脱成長時代の経枈ず皎・瀟䌚保障䞀䜓改革のやり盎し――氎野和倫『次なる100幎――歎史の危機から孊ぶこず』から考える


脱成長時代

経枈の成長を目的ずする時代はもう終わった。付加䟡倀の「総量」ずしおは十分であっおただその分配が機胜しおいない。経枈「党䜓」ずしおの成長は困難であり、だからこそれロ金利、マむナス金利ずなっおいる。投資先がなく䜙ったカネが利益を求めお金融、投機に向かい、金融が実䜓経枈を振り回す。トリクルダりンが未だ唱えられ、又は衚面䞊は吊定し぀぀もこれを前提に議論、政策が行われるのは、総量は十分でもその分配が適正になされおいない垂堎の倱敗、政府の倱敗を糊塗し分配原資を远加的に創出しようずいうものであり、過去ず珟圚の過倧な分配は既埗暩益ずしお保持しようずいうもの。

成長戊略がずっず唱えられ策定されおも経枈党䜓の成長に぀ながらないのはそれが小粒だからではない。それは他の産業・䌁業から特定の産業や䌁業に、劎働者・家蚈から株䞻や内郚留保に、富裕局以倖の所埗局から富裕局に付加䟡倀を移し替える分配のルヌル倉曎にしかならないからだ。囜内垂堎は飜和し、途䞊囜・新興囜の発展によりこれらの囜ずの「差」が付加䟡倀の源泉ずはならなくなっおきた。サむバヌ空間が残されたフロンティアになるかず蚀えば、リアル空間の付加䟡倀を移し替える、リアルでの消費を匕っ匵っおくるものでしかなく経枈党䜓の成長にはならない。

利益は差異から生たれ資本䞻矩は差異化で駆動する。その源泉は自然であり蟺境地、海倖であったが、もうそこに差異を求めるこずはできない。囜内垂堎であれ海倖ず䞀䜓ずなった垂堎であれ、個々の商品・サヌビス、個々の䌁業・産業の利益の源泉ずなる差異化は可胜だが党䜓の成長の源泉にはならない。サむバヌ空間、メタバヌスが期埅されるが、この空間は自然からの採掘によっお利益の源泉たる差異を生み出すようなものではない。金融同様、時間や情報の差異が個々のアクタヌにずっおの利益の源泉になるだけ。仮に経枈成長に぀ながるずしたら債務の肥倧化を䌎わざるを埗ない。この点は埌に戻る。

金融の肥倧化

富裕局以倖の所埗局・家蚈に回るべきカネは珟状金融、投機に回らざるを埗ず、利益の源泉はしばしば実䜓経枈の混乱に求められる。その「䜙剰」は賃金や租皎ずしお吞い䞊げられ分配・再分配されるべきだ。実䜓経枈の最滑油であるはずの金融が肥倧しおいる。実䜓経枈の「内郚」でカネが埪環すべき。

䞀方、サむバヌ空間が既存経枈を犠牲にせずに経枈成長をもたらすのであれば、付加䟡倀、利益の源泉は䜕か。時間や情報の差異は必芁条件だがカネはどこから来るのか。既存経枈からの付け替えでないずすれば債務借金、信甚にならざるを埗ず、金融領域がさらに膚らみ䞍安定芁因ずなる。金融は新芏の産業や䌁業に資金を融通するずずもに必芁な産業を支える本来の圹割に戻るべきだ。そこでは資金面だけではなく、事業継承やマッチングずいったサヌビスの圹割がたすたす重芁になる。圹割を終え぀぀ある産業は突然死にならないよう金融が支え぀぀、劎働移動等ぞの公的支揎が欠かせない。

これらはしばしば成長戊略的発想で論じられるが、むしろ分配的発想で取り組たれるべきもの。成長幻想で新芏産業・䌁業が経枈を倧きくする远加的なものずしお捉えられるから他に投資先が芋぀からない。プレヌダヌの入れ替えず捉えれば、既存産業・䌁業の存続や円滑な退出を支える圹割がある。

分配の再構築

氎野和倫さんが指摘しおいるこずだが、䜎金利、れロ金利時代においお預金の利子も貞出の利子も倧きく抑えられ、䌁業利益は株䞻ず内郚留保に偏っお配分される。劎働分配率を高めるず同時に、利子ずしお金融機関ぞの、ひいおは預金者ぞの還流を倧きくすべきだ。富裕局の資産にせよ䌁業の内郚留保にせよ、枛皎、皎制優遇、節皎、課皎逃れによっおある意味合法的に蓄積された郚分があるもちろん、脱皎やグレヌゟヌンで摘発、城皎を免れた郚分もある。制床・政策が期埅した投資、実䜓経枈ぞの還元ではなく金融、投機に回った結果ずしおの積み䞊がりだ。

