バショーのあとがき「私とガンダム。第2話──アムロ推しだった少年」

 SDガンダムと違い、アニメ版ガンダムには縁のなかった私だが、ある作品で一変した。
 みんな大好き「逆襲のシャア」である。

 テレビで流れた逆シャアのCM。衝撃だった。落ち着いた色合いがカッコいいガンダム。歌がナウくて(死語)カッコいい。それまでの私が知るガンダムはSDのかわいい頭身。頭身の高いνガンダムのなんとカッコいいことか!
 CMで流れていた主題歌「BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)」は、小学生当時には何と言っているのかさっぱり分からなかったが、「ララランランラン♪ララランランラン♪ララランランランラン♪」とノリノリで脳内エンドレスに流れていたのは言うまでもない。

 そんな憧れた逆シャアであるが、実は当時、映画を観に行った訳ではない。公開から数年後、叔父に連れて行ってもらったレンタルビデオ店で逆シャアを見つけ、借りてもらった。生まれて初めて最初から最後まで観る事ができたガンダムが、「逆襲のシャア」だったのである。

 何度も何度も観た。

 正直なところ、当時の私にはMSが戦うところ以外はサッパリ分からなかった。
 アムロとシャアが何を言っているのか。アクシズって何?ロンド・ベルって一見弱そうに聞こえるけど、よくよく聞くとカッコいい名前だなあ。目のつぶらなおじさんが終始不機嫌そうに、「何やってんの!」とか言ってて、大人は大変だなあ、と思ったりもした。さっきまで喋っていた目立つ人が突然戦死して、「え、死んだの?」と驚いたりもした。それまでコンバトラーVとかパーマンとか、人間の生き死にを考えることの少ないものしか縁のなかった自分には、ガンダムは衝撃だったのである。
 そして、逆シャアの少年少女代表とも言うべきハサウェイとクェス。当時の私とほぼ同年代であり、親近感があった。特にクェスは可愛かった。あえて言おう、当時から今まで推しキャラであると!
 
 また、偶然にもレンタルCDで逆シャアサントラを見つけた時は興奮した。アニメサントラなるものの存在を初めて知ったきっかけだった。
 それもひたすら聴いた。
 それまでオーケストラなど、音楽の授業で興味なく聴くものだったが、逆シャアサントラは違って聞こえたものだ。逆シャアBGMを聴くだけで映像が甦り、大人な自分を感じすらした。今思えば、これが私のニュータイプとしての発現だったのかも知れない。うん、そうだ、そうに違いない。多感かつ思春期な中学生時代、私の脳細胞は逆シャアで成長、構成されていったのである。

 Xで大佐と呼ばれている私だ。昔からシャアが好きだったんだろうと思う人は多かろう。ところが、そうではない。当時の私はシャア推しではなく、アムロとνガンダム推しだった。サザビーの圧倒的な威圧感、そして何よりモノアイは不気味な雰囲気があり苦手だった。当時の私はヒロイックな見た目が好きな、ジオンよりも連邦系デザインが好きな子供だった。
 すまんな、期待を裏切って。
 だが、考えてみて欲しい。
 シュッとしてカッコいいが、地球に隕石を落とす金髪の外人みたいな人より、日本人のような顔立ちで声はペガサス星矢、敵に囲まれても次々に撃破、最終的に隕石落下を命懸けで阻止する人。どちらに惹かれるか当時少年だった私には、アムロが正しくヒーローに見えたのだ。

 まさかそんな少年が40年近く後になって、毎朝、「おはよう諸君」などとSNSで挨拶して日記を公開し、見ず知らずの人達から、「大佐!」と呼ばれるようになるとはな。

 人生とは何があるか、どう進むか分からないものである。

 では今回はこの辺で。

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