元アナリストが投資プロセスをClaudeスキルで自動化する【全体ロードマップ】
免責事項:本シリーズは投資助言ではありません。スキルの出力はあくまで分析の補助であり、投資判断は自己責任で行ってください
Claudeの出力には事実誤認が含まれる可能性があります。特に財務データは必ず一次ソース(SEC filing、IR資料等)で検証してください
スキルの設計思想や判断ロジックは筆者個人の投資哲学に基づいており、万人に適用できるものではありません
はじめに:なぜ今、これをやるのか
こんにちは、unipastaです。普段、コア(インデックス)+サテライト(米国個別株4-5銘柄)のスタイルで長期投資をしていますが、Claudeの機能がアップグレードされすぎて、Claude のスキル機能を使って、投資プロセスの全工程を再現可能なワークフローとして構築するプロジェクトを本気で始めようと思います(前の記事以前で、単発のスキルを作ったりはしてました)。
週末にマーケットの状況を確認して、保有銘柄の決算を追って、新しい投資アイデアを探して、という一連の作業は(データソースの制限等は一部あると思いますが)本来的にはかなりClaudeスキルと相性がいいはずです。
Claudeスキルは分析のフレームワーク、出力フォーマット、判断基準をすべて事前定義しておけるので、トリガーワードを打つだけで、同じ品質のアウトプットが毎回出てきますし、プロンプトの再発明が不要になります。いけてないジュニアよりよっぽど優秀ですしストレス少ないですね。
前回までの単発プロジェクトで、すでに5つのスキルを構築・運用しています。
regime-monitor(マクロ4軸でコア運用の戦略シグナルを判定)
market-briefing(日次/週次のマーケットブリーフィングをブログ記事風に生成)
theme-radar(15の投資テーマを日次監視)
satellite-screener(スクリーナーから10x候補をスコアリング)
deep-dive-memo(個別銘柄のディープダイブ投資メモを定型フォーマットで生成)
ただし、これらは「買うまで」のパイプラインは充実しているのに、「買った後」の管理がまったく自動化できていない。
そこで、英語圏で最近話題になっているClaude投資スキルの事例を徹底的にリサーチしました(※Claudeが)。tradermontyのGitHubリポジトリ(20以上のトレーディングスキル)、Anthropic公式のfinancial-services-plugins(41スキル)、The AI Cornerの4-Level投資システム、LSEG×Claudeの機関投資家向けスキルを全部読んでもらい、自分のコア/サテライト戦略に必要なスキルの全体像をマッピングしました。
結果、7カテゴリ・30スキルのパイプライン+既存の5つで、投資プロセスのほぼ全工程をカバーできそうです。
このシリーズでは、そのスキルを一個ずつ構築し、設計思想・SKILL.mdの要点・実際の出力サンプルとともに公開していこうと思います。
誰のためのシリーズか
米国株・ETFに投資している個人投資家で、Claudeを使っているがプロンプトの使い捨てに限界を感じている人
コア/サテライト戦略を採用しており、インデックスのマクロ判定と個別株の10x候補発掘の両方に関心がある人
投資分析のプロセスそのものに興味がある人(アナリストがどういう順番で何を見ているのか)
Claudeのスキル機能を投資以外でも活用したいが、設計の勘所がわからない人
逆に、このシリーズが向いていないのは、デイトレードや短期売買をしている人、暗号資産専業の人、「AIに銘柄を教えてもらって儲けたい」と思っている人です。Claudeは投資判断をしてくれるツールではなく、自分の投資プロセスを一貫して実行するためのインフラです。
全体ロードマップ:7カテゴリ・30スキル
以下が、このシリーズで構築していくスキルの全体像です。★は既に構築済みのもの、◆は新規構築するものです。
A:マクロ環境判定・市場全体の健全性評価(7スキル)
市場全体の状態を診断し、コア運用の方針を決める。「今は積み増すべきか、守るべきか」の判断を支えるスキル群です。

このカテゴリの設計思想: regime-monitorが「今の状態」を判定するのに対し、新規スキルはそれぞれ異なるレンズ(market breadth、バブル指標、セクターサイクル)で補完的な視点を提供します。全部を毎日回す必要はなく、regime-monitorをベースに、気になるシグナルがあったときに個別スキルで深堀りする使い方です。
B: 経済・決算イベントカレンダー(3スキル)
時間軸上のイベントを管理し、分析やアクションのトリガーにする。「来週何が起きるか」を把握するためのスキル群です。

このカテゴリの設計思想: 既存スキルに完全に欠けていた領域です。特にB-1は、regime-monitorの実行タイミングを決めるメタ情報として機能します。
C: 投資テーマ監視・アイデア発掘(7スキル)
サテライト運用の入口。テーマの動向を追い、新しい10x候補を発掘するスキル群です。

このカテゴリの設計思想: 現在のパイプラインでは、theme-radarがテーマを監視し、satellite-screenerがスコアリングしています。しかし初期アイデア発掘が自動化されていない。C-3(13Fフロー)とC-4(インサイダー)は、まだ広くカバレッジされていない段階の銘柄を見つけるための「情報の非対称性」を活用するスキルです。
D: 個別株スクリーニング・候補選定(3スキル)
テーマやアイデアから具体的な銘柄に絞り込む。