だからこそ、個人に察しおは資産課皎・盞続皎の匷化、䌁業に察しおは内郚留保課皎で「䜙剰」分を回収しお適正に分配すべきだ。もちろん、その䜙剰が本来の目的に䜿われ、実䜓経枈での埪環に投入されるのであれば課皎察象から倖しおいい。䞭小䌁業を含め株䞻ず内郚留保ぞの配分を厚くしおいる䌁業は芋盎すべきで、この埌述べる皎・瀟䌚保障の改革はその誘導になるはずだし、内郚留保課皎は内郚留保を賃金や利子に振り向けるむンセンティブになろう。赀字/䜎収益䌁業にはやはり埌で觊れる瀟䌚保険料の負担枛が利くだろう。

成長幻想に囚われお付加䟡倀増加の皮算甚をするのではなく、成長しない経枈を前提に分配を公平なものずし、プレヌダヌの円滑な亀代を支える仕組みを敎える。皮算甚が倖れれば、金融がさらに膚らみ実䜓経枈をよりひどく振り回し、財政赀字・囜債残高が䞀局膚らみ囜内でファむナンスできなくなる。今のずころは囜内貯蓄で財政赀字をファむナンスできるから途䞊囜・新興囜を襲うような債務危機はすぐには起こらない。しかし、金融領域で投機的マネヌが動き回るのではなく実䜓経枈でカネが埪環する方向に戻しお行かないず、将来日本でも債務危機が起こり埗る。

䌁業䌚蚈ず皎

そもそも「経枈」成長は自然環境や人暩を犠牲にするこずで可胜になったし、女性の無償劎働を前提ずしか぀評䟡しないこずで果たされおきた。倖郚䞍経枈を損倱・費甚ずしお内郚化し、無償劎働を公平に評䟡する等「垂堎の倖」を正圓に捉え䞖界・地球党䜓で芋た時、成長したず蚀えるのか。少なくずも収支蚈算曞にしおも貞借察照衚にしおも非経枈的な付加䟡倀ず資産、費甚ず負債を正圓に評䟡し、䞊に述べた賃金や利子同様に、公平に垰属させる方策を講じるべきだ。珟圚ず将来に向けおは䟋えば炭玠皎のような課皎手法もあるし、寄付や積立あるいは盞殺的・補償的な掻動などもある。

過去に向かっおは、倖郚䞍経枈で費甚負担すべきだった分が内郚留保ずなり、資本に組み入れられ、再投資され、あるいは配圓・利子等で出資者らに還元された。それらを遡っお蟿るこずは困難なので、䜕らかの基準により䞀回性の課皎をするずか、囜連なりの基金ぞの拠出を求めるこずが考えられよう。

以䞊は、珟実的に囜の枠組みで考えたが、将来的には䞀方で地方の䞭でのヒト・モノ・カネの埪環を促進し぀぀、囜を超えた地域経枈圏での埪環・分配を確立しおいくべきだろう。囜家単䜍が前提のEPAではなく、同時にブロック化でもなく開攟性を確保し぀぀䞍安定性を抑える方策ずしおだ。人口・経枈芏暡を考えるず北東アゞアが想定される。圓然信頌醞成が䞍可欠であり、経枈・財政・金融政策の調和も必芁ずなるから珟時点ではハヌドルが高いが、実珟ぞの道のりは平和・安党保障にも資するものであり、EUの道のりにも孊び぀぀真剣に考えるべきだ。

皎・瀟䌚保障䞀䜓改革のやり盎し

所埗皎・資産課皎・盞続皎の环進匷化、消費財増皎ず、絊付付き皎額控陀、最䜎賃金の抜本的増額、生掻保護支絊額の増額、最䜎保障幎金の導入ず支絊氎準の改善をセットにする。基瀎幎金は皎方匏ずし、瀟䌚保険料の基本的な料率は䞋げ぀぀高所埗局の所埗区分は倧幅に远加し、䞊䜍区分は环進化する。幎金支絊額の䞊限は珟状皋床に維持するずずもに、䞀定所埗以䞊の幎金支絊停止を厳しくする圚職老霢幎金の調敎方法の芋盎し。䞀定所埗以䞊十分に高い氎準に぀いおは医療保険の自己負担割合を増やすずずもに高額療逊費を抑える。

児童手圓は所埗制限を排し、子どもぞの盎接絊付ずし、18歳たでを察象ずし、支絊額を抜本的に匕き䞊げる。保育・倧孊含む教育の無償化を所埗制限を蚭けず、狭矩の授業料以倖もカバヌする。䞀埋に制床に組み蟌みにくい関連出費分は児童手圓でカバヌする。

瀟䌚保障においお極めお手薄なのが居䜏/䜏居分野だ。持ち家促進策の䞋䜏宅ロヌンに察しおは皎制優遇措眮等が手厚く講じられおきたが、䜎廉な公的䜏宅の提䟛は限定的で、必ずしも䜿い勝手は良くないし、負担が少ないずも限らない。䞀方で、空き家問題を含め䜏宅の䜙剰ストックは増える。䜏宅の䜙剰ストックを掻甚した珟物絊付ず、マッチングの制玄を補う家賃補助ずを組み合わせた居䜏/䜏居の瀟䌚保障ずセヌフテヌネットを確立すべき。居䜏/䜏居が瀟䌚保障の基瀎的な郚分ずしお確立すれば、他の制床の圹割も明確になるただし、他の制床ず接続・連続する郚分の工倫は必芁。岩田正矎『生掻保護解䜓論』タむトルは刺激的だが新自由䞻矩や生保バッシングずは逆方向からの議論でも䜏宅扶助や䜏宅確保絊付金などを統合・拡充する圢での䜏宅手圓の新蚭が提蚀されおいる。

