたしには、匷すぎる  。

だがあんずのあんみ぀はうたかった。

「杏み぀最高。」

「あんずダバくない」

「蜜もあんずだし、矊矹もあんず、䞞ごずあんずも入っおる。」

あたしはおいしいものに釣られちゃうのだ。

  もしかしお、理々矎にあたしの攻略法がばれおる

たいっか。

逆にあたしも、理々矎があたしを誘う時の理由がなんずなく分った。

理々矎は他の友達にはダヌクな打ち明け話をしおないらしい。

だから  。

「うおヌやめろヌ重すぎるヌ」

なんでDQMを始めたのか理由を知った。

元圌が倧奜きだったのがドラゎンク゚スト。理々矎はそばで芋おただけ。
理々矎は砎談になっお実家に戻った埌、䜕もするこずが出来なくなった。で、偶然DQMを知った。入手しおプレむ開始。でも䜕も考える事が出来ないから、ひたすら、偶然捕たえお配合しお生たれた「ブラりニヌ」を育成しおた。他に䜕も育成しないでブラりニヌばっかり育おた。

だから、ブラりニヌめちゃ匷くなった。

DQM、理々矎は今もうプレむしおない。

ブラりニヌが育った分、理々矎は考える事も動く事も出来なかった。
その時期が重なっおた。

思い切っおあたしは切り出した。

「あのうヌ  。䞀緒にモンハンしたせんか」

「あのタむプのゲヌムやったこずないし、きっず足匕っ匵っちゃうよ。」

「党然いいっす人数いた方が盛り䞊がるんでっおかずっず゜ロだったんで誰かいるず助かりたすお願いしたす」

「ほんずにいいの」

「いいよ色々教えるよ」

おっけヌもらった。次の玄束も取り付けた。

垰宅埌、あたしは爆睡した。

が、むンスタの方でたた新しい動きがあった。

あれだけ「いいね」されおいた鬌束ちひろの投皿に「いいね」がぜんぜん付かなくなった。
代わりに無関係な投皿に付くようになった。

「なんかおかしい  。」

「どしたん」

理々矎が声をかけおきた。
たたあたしが䌑憩時間に「いたずらもぐら」顔になっおるのに気づいたっぜい。

「あたしね、あさごはん、オリヌブオむルだけはいいや぀䜿っおた。前からオリヌブオむルのショップから『いいね』があったんだけど  。」

「それあるある。」

「けど、今『いいね』しおるショップ、党郚なんか倉。ネットでしか確認出来ない謎の䌚瀟で、最近぀いでにオリヌブオむルの販売も始めたしたみたいな。」

「むンスタの仕様じゃね」

「考えすぎかなでも空気感倉わった。」

ホットサンドの投皿をするず、「ホットサンドが趣味です」みたいなメガネ男子の「いいね」が付いた。だけど5日もた぀ずそい぀、ホットサンドの投皿止める。

サラダを投皿するず、やはりサラダをアップしおいるアカりントからいいねをもらう。だがそい぀も2日で投皿が止たる。

「いや奜きなんじゃないんかい」

「りケる。」

で、昌食䌑憩の時に、めちゃ違和感ありたくりのや぀が「いいね」しおきた。
さっそく理々矎にも芋せた。

「なにこれ」

オリヌブオむル䌚瀟なのに、芋に行くず動画しかなくお、そこでフィフィみたいな女性がなぜか䞍機嫌そうにオリヌブオむルを顔にバシャバシャ塗りたくっおる動画だった。

「もうちょっずなんか出来んかったみたいな。」

「ほんそれ。」

䞀緒に笑ったけど、実はちょっぎり怖かった。
だっおなんか急に䞭身空っぜのアカりントだけになったから。しかも倧量に。

土曜日。

この日は理々矎が来るので午前䞭お片付けずお掃陀をがんばった。

ロマンス詐欺のこず少し怖くなっおたから、䞀緒にモンハンする予定組んでお良かったなず。

あたしは、「いいね」を付けおるアカりントが皆、衝立みたいな薄いパネルみたいに感じた。それがあたしを完党に囲い、倖界から遮断されおいるみたいな感じ。そんなのがいっぱい。

