鈴木涼美『「AV女優」の社会学 増補新版』――AV・セックスワークを考える視点として
以下、鈴木涼美『「AV女優」の社会学 増補新版』から引用である。原著刊行は2013年で、元となった参与観察はSNS以前のブログ全盛期に行われたものである。この分析はAV女優やセックスワーカー一般を対象としたものではなく、主体性・自由意志を強調するタイプの主張と関わるものだ。
そして、鈴木涼美が本書で強調するように、この分析は、AVやセックスワークを強制か自由意志かの枠組み(だけ)では語れないことを明らかにしている。以下の引用そして本書は、日々SNSで自己呈示・表出を求められる/求めるようになったAV出演者の発信を読解する上でも有用。
「現役のAV女優がたとえばSNSなどで男女や年齢を問わずファンを獲得するのを、あるいはAV新法と呼ばれる法律の制定において積極的に意見や情報を発信するのを……誇り高き彼女たちがなぜそのようであるのか、彼女たちがなぜ饒舌に語るのか」(鈴木涼美『「AV女優の社会学 増補新版」』)
— Masanobu Usami (@usamimn) June 25, 2023
「AV女優の仕事は、『AVに出演する』という単発的なものではなく。継続的に『AV女優』になることである」
「性の商品化に携わる者としてのAV女優の姿は、彼女たちが『AV女優になる』ことによって自ずと習得されてしまうものである」
「AV女優の仕事をする理由、というのは、途中から希求されるようになるものである」
「いくつかの契機を経て、AV女優は自分がAV女優をやっている理由を探索し出す」
「面接やインタビューで常に『AV女優になった理由』に関する問いを向けられている彼女たちは、常々その場に対応して作り出してきた答えを手がかりに、自分が『AV女優である理由』に関するヒントを得ていることがしばしばあるようなのだ」
「それ〔インタビューで語られた動機〕が事後的に内面化し、実際に彼女たちのものとなっていくことがある。ありのままを語っていたわけではないのに、事実が語られる言葉に寄り添うようになり、結果として語られる内容と現実の彼女たちの意識が一致してくる」
「動機や自分語りを希求しているのは、AV女優自身でもある」
「再就職や結婚に対して……漠然とした不安や疑問を、他者から改めて尋ねられ、業務上、何かしら答えなければならない状況、というのは、彼女たちにとって極めて重要な機会となりうる」
「しっかりした動機を持ち、明るく仕事をしているAV女優というのは、①視聴者の欲望に応え、②AV女優たち自身のストレスを軽減し、③良い作品を作ろうとするスタッフの願望を叶える、というそれぞれのニーズに応じた、非常に合理的な存在なのである」
「彼女たちが業務の一環で自由意志になっていくと同時に、本来的な意味で、『明確な動機を持った自由意志で働く女性』になっていく」
