あなたのお鼻は違いがわかるお鼻?
私自身が全然気が付いていなかった自分にびっくりした話です。
お買い物をする際にアスパラガスをあまり買いたがらない人がいました。旬のアスパラガスはとってもおいしく、茹でたり焼いたり炒めたり、加熱しても色鮮やかですし、和にも洋にも調理できるので大変便利ですよね。私は季節に市場に出回る時には積極的に購入していました。
その人は購入を強く否定する訳ではなく、アスパラガスの味が嫌いな訳でも無いようです。不思議に思って問いただすと、食べた後の匂いが嫌だというのです。
何の匂いがするというのか、と頭の中が??となりまして、言い籠る相手にズバズバと問いただしていきますと、なんと尿が臭うのが嫌だと言うのです。
私は「なーにを言っているんだこの人は」、気のせいにも程があると思い、明らかに呆れた顔をしていたと思います。するとその人は検索した画面を差し出し、これを見ろと言うではありませんか。
何とアスパラガスを食べてすぐ排尿すると、その尿は強烈な悪臭を放ち、臭気を感じる人と感じない人がいるがというのです。
アスパラガス尿って本当のお話!
2010年代にハーヴァード大学公衆衛生大学院でアメリカ人を対象とした研究が行われ男性の58%、女性の61.5%が『アスパラガス嗅覚障害』、何と尿に含まれるアスパラガス特有の匂いを感じられない嗅覚障害と診断されたそうです。匂いを感じることが異常ではなく、感じられないことが嗅覚障害だったという、(涙)。
しかしこの結論に辿り着くまでにも諸説あり、世界各地で研究がなされてきました。1956年オックスフォード大学では115人の被験者にアスパラガスを食べさせ、その尿を分析しました。臭気の発生する尿とそうでない尿があり、匂いのする尿はメタンチオールを含有しているとがわかりました。その後の研究からもアスパラガス酸の副産物が複数発見されました。
臭気の排泄者と非排泄者が存在するのかと思いきや、1980年にイスラエルで行われた研究ではアスパラガスを食べたあとの尿、同じ尿を嗅いでも匂いを感じる人と感じない人がいるということがわかりました。
匂いの発生に個人差があるのでは無いかと言う仮説から、匂いを感じられる人と感じられない人がいるのではないかということがわかるまでどれだけの人が研究の為にアスパラガスを食べ、成分を解析され、はたまたアスパラガスを食べた人の尿の匂いを嗅ぐことに協力してきたのか。人類の飽くなき探究心が恐ろしい、愕きです。
2011年にはフィラデルフィアのモネル・ケミカル感覚センターで、アスパラガスを食べる前と後の尿を採取し研究を行いました。その結果、尿に匂いを発生させる排泄者と非排泄者がいると同時に臭気を感知できる人とできない人がいるというのです。つまり人類は排泄し臭いも感知する、排泄するが匂いは感知しない、排泄しないが匂いを感知する、排泄せず臭いも感知しないの4軍に分けることができるということです。
もうね、血液型占いは古い!これからはアスパラガス尿占いの時代です!
そして世の中は遺伝子解析の時代となっていきます。前述のハーヴァード大学ではさらに尿の匂いを嗅ぎ分けられない集団に置いて、嗅覚に関する遺伝子変異の871個発見し、複数の嗅覚受容体に関わる遺伝子が関与していることもわかりました。
もちろん日本のお研究もありますよ!
2016年には日本人を対象とした研究が行われ、アメリカ人で認められたアスパラガス尿のにおいを嗅ぎ分ける遺伝子変異が日本人にも見られたとのことでした。
最近の日本人を対象としたものでは遺伝子解析の会社『株式会社ユーグレーナ』の記事もありました。遺伝子解析により、日本人のアスパラ尿への検知度はより感じやすいタイプ3.5%、感じやすいタイプ30.2%、一般的なタイプ66.3%と明らかにされているようです。こちらは臭いを感じやすい遺伝子を持っている人の県別ランキングを出していて面白いです。上は38%から最下位の県では21%ですから結構開きがありますね。
歴史を紐解いてみましょう!
歴史的にもアスパラ尿についての記録は古くからあり、1702年にアスパラガス尿について不快な匂いとして記録があるそうです。その後もアスパラガスを食べたあとの尿が匂うのか匂わないのかと言う論争は続いていました。
何と言っても特筆すべきは『失われた時を求めて』の作者マルセル・プルースト(1871年から1922年)の記述でしょう。プルーストはアスパラ尿について「おとぎ話のようにわたしの粗末な尿瓶を香水のフラスコに変える」とアスパラガスを食べた後の臭いの効果を超前向き?というか、もはや香水に例えたのです。アスパラ尿を臭いなどと感じるとは罪深きことであり、小さな幸せに気がつかずに臭いだなんだ文句ばっかり言っていることが恥ずかしくなります!
と、いうことで
そしてアスパラ尿のことを知ってしまった私はその後どうなったでしょう。なんと!以前は全く感じていなかった匂いを感じるようになってしまったのです。、感じる感じないはもはや心の問題?のような様相を呈してきております。
アスパラ尿の臭気は食べてから排尿までの時間も関係しているそうで、もちろん食べた量やトイレの環境、機密性の高いトイレかどうかも関係しそうだし、気にしない性格かどうか、排尿時の精神状態、アスパラ尿についての知識の有無、などなど色々な要素が絡んでいるようにも思います。
研究の条件も尿の量や時間経過、尿の保存状態など色々な因子の影響があるのではにかないかなどと考え始めると、もうね、大規模で厳密な世界的研究のテーマとなり得るのではないとか思うのです。
さてさてあなたもご自身のお鼻がアスパラガス尿を嗅ぎ分けられるのかどうか?気になり始めるてしまっているのではないでしょうか!
さあ、今は旬のアスパラガスを求めて出かけようではありませんか!!
