見出し画像

南場智子さんの天才的なAIの使い方。講演で見た"Claude司令塔"と、同じ環境の作り方

DeNA社長・南場智子さんの講演を、リアルで聞いてきた。Youtube上にないやつ。一番衝撃だったのは、いまの南場さんの仕事環境。Claude中心で、「NotebookLMに自分で情報集めてた頃には、もう絶対戻れない」とまで言っていた。

メールも、チャットも、スケジュールも、メモも、ドライブも、社内Wikiも。仕事の情報がぜんぶAIにつながっていて、その中心にClaudeがいる。

初めて会う人の下調べも、過去の会議の記憶も、頼む前に先回りして差し出してくる。あれはもう「道具を使っている」姿ではありません。司令塔というか、自分の分身を持っている働き方です。

そして聞きながら、ずっとそわそわしていました。 これ、私が普段やっている仕事のやり方と、とても似ていたんです。

なので今日は、講演で刺さった話とあわせて、この働き方を自分の環境で再現するために、私が何をどう設計しているのか、どんな指示を置いているのかをシェアしようと思います。


「NotebookLMには戻れない」の意味

南場さんといえば、1年前は「チャットの達人」でした。Perplexityで初対面の相手を下調べして、NotebookLMに束ねて、タクシーの中で質問する。あの「南場流AI活用術」は、日本中に広まりました。

その本人が、あのやり方には戻れないと言っている。帰ってから公開情報を確かめたら、他の講演でも同じことを言っていました。

「自分でNotebookLMにいろんなものをコピーしていた時代が懐かしい、そんな感じがします」※

講演の場だけのリップサービスではなく、本人の公式な現在地なんです。では、何が変わったのか。理由も、公開の講演でひとことで言い切っています。

「AIエージェントがメガ進化しましたね」

エージェントの進化が、AIの使い方を丸ごと変えました。ひとことで言うと、「自分が情報を運ぶ」か「AIが情報を取りに行く」かです。

※NotebookLM(Gemini Notebook)も良きツールです

Before: 自分で調べて、自分でコピーして、AIに渡して、答えをもらう。AIは賢い。でも運搬係は自分。 After: AIが自分の仕事環境(メール・予定・メモ・ドライブ・Wiki)に届いていて、必要な情報を自分で取りに行く。運搬係が、消える。

Afterの世界で何が起きるか。 私の平日でイメージしてもらうと、こうなります。

  • 朝、カレンダーを見たClaudeが、今日の商談相手の下調べと想定問答を先に用意している

  • 受信メールには、過去のやり取りを踏まえた返信の下書きが勝手にできている。私は確認して送るだけ

  • 会議のメモは自動で残り、終わった頃には御礼メールの下書きと、次回までのToDoになっている

  • そのメモは蓄積されて、似た案件が来たときの「自分ナレッジ」として呼び出される

  • 社内Wiki(私の場合はNotion)を参照して、会社のルール通りの書式・手順で作ってくる

これは実際に私が回している構成です。 司令塔(考える側)がClaudeで、分身(覚える側)がNotion。南場さんの細かいツール構成までは分かりませんが、講演で見た働き方は、ほぼこの形でした。

ポイントは、どれも「その場で頼んでいない」ことです。

1回設計したら、あとは勝手に回り続ける。南場さんの言う司令塔・分身とは、この状態のことだと思います。


【作り方】つなぐ・覚えさせる・スケジュール

仕組みは膨大に見えますが、そんなに難しくはありません。 非エンジニアの私でも簡単にできました。やったのはこの3つだけ。

①つなぐ(MCP)
AIが、自分の仕事情報に自分で届くようにする。カレンダー、メール、ドライブ、チャット。いまはMCP(AIと外部ツールをつなぐ共通規格)で、主要な仕事ツールはほぼ全部つながります。まず1つでいい。「コピペで渡す」を1つ消すたびに、チャットが司令塔に近づきます。

②覚えさせる(CLAUDE.md/Notion)
自分の仕事のルール・好み・NG事項を書いた「AIへの取扱説明書」を、AIが毎回読む場所に置く。Claude Codeなら「CLAUDE.md」という指示ファイルがその置き場で、私はさらにNotionを記憶の本体にしています(画像2の"分身"がそれです)。判定基準はシンプルで、同じ指示を2回書いたら、環境に書くサインです。

③スケジュール(ルーティン)
仕上げに、決まった時刻や条件で勝手に動くルーティンを組む。ここで「頼まなくても動く」が完成します。 私が実際に回しているのは、たとえば↓