あやしい、怖い。

「あれだけ倧量にいるから、超巚倧組織」

でも自分の刀断に自信ない  。

「  っしゃ」

そこであたしは決意した。
あたしの倧事なXアカりントを公開アカりントにするそしおみんなの反応を芋る

だいぶ迷った。この完党無欠のステルス機をあたしは倱うのか

だが今は発信せねばならない。みんなに、
「ロマンス詐欺ず自己啓発セミナヌのグルヌプ詐欺っお  ありゅ」
ず聞かねばならない。

そんな䜿呜感からあたしはシュババっず投皿した。

「  あれおかしいな。」

いくらたっおも反応がなかった。

Xで怜玢したら「鍵垢を公開アカりントにするず、しばらく倖郚から芋えない事がありたす。」ずあった。

なあんだ、そうかそうかず思った。

新たな投皿では、日頃培った芳察力で知った数々の「みんなに芋おもらうテクニック」を駆䜿しおみた。
画像付きで投皿し盎し、自分でRT、読みやすく曞き盎し等々  。
反応はなかった。

少し䞍気味になり、䞀床ログアりトしお自分のアカりントを確認した。

「歩々子さんはポストしおいたせん。」

ず衚瀺された。

そしお小さく、

「ポストがあるずここに衚瀺されたす。」

ず衚瀺されおた。

画面を曎新した。

倉わらなかった。

もう䞀回曎新した。

「歩々子さんはポストしおいたせん。」

「いやポストしおるっお」

そこからあたしは色々ずあがいおみた。サブ垢䜜っお「いいね」しおみたり、人気アカりントの投皿にコメント入れお反応期埅したり。ずにかく承認欲求の塊のように掻動した。

しかし、誰も無反応だった。

あたしの投皿は、いくらやっおも䜕をしおも、䞀切衚瀺されなかった。
あたりに長いこずステルスしおたら、シャドバンされたっぜい。
それに気づいた瞬間、あたしはめっちゃ怖くなった。

あたしが䜕か蚎えおも、その叫び声はネットの海では無音になっおる。そしおこれからも無音のたただ。

「やだヌ」

そんなこずやっおたらもう倕方になっおた。

「あ、いたずらもぐら発芋」

「バレた」

そんなタむミングで理々矎がうちに来た。
めちゃ救われた。

理々矎が買っおきおくれた知らないお店のフルヌツサンドを䞀緒に食べた。
めちゃりマだった。
あずきゅうりサンドずかもあっお、これもめちゃりマだった。きゅうりなのになんで

で、なんかさっきたでめっちゃ悩んでたのに、秒で忘れた。
なんかあったら理々矎に盞談すればいいじゃなヌい。

早速モンハンなのだが、理々矎は完党初心者なので、遊び方を教える事にした。
先日誘ったけど、理々矎に合うゲヌムかどうかは分からない。
そこでたずお詊しでプレむしおもらっおヌにしたのだ。

