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夏の土用に、よもぎ粥を食べるという贅沢

「土用の丑の日」と聞くと、多くの人はうなぎを思い浮かべます。

もちろん、それも日本の大切な夏の風景です。

でも昔の日本では、季節を元気に過ごすための知恵は、うなぎだけではありませんでした。

庭や野原に生えている草もまた、季節を乗り切るための大切な食べ物だったのです。



「土用」とは、季節の変わり目を意味する言葉です。

特に夏の土用は、一年で最も暑さが厳しく、体力を消耗しやすい時期。

だから昔の人は、「何を食べるか」をとても大切にしていました。

現代のようにサプリメントはありません。

自然そのものが薬箱でした。



その代表が、よもぎです。

春の野草という印象がありますが、よもぎは夏にも力強く育ちます。

日本では古くから

「食べる薬草」

とも呼ばれ、お餅に入れたり、お茶にしたり、お風呂に入れたりと、暮らしのあらゆる場面で活用されてきました。

独特の香りには、暑さでぼんやりした気持ちをすっきりさせるような心地よさがあります。



そんなよもぎを、お粥にしていただく。

それだけで、不思議と体が静かに整っていくような気がします。

よもぎ粥の作り方

材料(2人分)

・米 1/2合
・水 500〜600ml
・柔らかいよもぎの葉 10〜15枚ほど
・塩 少々

作り方

1. よもぎは若く柔らかい葉を摘み、よく洗います。
2. 熱湯で30秒〜1分ほどさっと茹で、冷水に取ります。
3. 水気を絞り、細かく刻みます。
4. 米を水でゆっくり炊いてお粥を作ります。
5. 炊き上がる少し前によもぎを加え、軽く混ぜます。
6. 最後に塩で味を整えたら完成です。

苦味も優しく、夏の朝にも食べやすいお粥になります。



私は、野草を食べることは「自然をいただく」ことではなく、「季節と会話をすること」なのだと思っています。

暑い日は冷たいものばかり欲しくなります。

けれど、胃腸は少し疲れているのかもしれません。

そんな時に、温かいよもぎ粥をゆっくり食べる。

それは栄養を摂るだけではなく、「無理をしなくていいよ」と体に伝える時間でもあります。



日本には「旬を食べる」という文化があります。

その季節に育つものを、その季節にいただく。

それは、自然のリズムに自分を合わせる生き方でした。

土用の丑の日は、うなぎを食べる日として知られています。

でも、その奥には「暑い夏を知恵で乗り切る」という、日本人らしい季節との付き合い方があります。

庭に生えている一株のよもぎも、その知恵の一つ。

何気なく見過ごしてしまう草の中に、何百年も受け継がれてきた暮らしの記憶が眠っているのです。


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