  • 平日朝:カレンダーから今日の商談予定を見て、相手の下調べと仮説のスライドを作っておく

  • メール受信時:未返信を検知して、過去のやり取りを踏まえた返信下書きを用意

  • 金曜夕方:今週の営業/会議メモから学びを3行に要約して、報告資料に転記

朝イチにブリーフが「できている」のは魔法ではなく、ただのスケジュール設定です。

(安全の線引きだけ最初に決めています。外部への送信は行わない 等)

で、この仕組みを作っていくプロンプトですが… 実はこの働き方、「上手いプロンプト」をほとんど使いません。毎回指示を書かなくていい仕組みだからです。自然言語でスキル(よく使う手順のパッケージ)を組む、ルーティンを組む。全く難しくないです。

ここからは、この環境をゼロから組む手順を、全体像→3手の詳細→シーン別の完成レシピの順で、全部書いていきます。


環境の全体像を分解する

まず、この図を4つのパーツに分解します。仕組みはこれだけです。

パーツ1:インプット(左)
打合せの録音・メモ(Notionに保存)、Gmail、Googleカレンダー、Slack。ぜんぶ「もともと仕事で使っているもの」で、新しく増やすツールはゼロです。やることは「AIから見える状態にする」だけ。

パーツ2:司令塔=Claude(中央上)
考える係。インプットを理解・統合して、アウトプットやアクションに変換します。私はClaude(Claude Cowork/Claude Code)を使っていますが、役割として大事なのは「情報を取りに行けるAI」であること。チャット欄で待っているAIではなく、接続先を自分で見に行くAIです。

パーツ3:分身=Notion(中央下)
覚える係。ここが今回の設計のいちばんの肝で、中身は4区画に分かれています。

  • プロフィール(価値観・方針・好み・役割)……AIへの取扱説明書の本体

  • プロジェクト・タスク(進捗・ドキュメント・ナレッジ)……仕事の現在地

  • 打合せ記録(録音・文字起こし・要点・アクション)……記憶の蓄積

  • テンプレート・資産(企画書・議事録・プロンプト集)……アウトプットの型

Claudeは考えるたびにここを読み、仕事をするたびにここへ書き戻す。だから使うほど賢くなる。「プロンプトは消費、環境は資産」の"資産"の正体がこの4区画です。

パーツ4:アウトプット(右)
生成(提案書・要約・議事録)、タスク・リマインド、メール下書き、予定調整、Slack通知、各種自動化。ここは「作る」必要がありません。パーツ1〜3が揃うと、勝手に出てくる側です。


①つなぐ・詳細 接続の順番には理由がある

推奨の接続順は「カレンダー→メール→Notion(メモ)→Slack→ドライブ」です。

  1. カレンダーが最初な理由:接続した瞬間から「今日の予定を見て動く」ルーティンが組めるようになり、効果が一番早く体感できるからです。設定も一番軽い

  2. メールが2番目:情報量が多く、「返信下書き」という分かりやすい成果につながる

  3. Notion:分身の置き場。ここがつながると記憶が始まる

  4. Slack/ドライブ:文脈の解像度を上げる仕上げ

つなぎ方は、Claude側の「コネクタ(接続)」設定から各ツールを選んで認証するだけです。MCPという共通規格のおかげで、主要ツールはクリックだけでつながります。コードは書きません。

最初の1本をつないだら、テストとしてこう聞いてください。

明日の予定を見て、準備が必要そうなものを教えて

答えが返ってきたら、接続は成功です。「コピペで渡す」が1つ消えた瞬間です。

なお、実際はAIに言わなくても、勝手に予定を見て、準備をしてくれるようになります。


②覚えさせる・詳細 取扱説明書は「置き場所」が9割

書く内容より先に、置き場所を決めます。原則は「AIが毎回、自動で読む場所」。

  • Claude Code派:CLAUDE.md(ホームやプロジェクト直下に置く指示ファイル。毎回自動で読まれる)

  • Claude Cowork派:プロジェクトの指示欄+Notionの「プロフィール」ページ(取扱説明書はNotionに置き、指示欄に「まずNotionのプロフィールを読む」と書く)

私は両方使っています。(最初はCowork、今はCode)
ルール・好みはCLAUDE.mdと指示欄(軽く・確実に読まれる)、蓄積される記憶はNotion(重く・育っていく)という分担です。

書く内容は5ブロック、①私について ②文体 ③定例の仕事 ④判断に迷ったら ⑤禁止。最初はこれくらいの粒度で十分です。

AIへの取扱説明書(まずはこの粒度でOK)