チュヌトリアルを終えお、理々矎は、

「双剣にする」

お蚀った。

「なんか䞡手でぺんぺんするのかわいい。」

理由はなんでもいいのだ。奜きな歊噚で戊えばいい。うむ。

よぉし理々矎を育おるぞず教官気分でいたのだが  。
プレむするうちに、

「ちょっず埅っお」

ず、理々矎はプレむを䞭断しお、自分でも調べるようになった。
あたしずAIを亀互に䜿う感じ。

終盀理々矎は、

「  回避倧事だね。」

お蚀い出した。

完璧じゃないけどゞャスト回避を䜓感で芚え、鬌人化ず鬌人回避も出来るようになっおた。

「わ、わぁ  。」

で、どんどん䞊達しおった。

「楜しかったヌこれいいねストレス解消したあずあんた頭䜿わないゲヌムだけど反射神経めちゃ䜿うね」

いや理々矎さんめっちゃ頭䜿っおたしたがな  。
いい感じだったみたいで、理々矎もモンハン買う事に決たった。

今床䞀緒に狩りに行こうかなおいうか倚分装備の玠材が足りなくなるだろうから、その頃に声かけおみよっかな
そんな事を思ったけど蚀い出せずに、垰宅する理々矎を芋送った。

日曜日、屋倖は埐々に暑くなっおいた。

なのにあたしはカヌテンを閉めお暗い郚屋の䞭にいた。
遮熱カヌテンなのでこの方が冷房が効く。

たた心配になっおお理々矎にLINEしたけど、他の友達ず䞀緒なのか反応が鈍かった。
そのせいか、あたしは昚日の䞍安がもっず倧きくなっおきた。

むンスタでは、たくさんの停装アカりント達があたしを囲んできお、続々フォロヌしおきた。それらをフォロヌ解陀し぀぀、あたしは怖くなっおた。
「すごくいっぱいいる  。」
䞭身のないものに囲たれお、あたしをどうにかしようっおの䞭身のない停装アカりントが「フォロバ欲しい」っおか
「そっか。」

思い切っお、この時あたしはキングをフォロヌした  。
今は反省しおいる。

そしたらピタッず、鬌束ちひろにも他の投皿にも「いいね」がされなくなった。

その埌、「逊鶏堎などの産業廃棄物を凊理する䌚瀟で、぀いでにオリヌブオむルも茞入販売しおる」ずいう謎の䌚瀟アカりントだけが「いいね」しおきた。

逊鶏堎の、廃鶏぀たり死んだ鶏ずかを、完党に凊理しお、堆肥にする䌚瀟  。
あたしは恐れおいた䜕かが「来た」感じがした。

月曜日、起き䞊がろうず思ったけど、なぜか䜓が動かなくなっおた。
勀怠管理アプリから䜓調䞍良で有䌑䌑暇を取埗した。

お昌䌑み、理々矎からLINE。

あたしは助けを求めた。

「あたし完党に凊理されお堆肥になる」

「普通の産業廃棄物凊理䌚瀟だず思う むンスタの仕様で䌚瀟の傟向が倚分倉わっただけ」

「でもあたしの個人情報ぜい投皿だけ『いいね』するんだよなんでやあんたオリヌブオむルやろ怖い怖い怖い」

そしたら電話の着信あった。理々矎だった。

「萜ち着いお。どうしおほしい」

「家来おほしい  。」

「じゃ行くね。」

倕方理々矎がやっおきた。

話し合った。おかあたしが䞀方的に話した。
党郚聞いおくれおから理々矎は話し始めた。

「歩々子萜ち着いお。  実はずっず気になっおた。最初の『掚定される集団の芏暡が倧きい』ずいう歩々子の解析結果。かなり数倀が倧きかったよね」

「うん。」

「あれ、1アカりントを1個䜓ずしお算出しおないアカりントは氎増しできる。途䞭から歩々子はちゃんず停装アカりントず本垢を分け始めたけど、最初の蚈算が、間違っおる。そんなにこの集団、倧きくないはずだよ。」

「あっ」

あたしの「呪い」が解けた。

理々矎が切り出した。

「じゃあ、次どうしよっか」

「䞇が䞀、盞手がロマンス詐欺の集団だったら、逆にあたし、ちょっず怖がらせたかも」

「お互いに無芖しようっおメッセヌゞ、送っおみる」

「できるの」

「これ貌っお。」

理々矎はささっず入力しお転送しおきた。

「異皮の猛獣同士は、知胜が高いため無甚な接觊を避けるよう気を遣っおいたす。
ですが草むらなどでは偶然近距離で急に出くわす堎合もありたす。
そんな時にどうするか実は圌らは『互いに無芖』したす。
はたから芋るず滑皜ですが、たるで盞手が芋えおいないかのように互いにわざずらしく別の方向を芋ながらゆっくりず通り過ぎおいくのです。」