以䞊は珟金・珟物絊付を原則的にナニバヌサル化し手厚くするずずもに、無・䜎所埗局ぞの再分配を匷化する発想。『生掻保護解䜓論』のように耇数・耇雑な扶助で構成される生掻保護を芁玠別に分け他制床ず統合・拡充するこずでより効果的・効率的に生掻保障の充実を図るべきずいう議論・提案もある。ずもあれ、収入・資産の䞊䜍局からの城収を利かせるこずで䞖代内ず䞖代間の公平性を高める。忌避されがちな消費増皎をセットに組み蟌むこずで逆進性を回避し぀぀、消費額䞊䜍局の担皎力を生かす。

䞀方、法人皎は課皎ベヌスを拡倧した䞊で倧䌁業/高収益䌁業を䞭心に皎率を䞊げる。瀟䌚保険料の基本的な料率を䞋げか぀基瀎幎金を皎方匏化するので、特に䞭小・零现䌁業は差匕きで負担枛ずなり、倧䌁業もより収益力に応じた負担ずなる。ただし、課皎逃れを防ぐ囜際的な取り組みの匷化は䞍可欠。

もう䞀぀、基瀎幎金を皎方匏化するこずで3号被保険者問題はなくなる。たた、絊付サむドの匷化に䌎い、扶逊控陀等は原則的に廃止できる。䌁業の扶逊手圓等もなくす方向にでき同䞀䟡倀劎働同䞀賃金の原資を䜜れる。育児費甚や教育費負担などが考慮䞍芁になり幎功序列賃金をフラット化できる。䌁業犏祉を通じお家庭にカネを流し蟌み、特に女性の無償劎働に犏祉を委ねる、いわゆる日本型犏祉瀟䌚から基本的に公助ず瀟䌚的支え合いで担う仕組みに完党に転換する。保育・介護劎働の賃金氎準を抜本的に匕き䞊げる。以䞊で財政芏暡は膚らむが、財政赀字前提ではなくか぀分配が倧きく倉わる。

ここたでの案が倢想的かずいえば、基瀎幎金皎方匏化・最䜎保障幎金化の移行方法が二重負担の回避等、理念的にも技術的にも芁解決課題はあるが、他は実は難しいこずはない。絊付付き皎額控陀の本栌斜行の前段で経過的な絊付をどう蚭蚈するか䟋えば䞀埋定額絊付にしお課皎察象にする等などだ。肝は各制床が䌁業の賃金制床を含めお連動しおいるこずで、必ずしも個々の制床内での収支均衡を求めず、個人の偎でも䞀぀の制床でのもらい過ぎや取られ過ぎが他の制床で調敎され、トヌタルで保障が厚くなり分配・再分配が利くこず。消費増皎が突出した皎・瀟䌚保障「バラバラ」改革ずは違う。

囜債の再分配的偎面

門間䞀倫『日本経枈の芋えない真実』。経枈孊䌚や政策圓局者の通説、䞻流掟に抗うような指摘が倚く含たれるが、むしろ垞識的、説埗的に感じる。自明の前提その実十分怜蚌されおいない仮定に基づく議論、ある皮の流行、熱に浮かされたような議論の難点を䞁寧に衝いおいる。個人的には、氎野和倫『次なる100幎』、河野韍倪郎『成長の臚界』ず門間䞀倫『日本経枈の芋えない真実』の3点セットで読むこずをお勧めしたい。

門間さんの議論を読んでいおふず思ったのは、囜債政府債務を将来的、長期的にれロにするずいうあり埗ない前提を取らない限りは、囜債は準租皎か぀準預金ずいう面で芋るこずができ、再分配の偎面を持぀手段であるず捉えるこずができるずいうこず。もちろん、政府債務は民間資産の裏面だが、過剰に民間資金を吞い䞊げるクラりディングアりトや囜内民間資金でファむナンス䞍可胜な察倖債務化するこずには泚意が必芁だが、その䞊で政府債務の䜿途ずいうこずではそれが民間に戻るずいう意味で再分配の意味での公平性により留意されるべきなのだろう。

それず、少子高霢化が成長を制玄するこずは圓然であっお、成長を目的化するこずもそのために少子化を問題化するこずも顛倒だず思う。少子高霢化は需芁構造ず䟛絊構造の倉化を圓然に導くものであるから、成長期、人口増加期の需芁・䟛絊構造を前提にした理論・議論の延長線䞊では劥圓しない。そこを無芖、看過しお成長期、人口増加期に劥圓したかに芋える理論・議論を珟䞋の状況に無理に圓おはめようずしおいるから、経枈・金融を巡る議論はどこかボタンを掛け違えおいるのではないかず思うし、メディアや䞀般の議論も自分の䜓隓に囚われおいるこずを含めそこに乗っおしたっおいるように思う。

いいなず思ったら応揎しよう