E: 個別株ディープダイブ分析(5スキル)
候補銘柄を深く掘り下げ、投資判断の根拠を構築する。

F: 決算分析(3スキル)
決算イベント前後のワークフロー。「買った後」の管理で最も頻度が高い作業です。

このカテゴリの設計思想: 長期投資家にとって、四半期決算は「investment thesisが生きているかを検証する唯一のハードデータ」です。F-1で事前に「何を見るべきか」を整理し、F-2で「結果がthesisにどう影響するか」を即時判定する。この2つが連動して初めて、決算シーズンが「忙しくて追いきれない」から「構造的に処理できる」に変わります。
G: 保有銘柄モニタリング・thesis管理(3スキル)
買った後の継続的な監視とthesisの健全性検証。

このカテゴリの設計思想: 多くの個人投資家は「買う理由」は明確に持っているのに、「売る理由」が曖昧です。G-1のレッドフラグスキャナーは「何かおかしい兆候はないか」を能動的に探し、G-3のthesisトラッカーは「買った理由がまだ有効か」を構造的に検証します。この2つは表裏一体で、片方だけでは機能しません。
パイプラインとしてどう繋がるか
これらのスキルはバラバラに存在するのではなく、投資プロセスの流れに沿って連鎖します。
【コア運用パイプライン】
B-1 経済カレンダー → A-1 レジーム判定 → A-4 breadth分析(必要時)
→ A-5 バブル評価(必要時)
→ A-3 セクターローテーション(必要時)
【サテライト運用パイプライン】
C-1 テーマレーダー → C-2 ライフサイクル → C-3 13Fフロー → D-2 FinViz
→ C-4 インサイダー スクリーナー
↓
D-1 サテライトスクリーナー ← ← ← ← ← ← ← ←
↓
E-1 ディープダイブ → E-2 コンプス → E-3 Bull vs Bear
↓
【投資判断】
↓
【保有管理パイプライン】
B-2 決算カレンダー → F-1 プレビュー → F-2 ポストアップデート
↓
G-3 thesisトラッカー ← G-1 レッドフラグ
← G-2 空売り異常検出
構築の順番(4週間ロードマップ)
実際の投資プロセスで「今すぐ使える順」に並べています。
Week 1 ── コア運用の判断精度を上げる Day 1: A-4 breadth分析 Day 2: A-5 バブルリスク定量評価 Day 3: A-3 セクターローテーション分析 Day 4: B-1 経済イベントカレンダー Day 5: A-7 マーケットムービングニュース分析
Week 2 ── サテライトの発掘パイプラインを拡張する Day 6: C-3 13F機関投資家フロートラッカー Day 7: C-4 インサイダー取引スキャナー Day 8: C-6 スモールキャップ・グロースIDer Day 9: D-2 FinVizテキストスクリーナー Day 10: E-2 コンプステーブル生成
Week 3 ── 決算サイクルを構造化する Day 11: B-2 決算カレンダー Day 12: F-1 決算プレビューノート Day 13: F-2 決算後アップデートレポート Day 14: E-3 Bull vs Bear ストレステスト Day 15: F-3 決算ギャップスキャナー
Week 4 ── 買った後の管理を仕組み化する Day 16: G-3 投資thesisトラッカー Day 17: G-1 レッドフラグスキャナー Day 18: G-2 空売り異常検出 Day 19: B-3 カタリストカレンダー Day 20: A-6 マクロ→セクター判定
Week 5 ── 残りのピースを埋める Day 21: C-2 テーマライフサイクル判定 Day 22: C-5 アイデアスクリーニング Day 23: C-7 ディスラプションスキャナー Day 24: D-3 バリュエーションスクリーン Day 25: E-4 競合ポジショニング分析
各記事で公開するもの
毎日の記事では、以下の構成で書きます。
なぜこのスキルが必要か:投資プロセス上の位置づけと、これがないと何が困るか
設計思想:何を入力とし、何を出力するか。他のスキルとどう連携するか
SKILL.mdの要点:トリガーワード、実行フロー、判定ロジックの核心部分(全文は有料公開)
出力サンプル:実際に動かした結果のスクリーンショットまたは抜粋
使ってみた所感:うまくいった点、調整が必要だった点、次に改善したい点
元ネタとなったリサーチ
このロードマップは、以下のソースを網羅的に調査した上で設計しています。
tradermonty/claude-trading-skills(GitHub):20以上のClaude Code/Web App用投資スキル。セクター分析、ブレッドス、テクニカル、決算カレンダー、13Fトラッカー、バブル検出、配当スクリーナー等。日本語READMEあり
Anthropic公式 financial-services-plugins(GitHub):41スキル、38コマンド、11 MCPインテグレーション。Equity Research、Investment Banking、Private Equity、Wealth Managementの4プラグイン。主にEnterprise向けだがスキルロジックは全公開
The AI Corner「Claude for Investing: 4-Level System」:Research→Projects→Skills→Coworkの4段階ガイド。Earnings Review、Valuation Screen、Thesis Update、Red Flag Scanner、Catalyst Trackerの5スキルを紹介
LSEG × Claude Financial Skills:10の専門MCPツールを使った機関投資家グレードのワークフロー。Morning Note、DCF Model Builder、Initiating Coverage、IC Memo、Portfolio Rebalance
AI Investing Lab「3 Claude Prompts I Use Every Week」:Disruption Scanner、Red Flag Scanner、Bull vs Bear Stress Testの3プロンプトテンプレート
Vibe Sparking「Claude 4.5 Stock-Picking Engine」:8つの役割別プロンプト。マクロストラテジスト、スモールキャップGrowth IDer、インサイダー分析等
Public.com / Alpha Vantage / Financial Datasets:Claude DesktopにMCP接続する金融データサーバー群
これらのスキルを全部読み込んで、「個人の長期投資家として本当に必要なものは何か」をフィルタリングした結果が、このロードマップです。
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