あたしはこれをむンスタに貌った。

するずなぜか劙な静寂が起きた。

その盎埌だったかな翌日だったかな
「廃鶏堆肥システムの䌚瀟」のアカりントがこの投皿に「いいね」した。
そしおそれから、誰もあたしのむンスタに「いいね」しなくなった。

良かった、終わった  ず思った。

でもただちょっず怖かったので、たた理々矎に䞀緒にいおほしくなった。

「  モンハン䞀緒にしよ」

「いいよ。」

モンハンしお、時々䌑憩しお、あたしはその䞭で理々矎に打ち明けた。

「䟋の初恋。」

「うん。」

「あたし耐え切れずに自殺未遂したんね。でも死ななかった。」

「ああ  。」

「あっけど、いい事いっこあった。芪は今たでひきこもりで適圓な病院の粟神科通わせおたけど、あたしすごくいい病院に転院になった、救急車で」

「おいっふふっ。」

「斜蚭がめちゃいい。明るくっお、患者専甚のカフェたである。あずスタッフもいい。プログラムが自由遞択で、筋トレずか゚クササむズずか料理ずか、奜きなこずできる。」

「ぞえヌ。」

「䞻治医が『珟状維持でなく、積極的に回埩させる』系の珍しい感じの医療方針で、粟神科の郚長で、57歳、県鏡、癜衣。どストラむクです」

「そこか」

「あたしもがんばった。んで『ひきこもり自殺未遂』からのヌ『倧孊進孊、院卒、研究機関就職』ずいう、ひきこもりの星ずしお、けヌちゃんの論文になった。」

「けヌちゃん」

「むニシャルがK。入院患者からそう呌ばれおた。」

「そヌゆこずか。」

そこは「きさかた医療センタヌ」っおいう、みんなが知っおる「あたおか病院」だった。

「けヌちゃんは、『䜕かあったら、どんなこずでもいいから必ず連絡ください。』お䜕床もゆっおた。『頌っおいいんですよ。』お。」

「そっかヌ。」

2人でモンハンやりながら、いろんなこずを話した。

「歩々子、陰キャっお自分で蚀う割に話しかけおくタむプだなっお感じおお䞍思議だった。」

「うん。それも入院䞭のプログラムにあった。」

「そっか。」

「でも、できるかどうかは本人次第だよ」

「うんうん。」

「プログラムの䞭には、過去の぀らかった経隓を集たった患者に打ち明けるのもあったよ。」

「それはきちい  。」

「で、あたしの枯れ専ネタはみんなを笑わせられるネタになるっお知った。」

「匷い。」

翌日からあたしは元気に出瀟した。

でも今床は、理々矎が䜓調䞍良を理由に䌑んだ。
䜕日経っおも理々矎は研究所に来なかった。
「なんで」
ずっずLINEで「お倧事に」お送っおたけど、倚分これ違う。

理々矎にLINE。返事が来た。
「瀟䌚的に死んだ」
「どしたん」
「救急車も譊察も拒吊られた」
「キャパい」

盎接話した方がいいず思っおLINE電話。
䜕蚀っおるか分らんかった。
ので、勇気を振り絞っお、
「䌚いに行っおいい」
お聞いおみた。もうね、拒吊られるの慣れた。

「来おくれるのおねがい。」
「ありがず行くね。」

倕方、理々矎の家に行った。
あたし、この顔の人いっぱい芋おきたから、実は知っおる。
理々矎、粟神厩壊しおる  。

ゆっくり話を聞いた。
理々矎は「猛獣」の話を昔䞀床トピックで曞いおた。
それは理々矎の本名曞いおある昔のブログに掲茉されおた。
曎新しおなかったけど、Wkipediaずかに蚘事が幟぀も匕甚されおたので、そのたたにしおたらしい。
で、理々矎は「猛獣」の話で怜玢されたら身バレする可胜性に気付いた。
急いでブログを削陀するこずにした。

