🌙星の泉と願いの光①
この物語は、チュチュ・テイルの世界を旅する記録です。
シルエットで描かれた猫たちや動物たちが暮らす世界✨
白いうさぎの旅人 エトワール の旅日記として綴っています。
はじめての方は固定記事からどうぞ🌙
これは、光の行方を追う旅がはじまる、少し前の出来事。
この夜に生まれた光が、やがて旅のはじまりへとつながっていきます。
やさしい想いが、光になる場所。
チュチュ・テイル城の奥へと進んでいくと、
ひときわ静かな光に包まれた場所があります。そこは、城の中心に広がる広場。そして、その真ん中に——
「星の泉」がありました。
泉の水面には、ゆらゆらと星の光が浮かび、
まるで夜空がそのまま映りこんでいるように見えます。
その夜、ぼくは思わず足を止めて、その光に見入っていました。
すると——
視界のすみで、小さな動きに気がつきました。泉のふちに、小さなうさぎが座っていました。
小さな体を丸めるようにして、両手をぎゅっと胸の前で合わせて——
一生懸命、何かを願っているようでした。

その姿は、今にも消えてしまいそうなくらい繊細で、けれど、どこか強く、まっすぐで。
——きっと、この子は勇気を出したいのだと思いました。
大切な一歩を、踏み出すために。
ぼくは、声をかけることもできず、ただ静かに見守っていました。
やがて、その子はそっと目を開けて、胸に抱えていた想いを泉へと落としました。
ぽとり、と。
その瞬間——
水面に触れた想いは、小さな光へと変わり、やわらかく広がっていきました。

光は、星のようにきらめきながら、ゆっくりと泉の中へと溶けていきます。
その輝きは、強くもなく、まぶしすぎることもなく——
ただ、あたたかく、やさしく、広がっていきました。
そして、その光はやがて水面に小さな花となって、静かに浮かびはじめるのです。

ぼくは、その光景から目を離すことができませんでした。
この泉は、ただ願いを受け取る場所ではない。ここに落とされた想いは、消えることなく、かたちを変えて、この世界へと広がっていくのだと——
そう、感じたのです。
勇気になったり。
やさしさになったり。
ときめきとして、誰かの心に芽吹いたり。
見えないけれど、確かに存在する光として。
そうして、また世界のどこかで、新しい想いが生まれていくのでしょう。
あの小さなうさぎの願いも、きっとどこかで、やさしい光になっているのだと思います。
ぼくは、まだこの泉に願いを落としたことはありません。
けれど——
この場所に立つと、胸の奥にある気持ちが、静かに光りはじめるのを感じます。
言葉にならない想いでも、無理に願いにしなくてもいいのかもしれません。
きっとその光は、いつか自然と、この泉へと届くのだから。

星の泉は、願いを叶える場所ではありません。想いを受け取り、やさしく世界へと広げていく場所。
ここに集まった光は、また誰かの心へと届き、新しい想いを生み出していきます。
それが——
チュチュ・テイルの魔法なのです。
エトワールの旅をたどる
←前のお話
→次のお話
🌙はじめての方へ
👉 チュチュ・テイルの世界はこちら
