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#158 読書記録㊱『分水 隠蔽操作11』

本日読み終えた本の記録と感想です。

*この記事はアフィリエイトリンクを含みます。

今野敏氏の隠蔽操作シリーズ最新作。

『分水 隠蔽操作11』
(今野敏/著、新潮社、2026年1月)

今野敏氏の数ある警察小説シリーズの中でも、
この隠蔽操作シリーズが一番好きです。
(ちなみに2番目に好きなのは警視庁強行犯係・樋口顕シリーズ)

このシリーズが好きな一番の理由は、
気持ちの良い読後感にあります。
胸がすく」とはこういうことかと、毎回感じます。

いつでも、安心して堪能できる。
私の中では、エンタメ小説として、
かなり上位に位置する作品です。

主人公・竜崎伸也
東大卒のキャリア警察官です。

変人。
朴念仁。
裏表なし(すべて表)。
忖度なし。

シリーズ第一作『隠蔽操作』(新潮文庫、2005年)北上次郎氏の解説から、竜崎の人柄を端的にまとめてくださっている部分を引用します。

この男は出世のことは考えていない。出世よりも官僚としての役割を果しているかどうかのほうが重要だと考えている。自分の仕事は国家の治安を守ることであり、東大に入るのも、そうでなければ重要なポストにつけないという現実があるからだ。「いざというときは、真っ先に死ぬ覚悟をしている」男だから、保身ばかり考えている官僚ではけっしてない。

『隠蔽操作』新潮文庫 解説 405頁


シリーズ第一作『隠蔽操作』では、四十代半ばにして、警察庁長官官房におり、キャリア同期の中でも出世頭だった竜崎ですが、その性格故、いろいろありまして。

第11作『分水』では、神奈川県警の刑事部長です。

シリーズの途中では、所轄の警察署長を務めていた時代もあります。(左遷ですな。シリーズ一作目から、おいおい大丈夫かこの人、ばか正直すぎるだろな展開です。)

『分水』は、鎌倉で代々政治家を輩出している安達家の火事から始まります。

政治家の機嫌を損ねることを危惧する鎌倉署の警察官たちや警察上層部の面々にはおかまいなしで、この巻でも、原理原則で突き進む竜崎です。

(ただ、11作目ともなれば、多少、周囲の考え方に留意する姿もみられます。融通が利くとまではいきませんが、彼なりにかしこく立ち回れるようになっています。)

脇を固める登場人物たちが、また魅力的なのです。

シリーズ通して登場するのは、竜崎と同期のキャリア警察官(警視庁の刑事部長)で幼馴染でもある伊丹。(幼馴染といっても仲良しだったわけではなく、竜崎本人は「自分は伊丹にいじめられていた」と思っている微妙な関係)。

二人のやりとりは、シリーズを読む楽しみの一つでもあります。

現実をよく見て、官僚としてうまく立ち回ることも大事だという伊丹に、竜崎は言います。

「現実というのは、自分が選択するものじゃないのか?」
中略
「あるいは、自分が構築するものだ。警察官僚の現実とおまえは言うが、そんなもの、人によって全部違うはずだ。政治に関わるかどうかも本人次第だ」
「おまえ、中坊か。なんだか、世間知らずで理想主義の若者と話をしているみたいだ」
「理想主義のどこが悪い。理想を持たないことのほうがずっと問題だぞ」

『分水』62頁

この伊丹。なんだかんだ言っても、竜崎のことが大好きで、いつも竜崎に対する助力をおしみません。

竜崎のしびれるセリフを一つ。

「責任について考えるのは、我々幹部の役目だ」

『分水』189頁

このように、常に冷静で頼れる上司の竜崎ですが、
奥さまに対しては、かわいいところがあります。

妻の冴子さん、肝がすわっていて、かっこいいのです。
こういうのを内助の功というのだな。

シリーズものなので、
もちろん、一作目から読むのがおすすめですが。

途中の巻から読んでみても、十分楽しめると思います。
現場で起こる事件はその都度、完結していきますので。

そして、竜崎の言動が気に入ってしまったら、
もう、最初から読むしかなくなります(笑)


私は本格ミステリも読みますが、
実は、警察小説が大好物。

(以下敬称略)
今野敏の著作のほかにも、シリーズを愛読している作家がたくさんいます。
*以下、シリーズ名にkindle版のアフィリエイトリンクを貼っています。

佐々木譲道警シリーズ誉田哲也姫川玲子シリーズ堂場瞬一のたくさんある警察シリーズものは全読破。古くは大沢在昌新宿鮫シリーズ、最近だと、長岡弘樹「教場」シリーズ柚月裕子「孤狼の血」シリーズも読んでいます。

シリーズものの魅力は、「またこの人たちに会えた」という喜びがあること、主人公たちの挫折や成長を長いスパンで追えること、そして、登場人物同士の関係性の深まりを楽しめることです。

困ることは、
続きが出たら、読まずにはいられないこと。
そして、第一作から読み返したくなること。
本棚のスペースが、浸食されていくこと(笑)

わたしの本棚。今野敏の文庫。
単行本は場所をとる。が、新刊が出たらすぐ読みたい。


今日も読んでくださって、ありがとうございました。


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