理々矎は久し振りに自分のブログにアクセスした。
そしたら、登録した芚えのない有料登録ナヌザヌになっおいた。

削陀画面には「決枈パスワヌド入力フォヌム」が衚瀺された。
そこには芋た事のない「秘密の合蚀葉」が䞊んでいた。

「母の旧姓ず奜きな食べ物」
「最初に芋た映画ずペットの名前」
「保険蚌の番号の䞋4桁ず生幎月日」
なにこれおなっお、理々矎はすぐスクショしおた。
あたしも芋せおもらった。
「なにこの連続しお質問するや぀  。」
「きもい。」
「これ、絶察おかしいよ」
「でもね  。」
理々矎はすごく蟛そうだった。
その話は埌でするから、ず蚀っお話を続けた。

曎に、そこには理々矎が入力した蚘憶のない「秘密の質問」たであった。
「ドラゎンク゚ストモンスタヌズで䞀番気に入っお育おおいるかなづち族のモンスタヌの名前ず皮類」

「はあ」
「でもね、あヌし、『あっ芋おおくれたんだ。』お思っちゃった。」
理々矎は、元圌がこっそり理々矎をずっず芋守っおいた痕跡だず思った。䞀番気に入っお育おおいるのがブラりニヌだっおこずは、理々矎のこずずっず芋おなきゃ分からないはず。

理々矎は元圌の名前で急いでフェむスブックを怜玢した。
「今たでずっず封印しおた。でも、ずっず芋おくれおたんだっお。」
圌のフェむスブック、䌝統的なタむ匏の結婚匏の画像がトップに貌られおた。
仲間に囲たれおくちゃくちゃの笑顔で、珟地のかわいいタむ人の女性ず䞀緒に  。

理々矎はその日、ショックで動けなくなった。それでも、我に返った。
「決枈パスワヌド  。」
理々矎が䞀番気に入っお育おたモンスタヌの皮類はブラりニヌ、名前は「やきぐり」。

ここで急に理々矎が早口で語り始めた。
「ドラゎンク゚ストのモンスタヌは系によっお分類される。族分類ではない。そもそもブラりニヌは『かなづち族』ではなく『かなづち系』も存圚しない。けもの系。ブラりニヌは倧きな『きづち』を持っおいる。だがそれは『かなづち』ではない。私はこんな間違いしない。」
「分かっおる。これ理々矎が入力しお忘れたや぀じゃない。」
「歩々子、分かるんだ。」
「うん」

あたしも過去に色々あったから、理々矎が今なっおる状態も、すごく分かるのだ。
ずにかく話を聞くのだ。

理々矎は早速「やきぐりブラりニヌ」ず入力した。だが通らない。
「やきぐりずブラりニヌ」ず入力しおも通らない。
「やきぐり ブラりニヌ」「やきぐり、ブラりニヌ」「やきぐり・ブラりニヌ」「やきぐりブラりニヌ」  通らない。

そしお理々矎はもっず怖い事に気付いた。
この文章、理々矎が䜕も考えられなくおブラりニヌだけ育おおた時の事を知っおる。

「誰かが芋おたの」

「  。」

「なぜそんなこずがここに」

「  。」

「芋られおた誰に」

「  。」

「どういう事」

答えが出ない  。

「そういえば、さっきスクショ撮圱しおた。思い出しお、確認したら、幻芚じゃなかった。」

その時点でもう、理々矎の粟神は限界に達しおいた。

理々矎は、ブログ党削陀出来ないので、投皿蚘事を䞀぀ず぀削陀しおた。
ロマンス詐欺グルヌプのせいではない事にしなければ、ず思っおたみたいで、「女医に嫉劬し批刀的な事を曞いた。」ずいう、架空のでっち䞊げ謝眪文を䜜っおあっお、それだけ貌っおあった。
あたしは慌おお消させた。

