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【初回無料】日本古代史シミュレーション入門 第1回 コンピュータの中に宮廷社会をつくりたい!

シミュレーションとは

シミュレーションとは、一定のルールを設定し、そのルールに従って、コンピュータの中で、出来事を動かしてみることです。

歴史学におけるシミュレーションの意義

①史料がない部分を推測する

『続日本紀』に一度だけ名前が出てくる官人がいたとします。その人物が実際にどのような人生を歩んだのか、史料から直接知ることはできません。

しかし、同時代の官人の昇進や死亡などから一定のルールをつくり、シミュレーションを行うことで、どのような人生があり得たのかを考えることができます。

②偶然か、必然か

史実は、偶然だったのか、それとも、必然だったのか。

例えば、法王という前代未聞の地位に登り詰めた道鏡の人生は、彼個人の特殊な事情によって生じたのでしょうか。それとも、当時の僧尼制度のなかでは、ある程度起こり得るものだったのでしょうか。

同じ条件の人物を1万人つくり、人生を何度もシミュレーションしてみる。道鏡のような人物が頻繁に現れるなら、その人生には制度的・構造的な要因が大きかった可能性があります。ほとんど現れないなら、道鏡固有の条件をさらに考える必要があります。

③歴史のIFを実験する

歴史にIF(もしも)はないと言われますが、史実ばかりではなく、あり得たかもしれない可能性にも目を向けるべきです。

あり得たかもしれないさまざまな歴史をシミュレーションし、その膨大な可能性の中に史実を位置づけることで、史実を別の角度から理解することができます。

偉大なる独走者・今津勝紀

日本古代史でシミュレーションをしている人はいなかったのかというと、います。
岡山大学の今津勝紀先生です。
古代の戸籍を使って、シミュレーション研究を行っています。

日本古代史研究者が、いったいどのようにシミュレーションの技術を身につけたのか。100年後の歴史研究者を悩ませそうな問題です。

私は、一般の人々よりも、都の天皇・貴族・僧尼などに興味があるので、平城宮を中心とした宮廷社会シミュレーションを目標にします。

そして、私は研究結果だけを見せるのではなく、コードを何度も書き直す試行錯誤を公開することによって、誰もがシミュレーションを行えるようにしたいと思います。

どの言語で古代人を動かすか

シミュレーションには、プログラミング言語というものを使います。アルファベットと数字・記号などで記述されるコンピュータが理解できる言語です。

今津勝紀先生は、計算処理にPerlという言語を使っているそうです。でも、今から初心者が始めるなら、Pythonが使いやすいと思います。Googleアカウントがあれば、Google Colabが簡単に使えるため、特別な環境を自分のパソコンに構築しなくても、ブラウザ上でPythonを書いて実行できます。

Pythonのシミュレーションの本も多数出版されています。

そして、何より役立つのは、ChatGPTなどの大規模言語モデルAIです。以下のコードは、ChatGPTに書いてもらいました。

import random

if random.random() < 0.1:
    print("従五位上に昇進した!")
else:
    print("従五位下のままだった")

このコードを実行すると、10%の確率で「従五位上に昇進した!」と表示されます。

もちろん、生成されたコードをそのまま信用するのではなく、意味を確認し、実際に動かしながら検証する必要がありますが、本やブログしか勉強する方法がなかった時代に比べると、参入障壁が障子紙程度になっています。

計量史料学とシミュレーションで、日本古代史はもっと面白くなる!

今、日本古代史研究・教育を取り巻く環境は、決して楽観できるものではありません。日本古代史を専門とする専任教員が退職した後、後任が置かれず、そのポストが消滅してしまうことも珍しくありません。

このままでは、先人たちが磨いてきた古代史料読解の技術が継承されず、失われてしまうのではないか。そのことを強く危惧しています。

計量史料学やシミュレーションは、質的な史料読解を軽視するものではありません。質的な読解を基礎として、新しい可能性を模索するものです。

史料を読む。数える。数えた結果から規則や確率を取り出す。そして、その規則を使って、コンピュータの中で歴史を動かしてみる。

読む。数える。動かす。

計量史料学やシミュレーションは、先人たちが培ってきた史料読解を基礎として、その先にもっと面白い古代史をつくるための方法なのです。

賛同してくださる方は、どしどしチップを送ってください。いただいたチップは研究の燃料にします。100円を100円のまま終わらせません。何十倍、何百倍もの価値のある研究成果に化けさせてみせます。

私は、日本古代史の灯を、決して消させない。

次回予告!pandasをインポート!

次回は、表形式のデータを扱うためのpandasというライブラリをimportするだけの記事です。
コードを1行書くだけです。あまりにも簡単なので、特別に次回も無料でお送りします。
世界一やさしい、絶対に挫折しないシミュレーション入門を目指します。

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内田敦士|九州大学講師|計量史料学入門|日本古代史シミュレーション入門 ご支援お願い申し上げます。いただいたチップは研究に使わせていただきます。