『天幕のジャードゥーガル』第5幕 ー 蛇のまだらは外側に 人のまだらは内側に ー
『天幕のジャードゥーガル』第5幕 ー 蛇のまだらは外側に 人のまだらは内側に ー
そもそも、お后様が密偵を必要としたのには理由がある。
今はうまくいっているように見える兄弟たちも、いつかほころびが来るのではないか――。
実質的に武力を握っているのはトルイ。一方で、権力を握っているのはオゴタイ。この「武力」と「権力」のねじれた関係が、いつか兄弟の間に亀裂を生むのではないかと、お后様は考えているらしい。
今起きている問題ではなく、これから起こるかもしれないことを考えている。お后様、かなり賢い人なんだな~と思いました。
迷子を装って、そこで出会った同じ国の人たちと楽しそうに話しているシタラの姿が印象に残りました。
密偵として動いているときとは違って、普通のかわいい女の子に見えたんですよね。
こんな時代じゃなければ、シタラはもっと天真爛漫に過ごせたんじゃないかな……なんて思ってしまいました。
その後、羊が吐き出した石をめぐって、大カーンの六妃・ドルゲネと出会う。
石の使い方も国によって違うらしくて、こういうところは歴史ものならではなのかな~と思ったり。
さらに、近くではオゴタイとチャガタイが酒を飲んでいて、シタラは隠れて二人の様子を見ていたのだけれど、「怪しい奴がいる」と見つかってしまう。
「どこの奴隷だ」と聞かれ、本当のことを言うわけにもいかず、シタラはとっさに「ドルゲネ様の奴隷」と答えることに。
チャガタイが宗教や文化の違いについて愚痴をこぼす場面では、シタラが「あなた様には分からないでしょうね」というような言葉を返します。
密偵として身を隠しているのに、思わず自分の考えを口にしてしまうシタラ。ここでも彼女の芯の強さが出ているように感じました。
そんなシタラを見たドルゲネは、まるで本当に自分の奴隷であるかのように振る舞い、シタラを助けてくれる。
そして最後はドルゲネの天幕で、二人がそれぞれの本音を話すところで終わる。
ドルゲネは、自分の話すことを信じてもらえないことに苛立ち、そして「憎んでいる」と口にしていた。
身分も立場もまったく違う二人だけれど、最後の会話を見ていると、どこか似たようなものを抱えているのではないかと思いました。
シタラは自分の本当のことを自由に話すことができず、ドルゲネは高い身分にいても、自分の言葉を信じてもらえない。
階級は違っても、二人には「自分の思いをそのまま受け取ってもらえない」という共通点があるのかもしれない。
そして、羊が吐き出した石をきっかけに出会ったことも、ただの偶然なのか、それとも何か運命的なつながりがあるのか……。
まだ分からないけれど、この二人の関係がこれからどうなっていくのか気になります。