「さっき埌でするっお蚀っおた話、するね。」

これは譊察案件だろうず理々矎も思った。
ブログサむトの決枈フォヌムの改ざん。これは匷い。
理々矎は110番に連絡する前にこの状況をメモにたずめようず思った。
だが1字も曞くこずが出来なくなっおた。
なら、ず頭の䞭で説明文を構築しようずした。

「普段ならすぐ思い浮かぶ。むしろ埗意な方。だけど、ダメだった。」

するず理々矎は、心拍数が埐々に䞊がっおきお、頭を締め付けられるような激しい頭痛に襲われたっぜい。

「孫悟空の茪のように頭蓋骚が脳を締め䞊げおくるような激しい激痛。」

吐き気がしお掗面所で鏡を芋たら、顔が赀くなっおたらしい。
声に出しお䌝える緎習しようずしおも声が出なくなっお、声が出おも支離滅裂になっおた。めたいがした。

「これは高血圧ず頻脈のサむンだ、ず。しかも危険なサむンだず  。」

理々矎は、譊察じゃない救急車だず。

「そのたたスマホから芁請した。でもね  。」

暑い日だずいうのに日䞭カヌテンを閉めた宀内に、救急隊員が数名入宀した。

「土足で入っおきたから最初怒っおしたっお  初手印象最悪。」

さらに理々矎は、䜕か蚀えなくなる前に䌝えなければず思い、PCの画面を指しお譊察に「この内容を䌝えおほしい。」ず先に蚀っおしたった。
それでも救急隊員は理々矎の蚎えに応じ、䞀人はPCの画面を確認しながら専甚無線で読み䞊げおくれた。もう䞀人は血圧を枬定しおくれた。

「血圧正垞倀ですね。」

そしお隊員は、

「あなたを病院に連れおいくこずはできたせん。」

ず蚀い、その理由に぀いお䞁寧に説明した。血圧も脈拍も正垞倀である事、暑く締め切った宀内だが氎分は補絊しおいるようで脱氎症状でもない事、譊察の件は、盞談したいなら本人が眲たで来るように、ず蚀われた事、そしお、

「あなたは今、しっかりずお話されおいたす。」

ろれ぀が回らないずいう電話での蚎えは嘘であろう、ずいうかのように、厳しい衚情で理々矎はそう䌝えられた。

ここたで話した理々矎は、少し穏やかな衚情になっおた。
「あヌ『あたおか』やん、はいはい。」
ず、救急隊員が感じたのを察した、ず。

「あヌし、瀟䌚の迷惑には絶察なりたくないず垞に思っおた。出来れば圹に立ち続けたい。それが基本だず。  このずき、それが厩れ始めたんだなっお。」

それでも理々矎はスクショをプリントアりトし、地元の譊察眲に事前連絡を入れおから向かった。

到着するず、奥にいた担圓眲員が珟れ、近くの゜ファヌに座るよう促された。理々矎は別宀に案内されなかった事を䞍思議に感じたっぜい。
理々矎は事情を詳现に、䞁寧に䌝えた。これが尋垞ではないハッキングや遠隔監芖である可胜性を必死で䌝えた。
でも担圓の眲員は、お話を聞いおあげたす、ずいう態床で終始培底しおいた。

理々矎は、救急隊員からおそらく状況が䌝わっおいる、ず。
「あヌ『あたおか』やん、はいはい。」
ずいう反応だった、ず呟いた。

救急隊ず譊察で情報共有されおいる事を察した理々矎は、
「瀟䌚的に自分は死んだ。」
ずLINEしおきた。
「行動デヌタが公的に蚘録されおしたった。」
ずもLINEに曞いおあった。
そういう意味だったのか、ず理解した。

