鈴木涼美『「AV女優」の社会学 増補新版』――AV・セックスワークを考える視点として

以下、鈴木涼美『「AV女優」の社会学 増補新版』から引用である。原著刊行は2013年で、元となった参与観察はSNS以前のブログ全盛期に行われたものである。この分析はAV女優やセックスワーカー一般を対象としたものではなく、主体性・自由意志を強調するタイプの主張と関わるものだ。

そして、鈴木涼美が本書で強調するように、この分析は、AVやセックスワークを強制か自由意志かの枠組み(だけ)では語れないことを明らかにしている。以下の引用そして本書は、日々SNSで自己呈示・表出を求められる/求めるようになったAV出演者の発信を読解する上でも有用。

「AV女優の仕事は、『AVに出演する』という単発的なものではなく。継続的に『AV女優』になることである」

「性の商品化に携わる者としてのAV女優の姿は、彼女たちが『AV女優になる』ことによって自ずと習得されてしまうものである」

「AV女優の仕事をする理由、というのは、途中から希求されるようになるものである」

「いくつかの契機を経て、AV女優は自分がAV女優をやっている理由を探索し出す」

「面接やインタビューで常に『AV女優になった理由』に関する問いを向けられている彼女たちは、常々その場に対応して作り出してきた答えを手がかりに、自分が『AV女優である理由』に関するヒントを得ていることがしばしばあるようなのだ」

「それ〔インタビューで語られた動機〕が事後的に内面化し、実際に彼女たちのものとなっていくことがある。ありのままを語っていたわけではないのに、事実が語られる言葉に寄り添うようになり、結果として語られる内容と現実の彼女たちの意識が一致してくる」

「動機や自分語りを希求しているのは、AV女優自身でもある」

「再就職や結婚に対して……漠然とした不安や疑問を、他者から改めて尋ねられ、業務上、何かしら答えなければならない状況、というのは、彼女たちにとって極めて重要な機会となりうる」

「しっかりした動機を持ち、明るく仕事をしているAV女優というのは、①視聴者の欲望に応え、②AV女優たち自身のストレスを軽減し、③良い作品を作ろうとするスタッフの願望を叶える、というそれぞれのニーズに応じた、非常に合理的な存在なのである」

「彼女たちが業務の一環で自由意志になっていくと同時に、本来的な意味で、『明確な動機を持った自由意志で働く女性』になっていく」


いいなと思ったら応援しよう!