## 私について
- 役割:IT営業(主要顧客は大企業、製造業界)
- 大事にしていること:提案の質とスピード。返信は当日中

## 文体
- メール=簡潔さ優先。結論から。絵文字なし、!はOK
- 社内チャット=カジュアル。箇条書き多め
- 資料=1スライド1メッセージ、スキルで実行

## 定例の仕事(ルーティンで自動実行)
- 商談前ブリーフ:①相手企業の直近ニュース ②過去のやり取り要約
  ③価値提供の仮説スライド1枚
- 会議後:①議事メモ整形 ②御礼メール下書き ③ToDo抽出(期限つき)の順で
- 週次振り返り:今週のメモから学びを3行に要約→週報

## 判断に迷ったら
- 情報が足りないときは、作り始める前にまとめて質問する
- 数字は捏造しない。不明箇所は「※要確認」と書く

## 禁止
- 顧客名・金額入りの情報を外部ツールに出さない
- メール送信は行ってはいけない

運用ルールはひとつだけ。同じ指示を2回書いたら、取扱説明書に書き足す。 これを3週間続けると、日常の指示の8割が消えます。(全ブロック入りのフル版テンプレは記事後半に置いてあります。コピペして固有名詞を差し替えるだけで使えます)


③スケジュール・詳細 ルーティンは「日本語で予約」するだけ

ルーティンの登録は、プログラミングではありません。Claudeにそのまま日本語で頼みます。型はこれだけです。

毎週◯曜日の◯時に、次の仕事を実行して:
(やってほしいことを、取扱説明書の「定例の仕事」と同じ粒度で書く)
結果は◯◯(Notionのページ/チャット)に出して

コツは3つ。

  1. 最初のルーティンは「朝・読むだけ系」にする(商談前ブリーフが最適。失敗しても誰も傷つきません)

  2. 出力先を必ず指定する(指定しないと、成果がチャットの奥に埋もれます)

  3. 1週間は毎朝、出力を確認して赤入れする(ルーティンへの赤入れ=取扱説明書への追記。ここで一気に賢くなります)

安全の線引きはこの段階で決めます。
私の設定は「外部への送信は行わない(下書きまで)」
取扱説明書の「禁止」ブロックに書いておけば、全ルーティンに効きます。


5つのシーンの仕組み

ここまでの3手が揃うと、冒頭に書いた5つのシーンが動き出します。各シーンは「トリガー→読む場所→出力」の3点で書けます。全体図の流れそのままです。

ここまでで作り方はお伝えできてると思います。なので、そのままご自身で作ってみてください。

サンプルが欲しいよって人もいるかもなので、メンバーシップ用にシーンごとの完成レシピも置いておきます。(他にもプロンプトやパワポデータが得られるので、未加入の方もぜひ!)

まずは1本目。


【完成レシピ①】
商談準備(仮説スライド)が朝に先回りされ作られている

完成形:平日の朝、今日の商談・打合せごとに「顧客理解・ペイン仮説・当日の質問リスト」がまとまった仮説資料(スライド10枚)がNotionにできている。頼んでいないのに、です。

架空デモ:カルビー社との打合せがあったと想定。顧客理解のスライド
お客様ごとに個別化された事前準備スライドが0分で作られてくる

必要な接続:Googleカレンダー(必須)/Gmail(推奨)/Notion(推奨)

手順1:Notionに置き場を作る
「打合せ記録」データベースに「事前ブリーフ」用のページができるようにします。凝らなくていいです。最初は「ブリーフ置き場」という1ページでも動きます。
※Notionでなくても良いです。その場合は別場所に保管されるように指示すればOK

手順2:プロンプトを「資産」として保存する(スキル化でもOK)
次のプロンプトを、Notionの「テンプレート・資産」区画に「商談準備エージェント」というページで保存します。毎回貼るのではなく、置き場に置いてルーティンから参照させる——これが「プロンプトは消費、環境は資産」の実践です。

- 商談前ブリーフ:
①相手企業の直近ニュース3つ(出典URLつき)
②過去のやり取り要約(メール・打合せ記録から) 
③顧客理解・価値提供の仮説スライドを作成しておいて

# 商談準備エージェント v1.0

## タスク
次の商談に向けた「顧客理解・仮説資料」をスライド画像で作成する。
売り込み資料ではなく、相手の現場を深く理解した者だけが作れる「対話の設計図」を作る。
成功基準: 業界初心者がこの資料だけで、相手の現場と専門用語を自分の言葉で語れること。