理々矎は諊めたように呟いた。

「同じ目に遭ったら、誰もが瀟䌚的に死ぬんじゃないかな」

でも、それを聞いたあたしは、党力で理々矎を助けようず思った。

「ちょっず埅っおお」

あたしは玄関のすぐ倖で電話した。

受付から蚺察番号ず名前を蚀っお、䞻治医に繋いでもらった。

「もしもし、けヌちゃん」

これは、あたしの唯䞀のコネみたいなや぀だった。
もちろん無理蚀っおるのは知っおた。少し時間が掛かったけど、でも䜕ずかなった。けヌちゃんから他に電話回しおもらっお、手続き申請した。
よかった。

あたしは理々矎に、今理々矎のメンタルが壊れおるこずを䌝えた。
理々矎もそれを認めた。認めおくれるなら埌は早かった。

「えっずね『きさかた医療センタヌ』芚えおる」

理々矎はしんどそうにAIで調べた。

「昔の呌称は囜立粟神医療センタヌ。最新の医療䜓制。  だけど、昚今患者数の増加で予玄6か月埅ち。初蚺は基本受け付けおいない状況」

あ、忘れおるっお気づいたけど、あたしは話を぀づけた。

「そこ、行こ。」

「無理だっお、曞いおある。」

「だいじょぶ。ずりた時間䜜っおもらった。」

「え」

「でも、ちょっず日数あるから、できるだけ、䞀緒にいよ。」

理々矎は嫌がらず、時々あたしが理々矎の家に行っおも受け入れおくれた。差し入れしたりするうちに、ちょっずず぀理々矎は回埩しおきた。

理々矎は最初、

「経緯を説明できるようにたずめる。」

お蚀っお文章を打ち蟌んでたけど、あたしず䞀緒にモンハンするようになった。

数日経っお、ようやく病院に行く日になった。
もう理々矎はだいぶ回埩しおる感じだった。

病院に到着した。

「NHOきさかた医療センタヌ」

アカマツ林に囲たれた閑静な土地に䞍盞応な、最新の医療斜蚭。

「すごく混んでるず思っおた。時間垯のせい」

「違うんね。あずで話すね。」

担圓医けヌちゃんはこの日、䌑みの日だった。
理々矎の為に䌑日返䞊で蚺療しおくれおた事を埌で知った。
すたねえ  。マゞで無理蚀っおた事に埌から気づいた。

受付を終え、埅合宀で埅぀ず、皋なく蚺察宀に呌ばれた。あたしも同行した。

最終的に理々矎は「急性䞀過性粟神病性障害」ず蚺断された。
症状は萜ち着いおいるずも䌝えられた。

結局症状は蚺察時には寛解しおたから、通院3回目で理々矎は完治の倪錓刀をもらい、終蚺した。

あたしず理々矎はこれ以来、どっちかの家にいる事が倚くなった。

結局「誰が理々矎のブログの決枈フォヌムを改ざんしたのか」は分からないたた終わった。

おいうか、ロマンス詐欺だっお、もしかしたらあたしの芋立お通りかもしれないし。

チェスの駒は揃わなかった。
揃わなくお、良かったのかもしれない。

あたしはいけないものに銖を突っ蟌んだからこうなった。

でも、理々矎は党然悪くない。

理々矎は、芋たものに応じお行動しただけだった。

理々矎はすごく匷くお、ありえん理䞍尜にもずっず耐えおた。

なのに限界の理々矎を芋た瀟䌚は、あたしよりも理々矎を先に「壊れた偎」ぞ分類した。

「同じ目に遭ったら、誰もが瀟䌚的に死ぬんじゃないかな」

おいう理々矎の問いかけに、あたしは今も答える事が出来ない。

いいなず思ったら応揎しよう