第59回 2億り人になっても、やっぱりFIREできない

「2億円あれば、さすがにFIREできるだろう」

そう思う人も多いかもしれません。
しかし、現役世代では、総資産2億円になっても、実際にはまだ完全なFIREは難しいのではないでしょうか。

もちろん、引退世代が質素に暮らすのであれば、2億円は十分大きな資産です。

例えば、住宅ローンを完済して1億円を手元に残したとします。この1億円を全額オルカンなどで運用すると、仮に年5〜7%のリターンなら、年間500〜700万円程度になります。
住宅費がかからなければ、生活すること自体は可能でしょう。

ただ、この額では、ブランド品を買ったり、海外旅行に行ったりなどの贅沢な生活は出来ません。
さらに、贅沢な生活はしなくとも、子どもの学費を払うだけで、それほど余裕はありません。

しかも、株式は毎年5〜7%で安定して増えるわけではありません。大きな暴落が起こる可能性もあります。
そのため、すべて株式に投資して、その運用益だけで生活する、というのも現実的ではありません。
現金などの安全資産も確保する必要があるため、実際に運用できる金額はさらに少なくなります。

ここ数年のように株価が大きく上昇した時期には、資産を一気に数億円まで増やした人もいるかもしれません。
しかし、今後も同じようなリターンが続くとは限りません。

そう考えると、現役世代なら、2億円あっても仕事を続けたほうが安心です。

ただし、『2億円から世界が変わる』

2億り人になっても意味がないのかというと、もちろんそんなことはありません。
むしろ、ここから資産形成は一気に楽になります。
住宅ローンを完済していれば、家賃やローンの負担がありません。

さらに、投資によって生活費の大部分を資産から生み出せるようになります。
つまり、給料の多くを使わずに、そのまま資産形成に回せるようになります。
そのため、最初に1億円を作るまでよりも、1億円から2億円に増やすほうが、はるかに早くなることも珍しくありません。

「お金がお金を生む」という状態が、かなり現実的になってくるからです。

そして、ここまで資産が増えると、無理をする必要もなくなります。
借金でレバレッジをかける信用取引や不動産投資などを、あえてやる必要はなくなります。
また、体を壊すほど働いて収入を増やす必要もありません。
仕事を続けるとしても、以前ほど「お金のために働く」必要がなくなります。

つまり、2億円はFIREのゴールではないかもしれませんが、経済的な余裕を手に入れる大きな分岐点ではあるのです。

『最大の問題は、やはり住宅』

現役世代のFIREを難しくしている最大の要因は、やはり住宅です。

都内では今、1億円出しても、それほど広い家を買えるとは限りません。
広めのマンションなどを購入すれば、2億円の資産のかなりの部分、場合によってはほぼ全部が住宅に消えてしまいます。

住宅は生活に必要ですが、自分で住んでいる限り、基本的にはお金を生みません。
2億円の資産があっても、その大部分が住宅になってしまえば、FIREに使える金融資産は少なくなります。

だからこそ、
郊外に住むのか。
狭い家で我慢するのか。
それとも、もっと稼いで資産を増やすのか。

この選択が非常に重要になります。

「2億円あればFIRE」というほど、現実は簡単ではありません。
むしろ、2億円あたりまで資産を増やして初めて、「もう無理なことをしなくてもいい」という段階に入るのかもしれません。

真のFIREは、想像しているよりずっと大変です。
ただ、2億円まで到達すると、FIREできなくても、人生の選択肢は確実に増えてきます。

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