## 入力(3行だけ埋める)
- 相手企業: (企業名。分かれば工場・店舗・部門まで)
- 会う相手: (部署・役職)
- 自社サービス: (何を・どう解決するかを1行で)

前提: Web検索と画像生成が使える環境で実行する。初回商談を想定。

## 手順
1. **レンズ定義** — 自社サービスから「観察レンズ」(相手の何に注目するか)を1行で定義する。
   例: 在庫IoT→「現物在庫と補充判断」/勤怠SaaS→「人の稼働と負荷」。
   以降、相手のすべての情報をこのレンズで走査する
2. **公開情報スキャン** — IR・中期経営計画・決算説明・公式サイト・工場/店舗の公開情報・
   採用情報・ニュースを検索し、事実の台帳を作る。事実には必ず出典を付ける
3. **価値の流れ分解** — 相手の業種に合わせて「価値が顧客に届くまでの流れ」を6段階前後に
   分解する(製造業=製造工程/小売=仕入〜店頭/サービス=顧客ジャーニー。対象は業種から
   自動選定)。あわせて誰もが知る代表製品・サービス・拠点を1つ選び、材料・部品・工程の
   レベルまでズーム分解する
4. **仮説構築** — 流れ×レンズの交点からペイン仮説(業務面×感情面)を立て、
   顕在ニーズ→潜在ニーズ→裏のニーズ(売上・コスト・リスク・生産性など、
   終わりなく突き詰められる真のニーズ)の3層に掘る。
   価値の桁感は「公開数値×業界平均」の掛け算までで試算する
5. **スライド生成** — 下の10枚を16:9のスライド画像として、1枚ずつ順に生成する

## スライド構成(10枚)
1. 表紙 — 主語が相手のタイトル(例:「品質と安定供給を支える現場へ」)
2. 対話設計 — 理解→仮説→検証の3ステップ地図(当日のアジェンダを兼ねる)
3. 顧客理解 — 企業・現場のスナップショット([FACT]のみで構成)
4. 価値の流れ — プロセス分解図×レンズでの注目点、代表製品のズーム分解
5. ペインとニーズ構造 — 業務×感情のペイン、顕在→潜在→裏のニーズ
6. 示唆と価値の桁感 — 刺さりうる論点と試算(断定しない)
7. この現場の誇り — 相手の製品・技術・歴史のすごさを、敬意をこめて1枚に
8. 検証設計 — 優先候補3つまで・当日の確認質問・次アクション・
   「既存の仕組みは置き換えず補完する」宣言
9〜10. 現場用語の図解辞典 — 商談に出る専門用語・部品・技術を4語×2枚、
   「一言で言うと/役割/使用例」+模式図で、業界初心者にも分かるように図解する

## 制約
- 事実と仮説を必ず分離する。確認できた事実は[FACT]+出典、推測は[AI推測]と明記。
  検索で確認できないものは[要確認]とする(推測で埋めない)
- 数字は断定しない。「〜規模の可能性」の書きぶりを守る
- 相手の既存業務・既存システムを否定しない。置き換えず補完する立場を貫く
- 自社サービスに触れてよいのはスライド6と8のみ。それ以外は相手の話だけ
- 図はフラットな模式図で統一し「模式図/AI作成」と記す。
  実在のロゴ・パッケージ・人物は描かない
- 専門用語には必ず図解か一言解説を付ける。読み終えたとき、業界初心者が
  相手の現場を語れる資料になっていること


手順3:ルーティンを日本語で予約する(この文をそのまま貼って調整)

毎週月〜金の朝7時30分に、次の仕事を実行して:
1. 今日のカレンダーを確認し、社外の商談・打合せを抽出する
2. 各件について、取扱説明書の「商談前ブリーフ」の手順どおりに ブリーフを作る。過去のやり取りはメールとNotionの打合せ記録を参照
3. できたブリーフはNotionの「ブリーフ置き場」に日付つきで保存し、 チャットに「今日は◯件、要点は◯◯」と1行で知らせて社外の予定がない日は「今日は商談なし」とだけ知らせて。


手順4:初回テスト
予約する前に、同じ文面の冒頭を「今日の分を今すぐ1回やってみて」に変えて手動実行します。出力を見て、足りない観点(例:「競合情報も入れて」)を取扱説明書に追記。2〜3回赤入れすると、見違えます。

私はこういう仮説の1枚スライドを作って打ち合わせに臨んでます。(デモ用です)


ここからメンバーシップ特典です。月々980円で仕事の進みがよくなります。
ぜひご加入を。

  • 完成レシピ②〜⑤

  • AIへの取扱説明書・フル版テンプレ

  • Notion「分身」の作り方(ページ構造テンプレ)

  • 下の記事からプロンプトやパワポデータも受け取れます!(オススメ👇)

では、続きいきます。

【完成レシピ②】
メール返信下書き、受信箱を「確認して送るだけ」にする

ここから先は

3,630字

メンバーシップ ¥ 980 /月

うちたの保管庫へようこそ。\ ここは読むだけじゃなくて、「持って帰れる」場所。 仕事で使えるAIプロ…

AIぬくぬくプラン

¥980 / 月

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?